名前は長いので、親しい者や冒険者仲間はマリーと呼ぶ

両親は冒険者だった。子を成した後も引退することなく、現役を続け、家を空けがち。
そんな家庭に生まれたマリーは寂しい幼少期を過ごすことが多かったが、それでも両親によく懐いた。

マリーが3歳の頃、母が懐妊した。妹ができるとマリーは喜んだが、妹を出産してしばらくの後、母が死んだ。
生まれた妹はナイトメアだった。冒険者として常人よりも鍛えられた母ではあったが、衛生管理などどこ吹く風といった荒くれ者の冒険者でもある両親だ。傷ついた産道からの感染症にかかってしまった。
母は死に際マリーに残した言葉が「妹を守ってやれ」
父もその言葉を受け、妹に虐待を働くようなマネはしなかった。しかし思う所もあったのか、それまで以上に家を空けることになっていく。姉妹を教会に預け、稼ぐ為と言い訳をし、冒険に明け暮れる。

母を失い、父も近くにいない。幼い子供には辛い環境であったがマリーは立ち止まらなかった。
遺言を果たそうと懸命に妹の世話をした。修道士に頼ることも多かったが、それでも少しずつ仕事を覚えていった。
ヴァルキリーとしては珍しく神聖魔法使いの才能は無かったが、それでも聖職者としての経験も積み、教会に馴染んでいった。
妹について最初は嫌悪感を露わにする者もいたが、幸いにも迫害されることは無かった。
マリーが甲斐甲斐しく世話をするのを見て、皆も態度を軟化させていき、物心がついた頃には完全に受け入れられるほどになる。

それからは穏やかな日々が続く。
妹の世話にあまり手がかからなくなってくると、自身も将来は両親に倣って冒険者を目指すことを決め鍛錬も始める。
家畜の世話をしながら乗馬を習い、武器の扱いを習った。また、偶然出会った妖精たちと語り合い友諠を結ぶこともできた。
冒険者として最低限の力を身に着け、妹が成人をしたら教会を拠点に活動を始めよう。そんな風に考えていた。

しかし、17歳の誕生日に届いたのは父の悲報であった。遺品の折れた剣を渡され泣き崩れる。
妹が慰めようと手を差し伸べ、声をかけるが、マリーは言ってはならない事を言ってしまった
「お母さんはあなたを産んで死んだ。お父さんもあなたがいたから無茶な冒険を繰り返した。二人が死んだのはあなたのせいだ」
言った瞬間に後悔した。しかし、それを聞いて逃げ出す妹を追いかけられなかった。
そして、自身も逃げた。咄嗟に口をついて出たのは本心だったのかは自身にもわからない。しかし許されることではないし、また妹に悍ましいことを言ってしまうかもしれない。
マリーはその日のうちに冒険者となり旅に出た。

自制心が強く、人の為に何かをすることに喜びを感じる善良な人族。
しかしメンタル面はそれほど強くない。精神的に追い込まれる程に苦境に立った際には、その原因を他者に求めたり、逃避しようとしたりする。
根が善人であるため、後からその事を思い返し落ち込み自己嫌悪するが、臆病な為にそれによって大きくなった問題には中々向き合えず逃げ回ってしまう。

現在でも育った教会にはこっそり送金しつつ、妹の近況を手紙で教えてもらったりしている。

閑話で振ったダイスにて、パーティ１の酒豪になった。

①：決して手放せない小物がある
②：血縁者と死別したことがある
③：異性の家族がいない
旅：故郷にいられなくなって