容姿・経歴・その他メモ

　モネの幼馴染であり、貴族ヴィンシンス家の傍流であり、一人息子。15の歳に入学した海軍士官学校を3年で卒業し、ある港の警備へと配属された。
　配属から半年が過ぎた頃、モネが急に自分の元に転がり込んできた。久しぶりの再会を喜び、互いに目に涙を浮かべながらハグを交わす。「でも、急にどうしたんだい？」と話を聞くと、睡蓮商会が破産し、ニュンパエアのおじさんとおばさんが夜逃げして、モネも同じようにして逃げてきた、ということらしい。
「それで……モネはこの後、どうするの？」
　ほんの少しだけ、期待を込めて訊ねてみる。帰ってきた答えは、想像の斜め上を行くものだった。
　モネは港に停泊している海洋横断船を指差し、言う。
「あれに乗って、新大陸に行きたいの。まあ、チケットは無いから荷物扱いになっちゃうだろうけど」
　……冗談、ではないらしい。それくらい、目を見れば分かる。
「……荷物がひとりでに動いちゃ大騒ぎだ。運び手がいる、だろう？」



　夜。僕の先導で、船の貨物室を目指す。バレたらきっと首が飛ぶだろうけど、僕の首一つでモネの最後のお願いを叶えられるなら安い買い物だろう。
　積み重なった荷物の死角を見つけ、モネに潜ませる。出航は明日、これがきっと最後のやり取りになるだろう。
　何を言うべきか、数瞬悩む。伝えたい思いは星の数ほどある。だけど、言うべき言葉は一つしかない。
「向こうでも、元気で」
「ええ、お互いに」
　もう一度だけハグをして、背を向けて別れる。それで、全部終わり。言葉に出来なかった思いは、一筋の星の煌めきになって頬を濡らした。

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