セトレスにあるフィリーナのお店。
主に未探索の遺跡の情報を取り扱っているが、調べたいことなどあれば手助けしてくれるかもしれない。

透き通った金髪を後ろで三つ編みにしている。顔の左半分に火傷跡がある。
左目は火傷により開かなくなってしまったため、それを隠すように前髪を伸ばしている。
無事なほうの右目は宝石のように透き通る水色をしている。
両手の甲にマナが結晶化した宝玉が表れている。
小柄でスラっとしているが、筋肉質な体つき。

女でも舐められないようにと、性格口調共にサバサバしている。
強がりな性格のせいで素直になれないし、愛情表現が絶望的に下手。
強く厳しい口調だが情に脆く、困っている人間は絶対に見捨てない。
規律や礼儀には口うるさく言うが、特段悪を強く罰しようとはしない。
甘いものが好きで、一番の好物はドーナツ。

過去に大切な人を失った経験から、もう何も失わないようにと、誰よりも強くなろうとしている。
同時に心優しく素直な人間になりたいと思っている。
だが一定以上他人と仲良くしようとはしないし、
心のどこかで大切な人ができるのを恐れている。

一人っ子で、不自由なく暮らしていた。両親ともにティエンス。
成人する前に、両親が居なくなった。
奈落の魔域(シャロウアビス)に巻き込まれてから未だ行方不明で帰らないのだ。
安否は不明だが、デラニーはもう帰ってこないと思っている。

マルシャークという男性に出会い、セトレスで二人暮らしを始める。
数年経ち、マルシャークの不手際で家は全焼し、彼は落命してしまう。

現在はセトレスで一人暮らし。
その後は因縁のある奈落の壁(アビスウォール)の付近等で戦い、戦利品を売り払って生活を続けていたが、
家から遠いため数か月家に帰れず、ロクに休むこともできていなかった。
更にその金銭効率に限界を感じており、ハーヴェス近郊のいいギルドを探している。

現在はフォレスト・フラッグスというギルドに所属している。

デラニーには何よりも大切にしていた人がいた。
名はマルシャークと言い、朗らかで少し抜けているような優しい人間だった。
彼はデラニーに一目惚れしアタックしていたが、デラニーはそれに応えなかった。
だがそのうち押しに負け、応えなかったものの同棲を始めることになった。
二人はセトレスという街の同じ家の下で暮らした。
良く寝坊する彼を叱って起こし、料理の下手な彼にご飯を作るのが毎日の日課だった。
そんな日常と、彼のことがとても大切だった。

「いつか結婚式でも開こうか」ある日、そんなことを彼が口走った。
衝動的にいつも通り「なんの冗談だ」とあしらってしまった。
だって二人は交際すらしていないのだから。
そんなデラニーを見て「...冗談だよ～」と彼が指輪をしまい微笑んだのが見えた。
その時、素直になれず彼を傷つけてきた自分に気が付いて、心底嫌気がさし家を飛び出した。
彼の優しい制止の声は聞こえないふりをした。

夜、そろそろ家に帰ろうかと思った時、街から火が上がっているのが見えた。
嫌な予感を抱えながら家に帰ると彼と住んでいた場所が見事に燃え上がっていた。
考える間もなくデラニーは燃え盛る家に飛び込んでいった。
中には瓦礫に埋もれ動けずに炎に燃やされているマルシャークがいた。
見る限り発火場所がキッチンだったので、事故ではないと分かった。
すぐに駆け寄り手を取れば、まだ息はあるようだった。
「何があったんだ...！？」と問えば、彼は「仲直りに...ドーナツ、たべてほし...くて」と答えた。
ドーナツなんて、不器用なマルシャークに作れるはずがない。
おそらく、倒れた大量の油に引火したのだろう。
私があんなことを言っていなければ、私が家を出ていかなければ、私が優しい人間だったら、
こんなことにはならなかったのかもしれない。
「ごめ...んね...だいすきだよ、デラニー」
と微笑み、動かなくなった彼を見て「馬鹿者」と呟いた。

その後、彼の遺体を瓦礫の下から引っ張り出した際に、デラニーも火傷を負った。
火を見るとあの日を思い出し、身がすくんでしまう。

失ってから自分がどれだけ彼を想っていたかを思い知った。
もう誰も傷つけたくないし、失いたくない。
優しくて強いティエンスになりたい。

優しさと強さを併せ持った人。

仲間を大切にし、皆を守れるような冒険者。

もう誰も傷つけないよう、失わないよう、強くあること。