“枯れぬ徒花”ジギターリャ
プレイヤー:ききり
死にたくない、もっと生きていたい。その想いに応えてくれたひとたちが、私を情熱的な枯れぬ徒花にしてくれたんです〜。
- 種族
- メリア
- 年齢
- 10
- 性別
- 女
- 種族特徴
- [繁茂する生命]
- 生まれ
- 妖精使い
- 信仰
- 旅先で出会った修道女の教え
- ランク
- ブロードソード
- 穢れ
- 技
- 8
- 体
- 7
- 心
- 14
- A
- 6
- B
- 5
- C
- 6
- D
- 15
- E
- 4
- F
- 4
- 成長
- 10
- 成長
- 3
- 成長
- 2
- 成長
- 5
- 成長
- 10
- 成長
- 3
- 器用度
- 24
- 敏捷度
- 16
- 筋力
- 15
- 生命力
- 27
- 知力
- 28
- 精神力
- 21
- 増強
- 増強
- 増強
- 増強
- 増強
- 増強
- 4
- 器用度
- 4
- 敏捷度
- 2
- 筋力
- 2
- 生命力
- 4
- 知力
- 4
- 精神力
- 4
- 生命抵抗力
- 14
- 精神抵抗力
- 14
- HP
- 57+2=59
- MP
- 55+2=57
- 冒険者レベル
- 10
経験点
- 使用
- 46,000
- 残り
- 0
- 総計
- 46,000
技能
- フェアリーテイマー
- 10
- セージ
- 9
- レンジャー
- 2
一般技能
- マーチャント
- 5
- ダンサー
- 1
- ウェイトレス
- 2
- パヒューマー
- 2
戦闘特技
- 《ターゲッティング》
- 《魔法拡大/数》
- 《魔法収束》
- 《魔法制御》
- 《鷹の目》
- 《鋭い目》
- 《弱点看破》
- 《マナセーブ》
練技/呪歌/騎芸/賦術
- なし
判定パッケージ
レンジャー技能レベル2 | 技巧 | 6 | |
---|---|---|---|
運動 | 4 | ||
観察 | 6 | ||
セージ技能レベル9 | 知識 | 13 |
- 魔物知識
- 13
- 先制力
- 0
- 制限移動
- 3 m
- 移動力
- 16 m
- 全力移動
- 48 m
言語
会話 | 読文 | |
---|---|---|
交易共通語 | ○ | ○ |
妖精語 | ○ | |
汎用蛮族語 | ○ | ○ |
魔動機文明語 | ○ | ○ |
魔神語 | ○ | |
魔法文明語 | ○ | ○ |
神紀文明語 | ○ | |
妖魔語 | ○ |
魔法
魔力 | 行使 基準値 | ダメージ 上昇効果 | 専用 | ||
---|---|---|---|---|---|
フェアリーテイマー技能レベル10 使用可能ランク10 | 妖精魔法 土炎光闇
| 15 | 15 | +0 | ✔知力+2 |
技能・特技 | 必筋 上限 | 回避力 | 防護点 |
---|---|---|---|
技能なし | 15 | 0 | ― |
防具 | 必筋 | 回避力 | 防護点 | 専用 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|---|
鎧 | ソフトレザー | 7 | 3 | |||
合計: すべて | 0 | 3 |
装飾品 | 専用 | 効果 | |
---|---|---|---|
頭 | カトレアの花冠 | ✔HP | カトレアの中でもラビアタを模しているとかなんとか。妖精魔法の射程を延長する。射程2:(n+10m) |
┗ | 自前の花(頭) | フレーバー。犬耳のような、うさ耳のような。 | |
顔 | ラル=ヴェイネの観察鏡 | ✔MP | 魔物の弱点値を4低いものとする |
耳 | ラル=ヴェイネの金鎖 | 乙女憧れのダイヤモンドが眩い。ダーリンのプレゼントの方がずっと眩いものでしたけれど〜。 | |
┗ | ゴールデン耳栓 | 特定の個人への対策。上と合わせてお耳がきらきらです〜。 | |
首 | ラル=ヴェイネの首飾り | 使われている宝石の数々を小さく繊細に纏めたデザインは妖精たちからもそこそこ好評。 | |
背中 | ラル=ヴェイネのロングマント | 妖精をイメージして宝石を鏤めたらしい外套。顔を隠すフード付きだが、これを身につけた時点で隠す意味は…… | |
右手 | 専用華美なる宝石飾り | 宝石を六つまで収められる。籠手型。 | |
左手 | ディスプレイサー・ガジェット | 部位増やしちゃうすごいやつだよ。 | |
┗ | セービングマント | 回避や◯◯抵抗の失敗時に魔法ダメージ-4。システム上は装備してますがフレーバー的には背中装備に機能を組み込んである感じでお願いします。 | |
腰 | ラル=ヴェイネのガーターベルト | 情熱的。とっても。 | |
足 | ラル=ヴェイネのロングブーツ | サイズぶかぶか、宝石ぴかぴか。 | |
他 | インテリアニマルサック | 探索、魔物知識、異常感知、危険感知、罠回避の各判定に+1。背中が凄いことになってるのでフレーバー的には肩掛け鞄とかそういう扱いで…… |
- 所持金
- 11,702 G
- 預金/借金
- G
所持品
衣服
《普段着(水着+普段着相当)》……白のサンドレス。下に水着。
だいじなもの
《魔動機文明時代の懐中時計》……ミッション1で入手。動かない懐中時計。何故かジギターリャの名前が書かれていた。
じぎたーりゃ
わすれないで、おぼえていて
《健康長寿のお守り》……シークレットミッション入手。所持している間、病気にかかりやすくなるが、寿命での死亡が発生しなくなる。効果は一度所持すると向こう1年続く。
嗜好品
《魔香のパイプ》……自身への薬草による回復量を+1。
《薬師道具セット》……薬草での回復量が安定(威力表を1d+4で参照)する。
《水煙管》……所謂シーシャ。「Ⅰ」の323p《パイプ/煙管》相当。
《刻み煙草》……ジギターリャ・ブレンド。乾燥した魔香草と幾つかの薬草を調合したもの。回復効果はない。
持ち歩く方の荷袋
《妖精使いの宝石(15)》×6
《ヒーリングポーション+1》×2
《アウェイクポーション》
《魔香草》×3
《魔晶石(5点)》×2
《冒険者セット》
《日記帳(白紙の本相当)》
《羽ペン》
《インク瓶》
《チョコレートのケース》×6
持ち歩かない方の荷袋(使ってないもの)
《アビスシャード》×18
《宝石ケース》
《妖精使いの宝石》×6
《ロングブーツ》……フレーバー程度。ぶかぶか。だいぶよれよれ。
- 名誉点
- 80
- ランク
- ブロードソード
名誉アイテム
点数 | |
---|---|
冒険者ランク | 100 |
華美な宝石飾り | 20 |
↑を専用化 | 100 |
カトレアの花冠専用化(HP) | 50 |
ラル=ヴェイネの観察鏡専用化(MP) | 50 |
容姿・経歴・その他メモ
A2-4 | 家族に異種族がいる |
B4-1 | 商売を手伝った事がある |
C1-1 | 伴侶がいた |
ジギタリスの花言葉: 「熱愛」「不誠実」
年齢: 9 身長: 149 体重: りんご138個ぶん
髪の色: 青緑(深みのあるターコイズブルー)
瞳の色: マゼンタ 肌の色: 小麦色
※一般技能、信仰はフレーバー程度です。
・少女の姿をした老齢のメリアの短命種。愛称はターリャ。
・枝垂れた金管楽器のような形状の鮮やかな紫色の花を、頭の側面から咲かせている。
・興奮すると花がパタパタと動くが、リカントの耳でさえ普通そんな動きはしない。
・腰の辺りまで伸ばした髪の手入れは欠かしたことがない。「抱き枕にちょうどいいの〜!」とは本人の談だが、ターリャはメリアなのでまず寝ない。
・''(自分より歳上とはいえ)養子が3人いるため、子供に対しては優しく接する。特にナイトメアや生まれにより忌み嫌われるような相手に対しては、過剰なまでに世話を焼きかねない。
・華美なる宝石飾りは籠手の形状。宝石はそれぞれ親指(光)人差し指(火)中指(闇)薬指(土)小指(水・氷)の付け根、甲(風)にあしらわれている。判定マイナス付きそうな形状してるけどフレーバー程度なのでゆるして……!
必要なさそうな情報(クリックで開閉)
・メリア短命種の一般的な寿命とされる年齢であり、じきに訪れるであろう死への恐怖に怯えている。
・普段の間延びした喋り方は、寿命に対して時間的な余裕があるというのを周囲へ示そうとする彼女なりの努力の結果であり、ひとたび余裕がなくなってしまえば、自らの役割を果たさず生への執着を口早に呟き続ける観葉植物と化すだろう。
・冒険者故、アンデッドや死体と相対した時に(嫌悪感を示しつつも)適切な行動をとることはできるが、問題はそれを見つけた・見てしまった時の反応で、周囲が逆に冷静になったり呆れたりするほどの動揺を見せてしまう事が多い。
・人生の大半を平和な街中で過ごしてきたというのもあるが、そもそも精神衛生上よくないものに耐えられるラインが非常に低く、同族の死体や自身の末路を想像させるような干からびた死体はもちろんのこと、枯れた植物や干物を見るだけでも動悸が止まらず、過呼吸になりかねない。(セッション1後)
・それを克服するためか、最近は“乾燥した”薬草類を使う水煙管に凝っている。(セッション1後)
・いつか遠くない未来に訪れる最期の時に怯え、精神的不安定さを見せることも多々あるが、「毎日を楽しく情熱的に過ごして生きる」ことを何よりも重要視しており、自分が思っている以上に立ち直りが早いのもそれに由来する。
前述の水煙管も(乾燥した葉ですら見つめていると不安になってくるが)結構楽しんでいて、いつか目的を果たし家族の元へ戻ったときには、自分が調合したフレーバーを「ジギターリャ・ブレンド」として販売できたら……と思っている。(セッション1後)
履歴
趣味程度の散文。
これまでのおはなし。
ジギターリャはメリア短命種の老齢の女性です。
老齢といっても見た目は10歳ぐらいの女の子ですし、活発的なので年齢(?)を感じさせません。
今日も流れるような長いターコイズブルーの髪を揺らして、花をぴこぴこ跳ねさせて情熱的に生きる彼女ですが、近い未来死んでしまうかもしれないのです。
それは、彼女自身が一番理解しています。
ジギターリャは、同族の誰よりも情熱と愛と幸せに満ち溢れた人生を送ってきたと自負しています。
多くの同族と同じように生まれ、半年ほどで現在と同様の姿になり、伴侶となる同族を探すついでに見聞を広げるため街で暮らし、そしていつしか運命の出会いを経て同族と恋に——落ちることはなく人間の商人と深く愛し合う仲になり、人生の大半を道具屋の看板娘(娘?)として過ごしてきたのです。もちろん、大半の冒険者のように食うに困ることもありませんでした……!
メリアが他種族と恋に落ちること自体は珍しいことではないのですが、その場合“種子”を残せないのが問題となることもあります。同族と子をなしたところで、その子を放置する可能性もあります。
ですが、ジギターリャはメリアにしては珍しい個体のようで、店で窃盗を働いていた他種族の孤児たちへ世話を焼き、夫と相談して全員を養子に迎えるような……他種族以上の母性を持ち合わせていました。
そうして賑やかになった家族たちと、春にはピクニックへ、夏には海水浴に行きました。秋は収穫祭で駆け回り懐も心も暖まって、寒い冬も揃って暖かい部屋で美味しいシチューを食べることができました。もちろん、時には夫婦喧嘩もしましたし、殆どが年齢も背も上で、しかも自分とは違う身体や心、そして将来への悩みを抱えた子どもたちの素行に頭を抱えることもあったのです。
ですが、問題をひとつひとつ解決し、力を合わせて困難を乗り越えて暮らしていくうちに、種族も個性もバラバラの、賑やかで不思議な道具屋一家は街の中では誰もが知る有名人となりました……!
そんな暮らしをを7,8周ほどした頃だったでしょうか。
ある日、ジギターリャはなぜか日に日に落ち込み荒んでいく息子の一人を気にかけ、いつものように相談にのろうとしたところ、彼に「死なないでくれ」と泣きつかれてしまったのです。
それからはもう大変。何事かと集まってきては状況を理解し、つられて泣き始める子どもたち(しかも、ほとんどがジギターリャより歳上です!)にまとわりつかれてしまっては、彼女も困った顔で立ち尽くすしかありませんでした。
子供たちの対応に困る部分もありましたが、初めて自身の種としての寿命が近いことを自覚して、いつか訪れる最期の時についてこれからずっと考えなければいけなくなったのですから……。
彼女は悩みに悩みました。それはもう、大いに。
残り少ない寿命を如何に過ごすか、子供たちには何を残せるのか。最愛のひとは、私がいなくなって大丈夫なのだろうか……。
初めての事態に、自身も家族もどう向き合えばいいのかわかりませんでした。もちろん、中には孤児だった者たちの中には家族の死を経験した者もいましたが、なかなか慣れるようなものではないのです。
それでも本当なら、天に召されるまでに悔いのないように家族と最期まで暮らし、少しでも向き合う事ができたらよかったのですが……彼女が出した答えは、錯乱しているとしか思えないようなものでした。
「どうせいつか散ってしまう身なら、面白可笑しく華々しく、情熱的に散ってしまえばいいんじゃないでしょうか〜!」
──この答えには、流石の家族たちも反応に困って黙り込んでしまいました。
それから何か計画を立てた彼女は、「私の最期を彩るんですよ〜!」と、あるものを得るべく冒険者として街を飛び出します。
彼女の家族たちはそれを、心の整理もつかないまま見送るしかありませんでした……。
そうして誕生から10年目を目前にした今。
何かを成すこともできないまま、勢いに任せて家族を置いていった後悔と、もうすぐ訪れるかもしれない死への恐怖に挟まれて彼女は苦しみ続けています。この時になってはじめて、自分のとった行動がただの現実逃避であったことを理解したのです。
ですが、旅を続ける彼女の顔から微笑みが消えることはありませんでした。
それが自暴自棄に近い空元気でも、たとえ目的を達成できなくても、不誠実だったとしても……そう在り続ける限り、あの情熱と愛と幸せに満ち溢れた自分のままでいられる。そう思っているのですから……!
なによりもあの日、魔動死骸区で深い傷を負った彼女の冷え切った身体を暖め、その震える手を柔らかな両手で包み込むようにとった修道女もこう言ってくれたのです。
「汝の為したいように為しなさい」と──
それからのおはなし。
各項目をクリックで開閉。
セッション1後のおはなし。
友人亭での初めての依頼で得た経験は、頭が破裂しそうなほど”濃い“ものでした。
きっかけは、ハーヴェスの街中を歩いていたときに、ギルドマスター代理のロウディさんに仕事の勧誘をされたことでした。同じタイミングで声をかけられたのが「病気を治すまでは死ぬのは勘弁です」と明るく話していたグラスランナーのミルルさん、(同行者を遮蔽物として見ている節はあれど)特殊な矢と賦術で私たちを支えたシアさん、道中では自ら率先して斥候を務め、ミニオンズに対しても致命的な一撃を与えた槍使いのニコさんです。そしてギルドで合流した、重い一撃を放つ不思議な雰囲気のルーンフォークさんに、仕事優先かと思えば嘔吐する私を(やや荒く)介抱し、依頼後も思わぬ優しさを見せていたナイトメアさんも加わり、即席パーティーで依頼を受けたのです。
その依頼とは、街と街を繋ぐ交易路の近くに出現した奈落の魔域を探索してほしいというもので、依頼料は破格の4500ガメル(うち500が前金)だったのです!すごいですよね?
もちろん、そんな美味しい話には裏がありました。私たちは、失われた魔動機文明の、その滅びの原因の一端を知り、不思議な少年と出会うことになったのです……。
冒険者ギルドを出て必要なものを買い、奈落の魔域の場所を知るというイーヴ神官のもとへ寄り、それから周辺の探索を始めました。探索では、なにか不気味な懐中時計(魔動機文明のものなのに、何故か私と同行者たちの名前が刻まれていたのです!)を発見し、各自で持つことにしたのです。
そして突入した奈落の魔域の内部は、これまた魔動機文明アル・メナス様式のもので、自警団の日誌やら、なにか恨み言が記されたメモやら……いろいろ発見しました。発見してしまったのです。
私に似た、干からびた死体も。
部屋では、何か青い光を放つ機械が動いていました。その部屋に入るとソレが床で事切れていました。同行者は、「貴女死んだ事があったの?」と訊ねてきました。わかりません。でもいつかはこうなってしまうのだと気付いた瞬間、身体の内側から蒸発していくような、大事な思い出ごと力が抜けていくような、痛みが█████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████
非常に恐ろしい事態に巻き込まれましたが、同行者の方々の気遣いで、無事に此方へ帰還することができました。
出会った魔神達も、前に書いたあの方が話していたものと寸分違わぬ者たちでしたので、同行者の方々と対処にあたることができました。
しかし、あの方には「為したいように」と言われていましたが、奈落の魔域内に存在していた魔動機文明の宇宙ステーション(びっくりですね!)内部の装置に入れられていたコハクくんを疑い、ましてや置いて帰ろうとした私たちの判断は、最良のものではなかったと思います。
つれてって、待ってと私たちを追いかけ、結果的にあの子は脱出を果たしましたが、もしそうはならなかったとしたら……
間違いはもう犯したくはありません。いつか、あなたやあの子達の元へ、胸を張って帰るためにも。
情けない事といえば、ギルドで久々に「おかえりなさい」と声をかけられて……ホッとした拍子に気付いたのですけれど、脱出から神殿での報告を経てギルドまでの道中、彼方で吐いたもので汚れた服をずっと着ていたのはかなり恥ずかしかったです。
誰も指摘しなかったのは優しさでしょうか。思わずロウディさんにあたってしまいました。ごめんなさい。
そろそろ夜風が寒くなって来ましたし、日記を書き終えて、今日のうちに汚れた服を洗濯しないといけません。
胸元からかなり下の方までアレがソレして垂れてしまっていますし、もし染みが残ったら新品を買わなければいけないかも。
水着だけだと寒いですし、何よりふしんしゃさんですしね?
セッション2後のおはなし。
あなたへチョコレートを送った日のことは忘れません。
私が作ったチョコレートを、いつも以上にドタバタしながらあの子たちが啄む姿を、私とあなたは微笑ましく見守っていましたね。
私やあなたの分まで全部平らげてしまった時は、流石の私も拳をぶつけてしまいましたが、あまりに美味しかったからと涙目で言われてしまうと、嬉しいきもちと申し訳ないきもちのほうが膨れ上がってしまったのも覚えています。甘い母親です。
あなたにとっても甘い伴侶、でしたよね?
あのあと、身も心もチョコレートのようだ〜とかなんだとか、よくわからない曖昧な愛の言葉を寝具の上で囁かれた時はちょっと痒かったのですが、思い出すたびに胸が暖かくなって顔が真っ赤になってしまうので、私もあなたと同じ感性をしているのかもしれません。
ちょっと嫌です。冷静に考えると、かなり嫌です。でもすき。
話が逸れてしまったのですが、先日の依頼はなんと、魔動機文明のチョコレート工場の探索でした!
えへへ、実際に食べちゃいましたよ、魔動機文明のチョコレート。とんでもなく甘かったです!
あんなに甘く、とろけるような想いで胸が満たされたのは久しぶりでした。もちろん貴方████████████████████████
かなり貴方に感性が似てしまっていて嫌です。本当に嫌です。でもやっぱり██
また逸れてしまいました。互いへの想いを募らせ、いろいろ見えなくなってしまうのは私たちの悪い癖です。
その工場は確かに魔動機文明のものでしたが、工場の主はなんと当時から生き続けていたみたいです。正確には、強い想いから再び目覚めてしまったようですが、詳しいことはあまりわかりませんでした。
なにせ、途中から様子がおかしくなった彼女と対峙することになってしまったのです。結局わかったのは、私たちと彼女が過ごした世界には深い断絶があり、私と同行者達との考え方にも、深い断絶があったことだけでした。
彼女らは冒険者ですが、私はただの元道具屋でしかありません。彼女と、その愛する者の酷い死に様を見た彼女たちの反応は、特異な経験をしてきた者のそれで、あなたと幸せな人生を過ごした私とは大きく異なるもので……
でも、今回初めて同行した彼女だけは違うようでした。エルサットさんは凄腕の射手で、無口ながらも自分の役割を果たしていました。彼女だけは、チョコレートのレシピを教えてもらったお礼を、こんな形で返すことになったのを悔やんでいました。
エルサットさんは、大切なひとを亡くしたようでした。
チョコレートは、彼女にとってだいじな思い出だったみたいです。
いろいろありましたが、その後はギルドでチョコレートを販売するようになりました。
エルサットさんは、チョコレートを作っては食べています。悪友さんは相変わらず胡散臭いです。前の依頼で助かったあの子の問題も、まだ片付いてはいません。
ですが、心の整理がつくまでの間、私もチョコレート販売の方を手伝うつもりです。同行者の方も手が空いた時に一緒に手伝ってくれるみたいですし、何より道具屋の経験が活かせそうですしね!
特にシアさんはしばらく手が空いてるようなので、お話とかいろいろと聞けたらなと思います。最近見かけないナイトメアのあの人にもちゃんとお礼を言いたいですし。どこに行ってしまったんでしょうか?
長々と書いてしまうのもなんなので、そろそろ髪を梳かして休もうと思います。あなたはきっと怒るのでしょうが、休養に水煙管等を嗜むようになりました。
でも、最近は毒性のないものも増えていて、それは私も体感済みなので怒らないでください。嫌いにならないでください。
私の中で、はじめてのきもちがぐるぐると渦巻いています。あんな事をしてしまったのに、あなたはきっと私のことを嫌いになんてならないと思ってしまうのです。そんな自信があるのに、嫌われてしまわないかと悩んでいるのです。意味がわからないでしょう?
ごめんなさい。離れてるとやはり心寂しいです。あなたを感じられない時間が多くなればなるほど、あなたの愛を疑ってしまいます。あなたも私の愛を疑ってしまっているでしょう。そうしたのは私なのに。
すきです。ごめんなさい。あなたを、あなたたちを置いていった私を、ゆるしてください。きらいにならないでください。だいすきです。いつまでも。いつまでも。いつまでも──
セッション3後のおはなし。
こわいです
(破かれたページの紙片)
ええと、なんと言いますか。いろんなことが起きました。
あの子がですね、増えました。そう、コハクくん。
私はその日も友人亭でチョコレート販売のお手伝いを終え、ウェイトレスとして皿を洗っていたのです。
こういう仕事はやはり楽しいです。洗剤はちょっとぴりぴりしますけれど、お水と長い時間触れられるのは利点だとおもいます。そういえば最近水たまりに飛び込んだりもしてません。あなたに何度も怒られてやっと学びを得たのです!
じゃなくて、墜落した宇宙ステーション(あなたたちも見たでしょうか?)の探索をしていた例の同行者たちが、コハクくんと瓜二つの子どもたちをたくさん連れてきました。瓜二つどころでも三つ四つでもありません。最近瓜を食べてません。あなたたちは目を離すとすぐ好きなものばっか食べようとするので困ります。バーベキューをするのはいいのですが、野菜も食べてください。置いていった瓜のシチューなどのレシピも活用してくれてると嬉しいです。
じゃなくて!!!
悪友さんが帰ってきた面々に対して話していたのですが、コハクくんの寿命はもう1週間ほどしかないそうです。
彼は「道具が意思を持つのは別に構わない。だが、資源を逃すのは良くない。だから、逃げても役に立たないようにしたんだ。」と言っていました。私が思わず落とした皿のことも少し気にしただけで、そのまま真面目な顔で話を続けていたので本当の事なのだと思います。あの悪友さんが、真面目に話してるのです。
一応、彼が知る限りの4つの延命方法も聞いたのですが、正直、理解が追いついていません。残酷としか言いようがないです。
同行者の方々も、流石にコハクくんには情が湧いていたようで、延命方法についてひとつひとつ聞いては顔と顔を突き合わせて悩んでいました。ただ、ミルルさんはいつもと少し様子が違いました。いえ、最初会った時とは徐々に変わっていたことに私が気付いてなかっただけかもしれません。
グラスランナーといえば、若干いい加減でふらふらしていて、そしてとっても明るいひとたちだと、私もあなたも思っているはずです。私たちの子どももそうですしね。
でも悪友さんの意地悪な問いに、ミルルさんは「私のエゴでもコハクくんには生きることの素晴らしさをもっと感じてほしい。その結果恨まれてもいいと思える」と笑顔で答えたのです。私がよく知るミルルさんとは思えない雰囲気で、愛というには少し……狂気じみていたと思います。同行者や悪友さんの困惑の表情というものを、その時になって初めて見ました。
そんな彼女の覚悟に答えて思い入れのある品(病気にかかりやすくなる代わりに、寿命が延びるペンダントらしいです)を渡した悪友さんですら、その後の彼女が恍惚とした表情で計画を練る姿を黙って見てることしかできなかったぐらいですから、私は怖くなってその場を離れることしかできませんでした。
私はこの旅の中でいろいろな経験をしました。それでも今まで解決できなかった一番の問題については、あなたも察しが付いているとは思います。私が選ぶべきだったのは、悪友さんが冗談で示した4番目の答えだったのかもしれません。
悪友さんがミルルさんへ送ったペンダントを目にして、実際にその効能に気付いた時、私は頭の中が真っ白になってしまいました。次に意識が何を考えたかは、書き記したくないです。それでもきっと、あなたはわかってしまうのでしょうね。
そんな想いを抱いた私ですら、あの場ではまともな方だったかもしれません。これまでの冒険ですらそうでした。ただの一回でも抱いてはいけない想いを抱いた私が、死の恐怖に怯えてあなたたちにも自分自身にも向き合わず逃げた私が、ラーリス神官に救われて、それを感謝しているような私が、この場では真っ当に生きている方だったのかもしれないのです。
まともとは一体どういうことなのでしょうか。死に怯えることなのでしょうか。足元の死体から自分の末路を想像し、その場から逃げ出すことなのでしょうか。周囲が自分と違うことを知り、苦しむことなのでしょうか。刃を向け、悲惨な末路を遂げたひとの為に泣くことでしょうか。それを冷めた目で見ることでしょうか。抱いてはいけない想いを抱いてしまうことは普通なのでしょうか。生きていてほしいというエゴを、相手の想いをねじ伏せてまで実現してしまうことが普通なのでしょうか。
先は長くないというのに解決するべき事態はたくさんあって、まだまだわからないことも沢山あります。それでも、今になってようやくわかったこともあります。
私にとっての「まとも」が「今までの経験に基づくもの」であれば、これからとるべき「まとも」な選択はこれからなるべく早く帰路へとつき、あなたたちへ謝って、残りの人生をいつものように家族と一緒に過ごすことだということです。
幸いにも、私の目的はもう果たせそうです。もう暫くしたら、ロウディさんと悪友さんにお暇を頂いて、たくさんの“私”と共にあなたたちの元へと帰ります。
もし、この日記を一緒に読むことがあれば、私はきっとあなたと初めて出会った頃のようにお叱りを受けている最中でしょう。
そこにいるのは10年経っても成長らしい成長すらしてない私です。それでも赦してくれるのなら、最期までお付き合いしていただけませんか?
お返事、お待ちしております。
セッション4裏のおはなし。
あんな日記を書いてしまったのに、「家族の元へと帰ります」と言えないほど忙しい日々が続いてしまいました。
そして、最悪の事態に突入してしまいました。
それが起きたのは、いつもの同行者の方々が新しく友人亭に加入した冒険者を連れ、あのイーヴ神官のアザレアさんの依頼を受け、街へと繰り出してしばらくしてからのことでした。
あの人たちが受けた依頼はハーヴェスで目撃されている魔神らしき存在の調査で、まず本当に魔神が出没しているのかどうかを確かめ、もし本当に出没しているなら発生の原因を突き止め、余裕があれば解決してほしい……というものだったそうです。
私も、お店のお手伝いの際に常連の方々が噂していたのを耳にしていましたし、出発した後のチョコレート販売の際、奥様方が「中央の方では既に怪我人が出ている」と話していたのをちょうど耳に挟んだので、それを伝えようと後を追ってはみたのですが、あの人たちは纏まって行動するタイプではなく自由気ままに合流したり別行動をとったりしていたようなので、あちこちを行ったり来たりしたところで直接会うことはできませんでした。
妖精さんたちにたくさん手伝ってもらった結果、ミルルさんやエルサットさん、彼女らについて行った妖精使いの方(親近感!)が演奏や弓での曲芸で人を集めて聞き込みしていたこと(大盛況だったみたいです)や、仕事人なニコさんが他の冒険者の店に紛れ込んで情報を得ていたのはわかったのですが(あの凄腕の仕事を見抜くひとが居るあたり、つくづく冒険者業は魔境だと思います)、ルーンフォークさんは港の素行のわるい方々と“筋肉で話し合って”いたようでしたし(私が辿り着いた時には何人か運ばれた後で、知り合いだと話しただけで襲われかけたり逃げられたり大変でした。途中でこっちに合流したらしい妖精使いの方がそれをそばで見ていたという目撃談もあり、やっぱち例に漏れずろくでもないひとな気がしてきました……残念)、挙げ句の果てには異国の料理店でご飯を食べる“ついで”に聞き込みしていた方もいたようで……(かなり食べ回っていたようで、同じように聞き込むために払った飲食代はとても厳しい出費となりました。つくづく冒険者業は魔境で、度し難いです)。
ともかく、最終的に全員がハーヴェス中央の城に近い研究所へ向かったことがわかり、私もそちらへと足を運ぼうとしたところで“それ”が起きてしまったのです。
にわかに街中が騒がしくなり、「近くに魔神が出た」「大通りの方へ避難してくれ」と叫びながらイーヴ神官の方が進行方向へと駆けて行ったのを見て、思わず私も後を追ってしまったことが間違いだったのかはわかりません。
確かに一度、その路地をコハクくんに似た“彼”の付き添いで通ったことがありました。“彼”はその先にある、少し顔が怖いけど根は優しい方々がいる冒険者ギルドへと引き取られていったのです。
なんといいますか、こう……私たちの愛する子どもたちのような方々ですし、手土産として差し出したチョコレートをそれはもう美味しそうに食べていたので、ハーヴェスを出る前にもう一度顔を見せるつもりでした。
なのにギルド前はめちゃくちゃで、見知った顔が石畳に転█████████████████████
███████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████
よごしてしまいました。ごめんなさい。
ただ衝動に任せて、魔神に妖精魔法をぶつけたのは覚えています。妖精さんの力を振るいすぎて、ギルドの周りに肉の焦げるような臭いが充満してたのも、同行者の方々よりは優しいイーヴ神官の方々が、背中をさすってくれたことも。
みんなそこにいたのに、どこを探しても“彼”だけがいませんでした。その代わりに、魔神の残滓が残っていました。
それから、他所でも同様のことが起きていると伝えてきた神官さんに頼み込んで、いつもより大勢で数体の魔神を倒して回りました。もしかしたら同行者の方々も同じような状況の中にあったのかもしれません。
シアさんや、今も再会できていないあのナイトメアのひとも、どこかで戦ってたのかも。
いつもなら、同行者の人達に直接話をして、何があったか聞くことができたのかもしれません。しかし、今は受け止め難いことが多く、こうして落ち着いて日記を書けるまでだいぶ時間がかかってしまいました。それでも、書き留めておきたいと思ったのです。書いているうちに思考がまとまることを祈りながら。
それでも、祈りは届かなかったみたいです。思考がまとまらないうちに、いろいろなことが立て続けに起こり続けています。どうやら、事態はまだ終息していないみたいです。
私が部屋で魔香草を焚いたり魔香水で落ち着いたりしている間に、血塗れのアザレアさんがこの友人亭へとやって来て、新たに依頼を出したそうなのです。
ロウディさん曰く、それは魔域の調査だと。
何やら、同行者たちは森の奥の始まりの入り口がどうとか話していたと。
様子のおかしいミルルさんとコハクくん(今日はなぜか変装をしていました)と、いつものように淡々と用意をしていたニコさんとルーンフォークさんと、何やら考え込むエルサットさんと、共に依頼を受けていた2人の7人パーティは夜遅くにそこへ向かったというのです。
コハクくん達の問題は、私があなた達の元へと帰り、寿命を迎え土へと還る間に、ミルルさん達が解決してしまうだろうと思っていました。多少の歪みを抱えてでも、それだけのことを成せるひと達ですから、いまさら私がいなくても大丈夫だと思ったのです。
しかし、なんだか嫌な予感がします。
森の奥で始まりといえば、ここでの初めての依頼で訪れたあの忌々しくも捨てがたい経験をしたアレ関係なのでしょうが、あの魔域の迷宮は確かに消えた筈です。ミルルさんがコハクくんを連れて行った理由もよくわかりません(最近の彼女だったら、命の危険がある場所なら安全な場所に置いていくか、そもそも向かいなどしない気がします。私の偏見かもしれませんが)。
魔域といえば、あの方と同じ神を崇める多くの信徒や魔神は、こちらの世界に狂神──もとい暗黒神──を降臨させることを目的に暗躍しているのだと聞き及んでいます(前に記した通り、彼女には違う目的があるようでしたが)。
もし魔域が何らかの理由で魔神が発生させたもので、そこに彼女らはコハクくんを連れて行った、もしくはそこに向かうコハクくんについて行ったのだとしたら。今回の件は全く関係ないとは思えませんし、あれだけの魔神を街中に出現させるような存在がいるとしたら──
何が起きるかはわかりませんが、この日記が私の最期の日記にならないことを願います。間に合うといいのですけれど。
帰るのはまだまだ遅くなりそうです。でも絶対帰りますから。これを読んでる時、あなたのそばにはいつものように私がいるはずでしょう?
セッション5後のおはなし。
結論から記すと、奈落の魔域の発生は魔神の手によるものではありませんでした。だからといって、良かったとはいえません。
こうして生きて帰って来ることができたとはいえ、受けとめきれない感情の波に押し流されて、あろうことか幼子のように年甲斐もなく泣き喚いてしまいました。
しかし、私はもうこんな歳ですから、そのまま疲れ果てて眠れるわけでもありませんし、今はニコさんの夜泣きがひどいので付きっきりでお世話するしかありません。
事態を受け入れるためにも、あなたが生まれて間もなかった頃の私に教えてくれたように、起きたことをひとつひとつ整理していきましょう。
まず、街の顔役である神官のアザレアさんが道端で息絶えてました。なんでもコハクくんと同じ境遇の、彼ら“だった”者たちに取り憑かれていたらしく、同行者たちに襲いかかって来たというのです。
彼女たちとはそれなりに過ごしたので、どういう攻撃を、どういう勢いで加えたのかはよくわかります。
避けられない、戦いだったのでしょう。
その報告を新しい同行者の片側、例の食いしん坊タビットさんにお任せして、私達はあの日と同じ場所に出現した奈落の魔域を前に、重苦しい空気を払拭すべく明るく振る舞い、決意を新たにしながら内部へと足を踏み入れたのでした。
暫くの落下の後に辿り着いた内部は、赤とピンクで構成された肉の空間でした。そしてコハクくんはどこか別の場所に飛ばされたようで、意志の疎通もとれない幻影だけがそばにありました。
不思議な空間の中で、なんの成果も得られないまま右往左往しているうちに、突如コハクくん(の幻影)が走り始めました。私達はそれを追い、宇宙ステーションで見たような大きな試験管のような容器が並ぶ空間を抜けていき……辿り着いた先には、この世のものとは思えないほど露悪的な、気分の悪くなるような光景が広がっていました。
そこは黒々とした空間で、生の気配など全くありませんでした。
積み上がった黒い山も、私達が立つ地面も、全てコハクくんと同じ顔の者達の成れの果てで構成されていました。それらは全て、山の頂上まで生きているものを誘い出しては触手で切り裂き、彼らの中身を己の養分としていた黒い太陽によるものでした。
その中に、私達が知るコハクくんがいました。ミルルさんの必死の呼びかけも虚しく、瞬く間に触手に絡め取られ、顔から黒いツツジの花を咲かせてしまいました。
黒い太陽は、研究の果てに何かを見出した者の末路のようで、時折あの悪友さんの名前を
ニコさんの夜泣き、数え始めてから3回目。
そうでしたね。“あの”悪友さんの名前を叫んでいました。怒りと必死さのあまり「どうでもいい」とさえ思っていたのですが、どうでもよくはありませんよね??
問い質したところで求める答えが返ってきそうにはないので、後で茶に雑巾でも絞って全部飲ませることにしましょう。
それはいいのです。どうでもいいのです。黒い太陽の話に戻しましょう。
何かを見出した彼(だと思います)は、コハクくんの記憶を元に、私たちの特徴を有した触手を生やしてきたのです。しかし、コハクくんが「この記憶だけは渡せない」と踏みとどまったおかげか、ミルルさんの特徴を有した触手だけはその中にありませんでした。
ミルルさんが震える手先でなんとか演奏し、妖精使いさんが補佐し、ニコさんが気を引いては、ルーンフォークさんがガメルを投擲して隙をつくり、エルサットさんが自らを模したらしい大弓のような形状の触手を討ち取っていくなか、私は最善策だと信じてコハクくんを巻き込みながら炎の嵐をぶつけました。その度にミルルさんは悲鳴をあげ、コハクくんが「いいんだ」と苦しそうに呻いていました。
その甲斐あってか、触手や味方の攻撃が飛び交う乱戦状態の中でもどうにか核となる部分を燃やし尽くすことには成功しました。
成功は、しました。でも、それだけじゃ足りなかったのかもしれません。炎の嵐を浴び、触手から魔力を吸われ続けていたコハクくんは「後から追いつきますから」と██(涙の跡)
あれが、本当に正しかったのでしょうか。
痛みに呻いていました。そこにまた火炎の嵐をぶつけたのは私じゃないですか。私が、私が██████
コハクくんを生存させるという依頼を失敗した為か、ニコさんは何かに怯えるように取り乱し始め、ついには幼子のように泣き始めてしまいました。彼女が抱えていたものは、とても重かったみたいでした。
トビさんが退行を起こしてしまったニコさんを引きずっていました。私は、どうか優しくしてあげてと懇願しながら、それについて行きました。
妖精使いさんが、気の毒そうな顔で後ろを歩いていたのを覚えています。
エルサットさんはまた誰かが大切なひとを喪う姿を見たことで、気が滅入っているようでした。
ミルルさんは、四肢の崩壊したコハクくんを抱えて歩き続けていました。初めて出会った時とは逆に、その場の全員が「外へ連れ出さなければ」と思っていたとしても、それをするのは、それをしていいのは、彼女だけだったでしょう。
何度も何度も足を踏み外し、転びながら……なんとか脱出した私たちを待っていたのは、あの悪友さんでした。いつもの物言いに不評ばかり買う姿は、場違いなほどいつもどおりでした。
もしかしたら、核となっていたあの黒い太陽のことを知っていて、申し訳なく思っていたのかも──それはないですね。彼に関してはもう、なんか、いいです……。
ニコさんの夜泣き、4回目
そこからは、もう地獄でした。
先程のように泣き叫ぶ、幼児退行してしまったニコさんと、おおよそ正気ではないミルルさんの言動を理解しかねたのか、激怒したルーンフォークさんが流暢な魔動機文明語でまくしたてながら二人をビンタしたのです!
怒られることに敏感なニコさんが更に声を大きくして泣き始めますし、(それをあやしていたので集中して聞けてはいなかったのですが)ミルルさんは自分が正気で、コハクくんが眠っている事を理解して”帰ってきたときのためにお世話“をするのだと主張していましたし。
それを見つめていた妖精使いさんの、ただただ「この場にいたくない」という、困惑したような顔が印象的でした。
彼がやたらと印象に残っているのは、たぶんこの街で初めての依頼が魔神騒ぎからのこれで、ついつい目で追ってしまったからでしょう。
初めての依頼の面子がこの様で、予想もできない地獄に巻き込まれてしまったのですから、本当にお気の毒だと思います……
私も、悪友さんに煽られたり、また手を上げたり引きずったり乱暴に扱おうとするルーンフォークさんに背を向けてニコさんを庇いながら、大丈夫だから、大丈夫だから……と声をかけ続けているうちに、涙がぼろぼろと溢れて、後悔と哀しみと、なんとかしなきゃというきもちが、抑えきれなくなって……
これを読んだあなたが悪友さんの元へ向かおうとする姿が見える気がしますので書いておきますと、あのひとは私以上に強いです。
あと、今回“は”単に煽りに来ただけではなかったらしく、コハクくんから「1ヶ月待ってほしい」と伝言を預かっていたのです。
その後の記憶は曖昧で、なんかもう限界になって半狂乱になりながら泣き喚いてしまっていたようです。様子を見にきた知り合いのイーヴ神官戦士さんがいうには、「昔、偶然その場に居合わせた時に目撃した、夫による妻への暴行事件のようだった」そうです。記憶が曖昧なのは、完全にブチギレたルーンフォークさんにビンタされて気を失ってしまったせいです。私の身体が中に浮いてたそうです。情熱的ですね。
(なんらかの染み)
あと、あとですね、ニコさんの夜泣きが止まりません。今は一人で何かできる状態ではないので、私がそばにいるのですが……やはり私ではダメなのでしょうか。この子のおかあさんにはなれないのでしょうか。涙が出てきます。死にたくなってきました。死ぬ暇もありそうにないです。いいことなのでしょうか。わかりません。もう泣いた数を数えたくなんかないです。数なんか。算数はきらいです。でも道具屋がんばってたんです。がんばってたんですよ。ひっしに。ひっしにですよ。
ああもう。ルーンフォークさんが扉を叩く音がします。がんばります。ほっぺがまだひりひりします。いたいのはいやです。日記はこれでおしまいです。たすけて。
シークレット後のおはなし。
ニコさんが「まま」と呼んでくれるようになってから、今日でちょうど1週間です。えへへ、ニコさん記念日です!
あの子たちも手のかかる子ではありましたが、こうして私のそばで眠っている彼女を見ると……こう、漠然と、“母親〜”という感覚がして笑顔になってしまいます。なんか胸があったかいです。この子は一応大人だったので、胸に抱くにはちょっと身体が重いですけれど。
先程、ロウディさんからおやつにチョコレートをもらいました。甘くておいしいです。疲れた心身によく効きます。乙女は甘いもので出来てるのです。だから情熱的なのです。
なのに、その甘くておいしいチョコレートを受け取ったいつもの皆さん(マツシゲさんはまた食べ歩き、チキさんとシアさんは依頼完了の報告に行っているようなのでこの場にはいません)は、やはり少し落ち込み気味です。
ルーンフォークさんはいつもの調子でしたが、エルサットさんは出会った頃のような暗さに戻っていましたし、ミルルさんはコハクくんと一緒に過ごすそうです。ロウディさんはまた謝ってます。悪友さんも「戻るといいな」と声をかけていました。一応、本心なんでしょう。
いつもどおりです。2週間前からの、いつもどおり。
かなしいですけれど。さみしいですけれど。
日記を書いてたら、雨の匂いがしてきました。夕方からは雨が降るかもしれません。
二階からは、今日も子守唄が響いています。とりあえず日記はここまでにして、本でも読むことにします。
奇跡が、奇跡が起こりました!!
コハクくんが、帰ってきたのです!
えぇと、何から説明したらいいんでしょうか……!?
そうそう、やっぱり夕方は雨でした!
ニコさんへ読み聞かせるために、魔動機文明時代に流行っていたらしい魔法少女という作品を読んでいたときのことです。
ロウディさんに店を任された悪友さんが、鎧を着込んだ男性を私とニコさんの近くの席に座らせました。そういえば、悪友さんが仕事をしているところを久々に見た気がします。それはどうでもいいんですけれど。
で、その男性がコハクさんだったのです!!!
いや、やっぱりちょっとよくわからなくなってしまいましたね。
うーんと、そうです。ミルルさんの様子を見に行った皆さんがロビーに降りてきたその時、ニコさんが泣き始めたんです。
このとき私が下した判断は、まず抱きかかえて宥めたあと、玩具で気を引くというオードソックスな作戦でした。
ですが、それ以上にルーンフォークさんの投擲は素早く、ニコさんの口にチョコレートがすっぽり!喉に詰まったらどうしてくれるんですか!?
……とまあ、意識があっちこっちいったあと視線を戻すと、なんと鎧を着込んだ男性が、ニコさんをあやしてるのです。なんて素早いのでしょう。そこで初めて気付いたのですが、頭からツツジの花を咲かせた彼はメリア長命種だったのです。私は子持ちなのかと思ってました。
でも、コハクくんだったのです。ここおうちじゃないと泣きわめくニコさんをあやす彼の首には、ミルルさんがつけている指輪と同じ物があったのです!
それに気付いた彼が私に目配せしてきたので、それに頷き、ニコさんを抱きしめておとなしく黙っていることにしました。
そして彼は自己紹介をします。「アンバーです。ツツジのメリア長命種です」と。
彼は「生まれた記憶がないのでそれを知るために冒険を」とか「この指輪は大事な手がかりで」とか言っていましたが、周囲の表情を窺えば驚いたり察したり「わかってる」みたいな顔をしてたので……バレバレでした……。
唯一、ミルルさんは戸惑いながら、彼の指輪を見せてもらっていました。彼女の瞳からポロリ、ポロリと涙が溢れ始めると、慌てた彼は
「どうしちゃったんですか、ミルルさん!?」
と、叫んでしまいました。茶番はおしまいです。
ぷーっと頬を膨らませた、出会った頃のような雰囲気のミルルさん(むしろ、その頃よりなにか可愛らしくなったような気がします)が、彼に勢いよく抱きつき、その勢いを受け止めきれなかった元アンバーのコハクくんが尻餅をつきます。ニコさんが「おうたのおねえさんがだきついてるー」と指をさし、エルサットさんは「依頼は失敗してなかったよ」と優しく声をかけます。喪われたはずの彼は戻ってきましたが、ニコさんの心の問題はまだ解決していません。それでも、今はいいのです。今も、夜泣きもせずぐっすりと眠っています。
「ありがとう」と「ごめんなさい」を交わしたふたりは長いこと抱きしめ合っていました。私たちは、いろんな想いを胸に抱え、それを見守っていましたが、雨に濡れて冷えたらしいコハクくんがくしゃみしたところで、一旦お開きになりました。
冷たい鎧に抱きついていたはずのミルルさんは、それでも触れる肌の暖かさを感じていたかったらしく、少し寂しそうな顔をしながらも離れると、彼といくつか言葉を交わし、急に私の方を見たのです。
正直、いろいろと思い当たる節はあったので、殺されてしまうのかと思いました。細切れにして、土に埋める計画とか。そういうやつです。
着替えた彼は、「おさがりですがもらってください」と、あの御守りを差し出しきたのです。
「私がこの中で一番長生きなので」と苦笑しながら。
この前まで私より先に寿命を迎えそうだったひとが何を言っているんですか、と笑いながら本当にいいのかとたずねると、
「えぇ、僕のわがままですから!」
と、本当にいい笑顔で答えるのですから、正直ミルルさんが羨ましい限りでした。
コハクくんは、あんまりわがままらしい事を言わない子でしたし。
子供はやはり、わがままなぐらいがいちばんです。そう話したら、コハクくんはちょっぴり不満そうにしてましたけれどね!
そして、またミルルさんと再び向き合った彼が、なにやら一世一代のアレを始める雰囲気を醸し出していたので、同じく察したような顔のルーンフォークさんが「そいつをもういっかいへやでねかせてやれ」と促してきたので、また泣き始めたニコさんを連れて二階へ上がることにしました。階段の途中で振り向き「情熱的にね」とウインクしてエールを送った際、ちらりと見えたエルサットさんの顔は、陰はあれど満足しているようでした。
彼女も「ブラックチョコが作りたくなった」と懐中時計を見ながら厨房に消えていったので、ロビーに残ったのは若い男女がふたりきり、です!
二階に上がると、ルーンフォークさんが珍しく手招きして私とニコさんを自室にあげると、最初の依頼の時に拾ったあの懐中時計を開きます。そうです。エルサットさんも見ていたあれです。
すると、その時計から発生した小窓の中にミルルさんが映っていたのです!ルーンフォークさんが人目を避けて懐中時計を確認していたのは、こういった記録を観ていたからだったようです。こんな機能があるなんて知りませんでした、と話すと、こはくのちがひつようになるからな、と話していました。こはくのち。コハクの血……いろいろと気になる話でしたが、それよりも一世一代のアレに意識が向いてしまいます。
そして、待ちわびていた時が訪れます。静かな部屋にふたりの言葉が流れ始めます。私は、うわーっ、とか、きゃーっ、とか言いながら、熱くなる顔を手で抑え、隙間からそれを覗いていました。途中から肩が重くなったと思ったら、いつの間にか帰ってきたらしいシアさんと、トウモロコシを膨らませた菓子を頬張るマツシゲさん、それに咎めるような目線を私たちに向けながらも、一緒になって逢瀬を見守るチキさんがいました。
ルーンフォークさんは露骨に顔をしかめ、嫌そうな声で「じぶんのでみろ」と言いましたが、マツシゲさんの抱える袋から菓子を掴んで頬張ると、それっきり黙ったまま小窓を観るのに集中していました。
小さな窓の中では、何度もふたりの顔が近付き、離れるのを繰り返しています。愛の言葉が、何度も何度も囁かれています。
指の隙間からそれを見ているうちに、あなたの顔が思い浮かびました。ふたりはきっと、これから楽しいこと、悲しいこと……いろんなことを分かち合って過ごすのでしょう。
私があなたとすごしたように。
そして、私があんなに恐れていた死ですらも、彼女たちを再び分かつのは難しそうです。
大したこと、ないのかもしれませんね。
とっても情熱的な、いい日でした。
その後のおはなし。
えぇ、そうです。たまに、友人亭の方たちから手紙が送られてきます。
一番多いのがロウディさん。意外と乙女っぽい彼女とは、流行の香油とか、服とかの話をします。
次に(といってもロウディさんより遥かに少ないのですが)多いのがミルルさん。最近は子供を授かるべく、詩人らしく伝承や物語を探りながら、各地を旅しているようです。もちろん、コハクくんと一緒に。
(ミルルさんといえば、私が御守りについて仄暗い想いを抱いていたことはお見通しだったそうです。もし、そういった行動をとっていた場合、どんな風にこちらの力を削ぎ、身体の自由を奪い、どのような方法でトドメを刺していたかを淡々と説明してきたときは、しばらく夜中にトイレへ行けなくなるほどでした)。
ごく稀に、他の同行者の方々からも送られてきます。
シアさんとは仕事の話を、エルサットさんとは時候の挨拶に加え、昔を懐かしむ話を、チキさんとは妖精使いとしての知識や経験の交換を行い、マツシゲさんには地元で料理を振る舞う祭の告知をしています。
悪友さんは、なんか旅行先から送ってくることがあります。自慢ですか。まあ、楽しそうなので、よしとします。
あのトビさん(結局、友人亭から旅立つ時になって初めて名前を知りました)も、こちらから手紙を送ると、たまに最低限の連絡を返してきます。ニコさんを気遣うような素振りも見せる時があるので、今も誰かにとっての頼れる前衛なのでしょう。ビンタをかましているかは、謎ですが。
あと、帰ってきたときの話ですよね。
沢山のジギタリスの鉢植えを積んだ馬車と共に帰ってきた私を見た家族たちに、感極まった顔で抱きしめられたり背中や肩を叩かれたり服に鼻水を付けて号泣されたりしているうちに、やっと帰ってこれた実感が湧いた私が泣いて謝ったり謝られたりわんわんぎゃあぎゃあしてたのですが、しらないひとがいっぱいで泣き始めたニコさんに気付いた家族たちが、あの日のような困惑した顔で私を見つめてきたときのことは忘れられそうにないです。
その後もいろいろありすぎて、今回は省略させていただきますが、ニコさんは無事に受け入れられ、今も順調に成長しています。なんと、最近はひとりでスプーンを使ってごはんをたべるようになりました!流石は私の自慢の子供です。かわいいです。かわいい。他の子供たちと喧嘩することも多いですが、彼らもしっかり面倒を見てくれています。
それでも遠い昔の日々を思い出すのか、頻度こそ減ったものの夜泣きは続いています。ダーリンは、私がいきなり大人の女性を連れて帰ってきて一緒のベッドで寝ているので、大変複雑な想いを抱いているようです。なにがハニーが寝取られちゃったよおですか。前よりも激しく███████████████
いえ、なんでもないです。まぁ、情熱って、いいですよね。
それで、貴女はお元気でしょうか。なんであれ、共に過ごした日々は変わりませんし、今も友人である事は変わりありません。
以前、地元にやってきた時はびっくりしました。いくら祭の日とはいえ、あまりにも不用意ではなかったかと思います。自由なところは貴女らしくていいですけれど、マツシゲさんは気付いていたかもしれませんよ?
貴女の信ずる自由が、自由を求める隣人を助ける事だというのはこの身で十分理解してはいるのですが、あまり無茶はしないでくださいね。
蜻蛉が飛び交う季節が過ぎ去り、もうすぐ冬がやって来ます。
花を咲かせる身としてはかなり厳しい季節ですし、咳に血が混ざってたいへんです。ですが、来年もこの季節の移り変わりを感じられると思うと、胸がドキドキします。
この一年で失ったものもあれば、得たものもあります。
結果として長い人生になりそうですが、あの冒険のあとなら、寿命がそのままでも後悔せず死ぬことができたかもしれません(今はニコさんが成長するまでは死ねませんし、そんなこと言ってる暇もないぐらい忙しいです。お店大盛況!)
魔動機文明時代、旅立ったまま帰ってこない者のことを彗星に喩えることがあったそうです。ですが、無謀にも冒険者として旅立った私もあのコハクくんも、冒険の中で輝きを増し、燃え尽きるどころかこうして帰ってこれたのです。
奇跡のように見えますが、きっとそう見えるだけなのです。
私は不誠実な女ですが、死にかけたところを貴女に助けられ、友人亭で過ごし、いろんな人に助けられながら苦難を乗り越え、こうして挽回のチャンスを得た。
閉じ込められて死を待つだけだったコハクくんも、冒険の中で学び、経験して、ミルルさんと恋に落ち、繋がりを信じたおかげで、今もどこかで輝き続けている。
燃え尽きようとする彗星を、誰かが火花を散らしてでも受け止めさえすれば。
燃え尽きようとする彗星が、誰かとの繋がりを信じて突き抜けてさえしまえば。
それだけで救われるひともいるのかもしれませんね。
なんだか、脱線しては長々と自分の話ばかりしてしまいました。そういえば、貴女は今どこにいるのでしょうか。貴女も、彗星のように燃え尽きてしまいそうな気がしてなりません。
貴女が何かを求めるように、私も貴女に求めたいことがあるのです。この冬だけでも、私の家で過ごしませんか?今年も大豊作だったので、蓄えには余裕があります。エゴかもしれませんが、これもまた、私の自由というか、ほら、積もる話とかもあるじゃないですか。
お返事、お待ちしています。
魔動機文明アル・メナスには、カメラという技術があった。
流れゆく時の一瞬を捉えることができるその技術によって、いつか輝いていた星々の時が、ここに写真という形で切り取られている。
桃色の髪の女性が笑顔を浮かべる隣で、胡散臭そうなナイトメアの男性が、引きつったような笑顔を浮かべている。
いかにも”お姉さん“といった雰囲気の、弓を背負った長髪の冒険者は、チョコレートをつまんでいる。
中性的なルーンフォークの戦士は無表情だが、少し頬が膨らんでいるので、同じようにチョコレートを食べているのだろう。
少し陰のある青髪の彼女は、それでもどこか、満足そうな顔をしていた。
人々の集まりから離れた奥、ぼやけてはいるが、角が生えた黒髪の女性が写っている。表情は、後ろ姿で見えない。
そばに大きな妖精を従えた、なんだか苦労してそうな顔の妖精使いが、苦笑しながらもタビットを抱えていた。そのタビットは屋台で買ってきたらしい串焼きを頬張っており、カメラなど気にしてはいないようだった。
彼女らの両端には、多種多様な種族が写っている。誰もが笑顔でだった。
そして、その中心では……長命種らしいメリアの戦士が、グラスランナーの女性をお姫様だっこしている。そのどちらもが正装で、彼女は手に持った楽器を演奏し、メリアの戦士と本当に、本当に楽しそうに笑顔を交わしていた。
──一方、その横には、なんだか変なひとたちが写っている。片方は、顔を真っ赤にして暴れているらしい女性冒険者だ。彼女は手足をジタバタさせているらしく、手に持った〈パラソルスピア〉のブレ具合と、長いポニーテールの乱れ具合が、その抵抗の激しさを物語る。危ない。
暴れている理由は、彼女を羽交い締めに──身長差があるので、それっぽくしがみついているだけともいえる──メリアの女性だろう。母性を感じさせる微笑みを浮かべた彼女の手には、哺乳瓶とガラガラが握られていた。妖精らしき影が、彼女が落ちないようになんとか支えているらしい。
その横で、平凡な顔をした修道女が、口を押さえて笑っていた
──何はともあれ、しあわせそうに輝く星々が写った写真だった。
END
セッション履歴
No. | 日付 | タイトル | 経験点 | ガメル | 名誉点 | 成長 | GM | 参加者 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
キャラクター作成 | 3,0001,200 |
0
|
|
|
| | ||
1 | 2020/9/22 | 蜻蛉彗星1 | +5,500+4,200 |
+85
| 知力×2 | 器用×1 生命×1 AGATEさん
| らぎさんレンさんLycorisさんKOKUROUさん狼煙さん
| |
『蜻蛉彗星─君の故郷は空の上─』第一回。吐瀉物をとしゃとしゃ、石をぷかぷかで大活躍。魔神抜いた以外は何もしてない。うへへ。 | ||||||||
↑の前金 | +500 |
|||||||
おいしい前金。妖精使いの宝石×2に使ったので実質400G。 | ||||||||
2 | 2020/9/27 | 蜻蛉彗星2「ちょこれーと」 | +7,000+10,000 |
+100
| 知力×3 | 精神 生命 器用×1 AGATEさん
| レンさんLycorisさんKOKUROUさん狼煙さんsususu11さん
| |
第二回。吐瀉を吐瀉吐瀉(2)。 | ||||||||
煙草の類に凝る。水煙管等を購入。 | ||||||||
3 | 2020/10/4 | 蜻蛉彗星3「モノ扱い、人扱い」 | +9,500+26,127 |
+120
| 知力×4 | 器用×2 敏捷×2 生命 精神 筋力×1 AGATEさん
| レンさんKOKUROUさん狼煙さんsususu11さんかずやさん不知影さん
| |
第三回。欠席。青い顔でチョコレートを売る。 | ||||||||
チョコレート販売の手伝いと軽い依頼の報酬金をラル=ヴェイネ製品に。情熱溢れる輝きを。 | ||||||||
4 | 2020/10/11 | 蜻蛉彗星4「思い出作りと、さようなら」 | +21,000+50,000 |
+95
| 器用×6 | 生命×2 精神 知力 敏捷 筋力 AGATEさん
| レンさんKOKUROUさん狼煙さんsususu11さんかずやさん不知影さん
| |
第四回。欠席。街中に現れた魔神の討伐に、イーヴ神官達と共に駆り出されたと思われる。 | ||||||||
2020/10/17 | 蜻蛉彗星final「離別と約束」 | レンさんKOKUROUさん狼煙さんsususu11さんかずやさん | ||||||
最終回?。ファイアストームが大活躍!(全半減) | ||||||||
2020/10/18 | 蜻蛉彗星シークレット「lust run」 | レンさんKOKUROUさん狼煙さんsususu11さん | ||||||
おしまい。子供が増えた。 | ||||||||
取得総計 | 46,000 | 92,027 | 400 | 33 |
収支履歴
ソフトレザー ::-150 宝石ケース ::-100
ロングブーツ ::-25 妖精使いの宝石×4 ::-200
魔晶石5p ::-500 冒険者セット ::-100
普段着(+水着相当) ::-30 日記帳(白紙の本相当) ::-30
羽ペン&インク ::-5
『セッション1』中
妖精使いの宝石×2 ::-100
『セッション1』後
アビスシャード×3
華美なる宝石飾り ::-200 魔香のパイプ ::-1360
薬師道具セット ::-200 水煙管 ::-100 刻み煙草 ::-100
魔香草×3 ::-300 ヒーリングポーション+1 ×2 ::-400
魔晶石5p ::-500 アウェイクポーション ::-100
『セッション2』後
アビスシャード×3
欠席したのでお買い物は次回持ち越し。
『セッション3』後
アビスシャード×6
妖精使いの宝石(15)×6 ::-2400
ラル=ヴェイネの観察鏡 ::-20000
ラル=ヴェイネのロングブーツ ::-525
ラル=ヴェイネのガーターベルト ::-550
ラル=ヴェイネのロングマント ::-550
ラル=ヴェイネの金鎖 ::-7500
ゴールデン耳栓 ::-2000
『セッション4』後
アビスシャード×6
カトレアの花冠 ::-20000
インテリアニマルサック ::-9000
セーピングマントマント ::-8000
ディスプレイサー・ガジェット ::-5000
チョコレートのケース×6 ::-300