⬛︎月⬛︎日⬛︎曜日-桔梗の丘(1日目)-

試験を突破して、正式な冒険者になった。
先輩冒険者のガジットって人と仲良くなった。私と同じドワーフだ。
ガジットのおっちゃんの奢りで同期のノイマンとヒューラと一緒に飯を食べた。
その後、ガジットのおっちゃんが見つけてきた魔動機と話した。名前が無いらしいので、名前をつけてやることにした。
体が黒光りしててかっこよかったので、｢クロガネ｣と名付けた。
クロガネからは｢力強いザクロ｣と呼ばれた。なんだかこっぱずかしかった
これからマギテック協会に連れていかれて、色々と調べられるらしい。分解してから、組み立て直したりもするそうだ。
また、会えるといいな

⬛︎月⬛︎日⬛︎曜日-桔梗の丘(2日目)-

クロガネが協会のマギスフィアを奪って脱走したらしい、私達も捜索に駆り出された。
クロガネを見つけたが、蛮族に頭を壊されていて、敵味方の判断もままならなくなっていた。
クロガネは｢家を守りたい｣と言っていた。
守るために、壊れた家をマシンリペアで直そうとしていたらしい。けど、マシンリペアを発動する機械は壊れていて、家は直らなかった。
クロガネの最後の願い、｢家を守りたい｣。それを叶えてやるために、私達はクロガネの家を荒らす敵になった。結果は……私の勝ち。クロガネは、最期に家を守って、誇りを持って死んだ。誇りを守って、逝かせることが出来た。私はそう思う。そう思わないと、私が辛いから。
最期、クロガネは｢ありがとう｣と言っていた。
魔動機に心や魂があるのかは分からないけど、もしあるんだとしたら、神様のお膝元で、また自分の家を、主人や仲間と一緒に守っているのかな。

⬛︎月⬛︎日⬛︎曜日(琥珀の城)

メアリーって妖精剣士の冒険者が｢琥珀の城に連れて行け｣と騒ぎ続けるマギスフィアを持ってギルドに来た。道具屋から依頼を受けたらしい。私もその依頼に参加して色々と聞き込みをした。吟遊詩人のおっちゃんが琥珀の城についての歌を歌ってくれた。この歌と、アイシャって同じ依頼を受けた神官の冒険者が調べてくれた情報から、ディガット山脈に琥珀の城があることを突き止め、そこに向かった。
そこには、奇妙な建造物と鋼鉄の巨人がいた。
突然建造物から虫のバケモノが出てきて、マギスフィアが流暢に喋り始めた。
マギスフィアを持って｢琥珀の城｣と呼ぶ巨人に乗り込むと、マギスフィアが勝手に巨人と繋がって動き出した。
1人じゃ上手く動けないらしい巨人……｢グリッドマン｣を手助けしながら、虫のバケモノを封印した。
完全には倒しきれなかったみたいだけど、それでも当面は安全らしい。
グリッドマンは、傷を癒すために眠りについた。
眠る前に、戦いで飛び散った装甲の欠片を貰った。これは鋳潰して指輪にしようと思う。
いつか一緒に、今度は肩を並べて戦えるようにと思いを込めて。

⬛︎月⬛︎日⬛︎曜日(帰ってこない人たち)

今日……というか、55日前らしいけど。
二重の意味で思い出したくもない。
実力不足を実感した。鍛え直さないと。
父さんを超えるなんて出来ない。

クロガネとの戦いの後

また、夢を見た。
炎の手に包まれる夢。
熱い。
熱いけど、苦しくない。
優しくて、温かい手。
私の頭を、頬を撫でて、髪を梳いてくれる、大きな手。
父さんの手を思い出して、少しだけ涙が出た。
この夢は、決まって誰かの声がして終わる。
この声は、きっと────