それはもうとんでもない工芸技術を持つ職人の家に生まれた。めちゃくちゃすごいクライアントからひっきりなしに依頼が来るような家だった。
もちろんウィンダミアもまだ小さいながらもそれなりに器用ではあった。

そうして親の仕事を見ながら過ごしていたある日、外を歩いていた彼女はある装飾品を拾った。奇妙な紋様のそれは不思議と心を惹きつけ、なぜか身に付けなければならないような気がした。そして、彼女は気を失った。
―――三日三晩寝込んだ彼女の身には少しずつ小さな刺青の細かな紋が刻まれていった。
それは悪魔と通じ合うための紋章――召異の刺青だった。

もちろん彼女は家で丁寧に看病されていたがその紋章が形を取るにつれて両親の顔は怪訝なものとなっていった。
『娘は悪魔と契約したのでは』と、そう思われたのだ。
その後彼女は家を追放された。芸術に悪魔憑きは不要だと、二度と我が家門を名乗るなと言われて。
齢まだ12の頃であった。

それからのわたしは実際に悪魔の力を少しだけ使えるようになった。『あの事』は事故だったと思うし、家を追放されたことはとても悲しいけれど。
何か小さい悪魔もたまに出てくるようになったがまるで信用できない。やっぱり悪魔は悪魔なのだ、関わるのはやめておこう。
元々手先はそれなりに器用だったし、武器を作って、ちょっと狩りをして、食糧を調達していれば死ぬことはない。少し、寂しいだけ。

ある時、見知らぬ街に入った。そこで「冒険者」というものを見た。「ギルド」と呼ばれるそこにはたくさんの種族の人が居て、みんなのびのびとしているように見えた。
「冒険者」、話には聞いたことがある。「野蛮な連中だが腕は立つ」そんな父の言葉を聞いたこともあった。
…わたしでも受け入れてもらえるだろうか？
ちょっと不安だったけど、勇気を出してカウンターに居る人に話しかけてみた。
「すみません、わたし、まだ子供なんですけど…冒険者に、なることはできますか？」

あれから1年が経った。
まだ大人とは言えないわたしだけれど、ある程度依頼や任務のコツも掴めてきた。
もう家には帰れない―――わたしは一人で生きていくんだ。そのためにはもっと役に立つ冒険者にならなきゃいけないんだ。

ウィンダミア(読みはwin-da-mia)は不幸な事故により家を追放されたレプラカーンである。
ウィン、ウィンダ、ミアなどいろんな呼び方をされているようだ。
冒険者になる前はレプラカーンとしての能力を活かし、手製の弓で狩りを行いながら細々と生きていた。
ある日訪れた街で冒険者ギルドを見つけ、寄る辺を求めてほぼ無意識で入口をくぐり、そのまま冒険者登録申請をした。
その際に名前を求められ、家名を名乗れない彼女は咄嗟に「ウォロノウ」の姓を名乗った。
正式な家名は未定。どうしよっかな
身長は110cmほど、毛の色は青灰色で、目の色は薄茶色。
性格は少し臆病だが、きれいなもの(工芸品など)に対する好奇心が少し強め。人見知りは冒険者を始めて暫く経ったことでまだマシになったが、受け容れられなかった時の怖さ・寂しさに対する怯えがまだ残っているようだ。
確実な地の利を取った上での行動をすることが身体に染み付いており、リスクを強く嫌う。
戦闘では弓を引く手に悪魔の力を載せ、確実に目標の急所を穿つ。