あそこから逃げてきてから、がむしゃらに走った。とにかく走って、走った末に人族を見つけた。隠れたつもりだったが、当たり前のように見つかった。
でも、その人族はどこかで見たような雰囲気があった。どうしてかは、わからないけど。
でも、どうしようもなく守りたい。そう思ってしまった。

冒険者としての初めての依頼。気を抜いていたつもりはなかったが、上手く戦えなかった。恐怖で足が竦んだのかもしれない。
でも、隣で戦ってくれた彼のことをすごく頼もしいと思った。同時に、彼と共に仲間のために散るのならそれ以上に嬉しいことはない、とも。

でも、そんな彼の命はたった少しのことで散ってしまった。

勝てたのに。
生還できるはずだったのに。
あの時のずしりとしたからだの重さ、赤い色を覚えている。

切り離さなければ。余計な感情はすべて。
あの男、どこかで見た気がする。
強くなるために。

ウオミー

なぜかはわからないが、どこかで出会った気がする。◇◇◇の言うところでは夢の中に出てきた男に似ているらしい。
でも彼の耳はこんなに長くはなかった気がする。

フィン

なぜかはわからないが、どこかで出会った気がする。彼も夢の中に出てきた男に似ているらしい。
でも、こんな腕をしていなかった気がする。

シェイド

初めての依頼で共に戦い、窮地に陥っても互いに諦めなかった戦士。
しかしその後何者かに刺されて命を落としてしまう。
あの時、私がすぐに気がつけていれば。あの時、まっすぐと図書館へ向かっていれば。
死なせることはなかったかもしれない。
合わせる顔がないと思っている。