「何故だろう・・・懐かしい気持ちになるんだ」
正式名称「ドグラ重工製63式突撃銃兵弐型」個体識別番号「AS-378」。
彼女がジェネレーターのようなものから目覚めたとき、横のプレートにそう書いてあった。

北国の魔動機文明の遺跡から目覚めたルーンフォークの女性。
本人は5歳の認識でいるが正確には7歳である。

かつて同じ種族間で戦争があった時代、当時の彼らは駒としてルーンフォークを製造、投入した。
彼女もその内の1体として戦場に送られ、命が尽きるまで敵を倒す命令を実行するはずだった。
しかし彼女が生を受け、訓練を終えたわずか4ヶ月後に終戦が告げられる。
役目を終えた戦闘人形はある者は平和を謳歌し、ある者は軍に残り、またある者は己の存在意義の喪失を受け入れられず人間に危害を加えたことで破棄された。

彼女は軍の編纂者として第二の生を歩むこととなるが、その生活も長くは続かなかった。
終戦後、世論は軍縮の方向に傾き、軍用ルーンフォークはその存在を疑問視されたのだ。
2歳を迎えた暑い夏の日、軍用ルーンフォーク保有数を制限する条約が定められ、そのほとんどが休眠を受け入れざるを得なくなる。元より自らの願いを持たない彼女はただその通告を聞き、「はい。」とだけ頷いた。

もはや誰も管理する者がいない遺跡で彼女は突然目覚める。
以前の記憶の大半を失っており、雪景色の中を朦朧としながら歩いているところを偶然通りがかった猟師に拾われる。
そこで彼女は叡智を意味する「ソフィーヤ」という名を受け、家族として迎え入れられる。

兵士といて生まれた記憶はとうに抜け落ちていたが、叩き込まれた戦闘技術が残っていたのか冒険者という職に強い興味を示すようになる。家族はそんな彼女を気にかけるが「失った記憶が戻る可能性があるのなら」と、ソフィーヤを送り出すのだった。彼女は銃を手に冒険者として依頼を受けつつ、各地の魔動機文明遺跡を巡る旅に出る。自分が生まれた意味を知るために。

戦闘スタイルは銃を用いて狙撃を行うスナイパータイプ。脅威のエイムで確実に敵の急所を狙い撃つ。
休眠前に手にしていた銃と比較すると性能は雲泥の差だが、猟師の家族に雪山で鍛えられたレンジャーとしての経験が彼女を助け、じわじわと獲物を追い詰めるだろう。

以前は自我をほとんど持ち合わせていなかったが、現在は表情の変化に乏しいながらも様々な物事に興味を持つ好奇心旺盛な性分に育っている。栄養効率だけでなく、見た目や美味しさにも気を遣った料理の存在に最初は戸惑いながらもその味に深く感動し、今では食べ歩きが趣味となっている。

「うーん・・・シチューとローストビーフで肉が被ってしまった」

より多くの遺跡調査依頼を受けるために、道中のギルドで実力と資金を積み重ね、ハーヴェスに向かうルートをとっている。
ルーンフォークの冒険者は今では少なくないものの、口数の少ない彼女は初めは誤解を招くことも多かった。
しかし、まっすぐな性格と銃士としての確かな腕前が彼女の評判を確固たるものにした。

「遺跡の調査依頼を受けたい・・・？ツイてるなあんた！今はソフィーヤがこのギルドに通ってるんだ、あいつを頼ってみな！実力は保証する！」（とある冒険者のコメント）