写真的反射（フォトグラフィック・リフレクシズ）。
一目見るだけで全てを理解、再現することができる記憶能力だ。
当然、ボクみたいなただの一般人がもしもその能力を持ったとしても、
例えば優秀な冒険者の剣技や射撃術など、マネすることなんてできないだろう。ボク運動苦手だしね。
しかし、彼は違った。
ずば抜けた記憶能力と、それを瞬時に習熟、再現することができる運動能力、
さらにはそれらを忠実に人に教授できる育成能力まで備えている。
彼の名はトニー・マスターズ。またの名を、「タスクマスター」。
ブルライトに住んでいる者ならば1度くらいは彼の名を聞いたことはあるかもしれない。

そんな彼にも欠点がある。
それは、先の記憶能力の引き換えとして、過去の記憶を失ってしまうというもの。
それも、彼の身につけた技能などではなく、彼自身の生涯の記憶をだ。
もう一つ、非常に金にがめついこと。
彼にとって善悪とは、金、すなわち依頼料や財宝の上下と等しいと言える。
端的に言えば、金次第で手のひらを返すことだってザラだってことだ。

ボクは彼に非常に興味を抱いた。
彼の記憶能力、そしてそれを再現できる能力。それは人間だけでなく魔動機にも活かせるだろう。
今回のボクの「仕事」は、彼のような戦士を生み出すことだった。
幸いボクは以前、似たような戦士を作ったことがある。
まァ、彼らはあまりにも不良動作が多くて、シリーズ化は断念されたけどね。アレは結局設計上のミスだったのかな。

そして仕上がったのがTMシリーズ初期型、Robo-Taskmaster Mk-Iだ。
ボクなりにタスクマスターを忠実に仕上げたつもりだったんだけど、返ってそこが失敗でね。
戦士として不必要な、彼の欠点の性格まで再現してしまったんだ。
結局、彼もまたシリーズ化は断念したわけだ。


そして、今回の改良点として、
・・というより、幸か不幸か・・


「ふん、ワガハイが監修しているんだから、最強の戦士が誕生するに決まっているのである！
「おいおい、オレちゃんの能力はいらないの？無敵の戦士に仕上がるぜ？
「黙れ、キサマのよくわからん能力はどうせまた不具合を生み出す。不必要である。
「ま、逆に頼み込まれたってオレちゃんの能力はホイホイ真似できるようなもんじゃないしな！へっへっ

・・ウチの上の金遣いはどうやら相当荒いみたいだね。
いくら払ったんだか、本人来ちゃったよ。どうすんだか。
しかも変な人までいるし。頼むから変なことしないでくれよな～。


そして仕上がったのが今シリーズ、TMII。名を、Robo-Taskmaster Mk-II（セカンド）・・
「ロボタスキー？安直だなぁ。オレちゃんがもっとふさわしい名前を考えてやるよ！

・・ふむ、なかなか悪くないじゃないか。ボクのシリーズとしては異色だけど、まァ、たまには期待を込めてもいいか。

それじゃア、これから頑張ってくれよ。

「タスク」「マスター」を超える意味を込めて、

「ログロ・フェクシア」。