レプラカーンのキルヒア神官。レプラカーンであることを示す特徴は耳くらいで、他には少し人間と比較して身長の低さを感じる程度だが、これはその美貌と合わせて祖先のどこかでエルフの血が混じっていることに由来する（と考えられる）。
　なお、外見上ほとんど女性にしか見えないが実は男性。髭は遺伝的に薄かったところさらに脱毛したため生えなくなっている。その他、もともと線が細く中性的な顔立ちでもあったが、努力によって女性に見えるようにしている（声も特訓して女声を出している）。性別を隠しているわけではないが、明確に聞かれない限り答えないというスタンス。

　基本的に、優しいお姉さんのような性格。努力して何かを成し遂げようとしている人が好きで、そういった行為を見受けると非常にうれしそうに褒め・応援する。一方で、すべき努力をしていない怠惰な者には厳しい（弱者への同情や配慮はある。もっとも、その境目はどこにあるのかについては自分自身でも悩んでいるらしい）。
　なお、怠惰な者より嫌いなのは、努力する他者を悪意で邪魔する者と本人ではどうしようもないことについて相手を攻撃する者である。

　身長は150cmほどで、レプラカーンの男性としては極めて大柄な部類であるが人族として見れば低い方。美しい黒髪と青い瞳の持ち主でもある。また、美容には非常に気を遣っており冒険者としてはかなり肌が綺麗（神聖魔法も使って手入れしているらしい）。
　体形で言えば、引き締まってはいるが線の細い部類。体重もあまり重くはない。ただしどちらも人間の成人男性基準である。
　露出の少ない恰好を好み、体形を出さないようにしていることが多い。特に頬・喉・肩・腰・手の甲を隠そうとする。ただし性別を隠しているわけではなく、素でも十分な美貌の持ち主である自覚もあるため、必要があれば露出の多い恰好もする。

　基本的に、穏やかで優しいお姉さんのような雰囲気。叱る・怒る時も、最初は笑って済ませられる程度の怒り方をする（もっとも、冗談の時と「本気だが、まだ穏便に済ませようとしている」時ではまるで雰囲気が異なるのですぐわかる）。
　世話焼きではあるが、本人が努力して解決すべきだと考えたなら突き放す。とはいえその時も、最初は優しく諭して努力を促そうとする。

　アライメントで言うなら秩序・善。正義感は強い方で、悪事は許さない。やむを得ない事情があったとしても、悪は悪として処断しようとする（それはそれとして、そうなった理由に対しては可能な限りの対処をする）。

　戦法としては、一般的な後衛の神官。後ろに控え、仲間に適切な支援をする。その一方、自分の運動能力は低くパーティーの足手まといになり得ることも理解しているため、貢献度が高かろうと驕ることはない（あまりに不適切な扱いをされているのであればそれについて諭すことはある）。
　
　鍛錬も実戦もしていない時間は、割と普通の、一般的な「お洒落が好きな人物」と同じような生活をしている。とはいえ最近有名になってきたため、人が集まってしまい邪魔されやすいのが悩みであるらしい。

　元々は一般的なレプラカーンとしての生活（つまり、居候）をしていた。しかし、先祖返りにより異様に大きく（というより長く）なった体格と、生来の趣味――女性らしい遊びに女性らしい恰好を好み、振舞いも女性らしくすることを好んでいた――により激しくいじめられる。当然彼自身もその環境に甘んじているつもりではなく、成人する少し前に住居を出た。

　当てもない放浪であり、餓死するならそれでも良いという覚悟であったが、偶然にもとある神官に拾われる。そして、その神官の案内によりキルヒア神殿に住まうことになった。そこで、自らの在り方を肯定されると同時に「知識を得るために努力する」楽しみにも目覚める。彼がキルヒア神の声を聴くまでに、あまり時間はかからなかった。

　神殿の蔵書をほとんど読んでしまい、様々な工夫により外見も振る舞いもすっかり大人の女性らしくなったころ、彼は神殿を出て放浪を始めた。その中で戦闘の技術も上げていき、森羅魔法という新たな力も得たものの、何の後ろ盾もない者が生きていく難しさを改めて痛感する。「努力で解決できるように見えることでも、環境が悪ければその努力ができないことも多い」ことに、改めて気づいたのである。

　その後、冒険者登録を行いある程度は定住もするようになる。元がレプラカーンであるため、こちらの方が本能的にストレスも少ない様子。とはいっても、平均的冒険者よりは様々な地域を渡り歩いているため、半放浪者のようなものでもある。

　なお、二つ名の由来は、伝承において（詳細は不明だが少なくとも人族陣営の）神に敬虔な信仰を捧げ、とある国を蛮族から救ったものの、最後には守ろうとした民たちに陥れられ処刑され、それでも信仰を捨てなかったとされる聖女の名――をもじったものである。己の意志を貫く姿をその聖女になぞらえたものである他、その聖女は戦場では男装をしていたという伝承があるためである。
　この二つ名を嫌がっているわけではなく、流通している以上はということで自己紹介に使うこともあるが、同時に非常に皮肉であるとも考えている。この聖女、信仰も軍才も本物であったが、一般教養に欠けていたことが陥れられたことの一因であるとも伝わっているのだ。

　健康に良いもの・美容に良いものを好みはするが、好き嫌い自体はほぼなく、基本的に出されたものは大切にいただくタイプ。マナーも非常に丁寧で上品。
　また、レプラカーンらしい小食でもある。

　酒は出されない限り飲まず、断れるなら断る。煙草は一切吸わず、ある程度以上親しい者であればやんわりと注意をすることもある。

　あくまで女装が好き・その他嗜好も自分の外見の理想も女性的なものであるというだけで、性自認そのものは男性。貞操についての考えも、どちらかといえば男性的な感性である。ただし、同性愛の傾向が強い両性愛者の傾向はある。
　性的に好きなのは、屈強なイケメンと美女。恋愛的に好きなのは、努力家でひたむきな人格の持ち主。