冬の魔女の童話集(はじまりとおしまいの章)
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- 形状
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- 製作時期
- 概要
- 効果
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●心無い王様
その国では、王様とお妃様の盛大な結婚式が行われました。
しかし、その日以降お妃様は泣き過ごすことになります。王様が彼女を冷遇したからです。
お妃様の話を聞いて、王様の所業に義憤を燃やした召使は王様を殺してしまいます。
その後、お妃様は召使を、王様を殺した罪で処罰します。そして、邪魔者のいなくなった彼女は、毎日王宮で豪華な暮らしを楽しみました。
けれどその暮らしも長続きせず、やがてお金を使いすぎたお妃様は、怒った民に殺されてしまいます。最後には、彼女が治める国は滅んでしまいました。●夜雀
森の中で真っ黒な雀は嫌われ者でした。
嫌われ者の雀は仲間たちに食料を分けてもらえず、空腹で死にそうになっていました。
そこに通りかかった迷子の少女が、残り僅かな自分のパンを雀に食べさせ、助けてあげます。
雀は心優しい少女に感謝して、彼女が森を出るための道案内を買って出て、彼女を優しい人のいる国に届けてあげます。
そこで雀と少女はいつまでも一緒に、幸せに暮らしました。●新しい英雄
故郷の村を戦争で滅ぼされた少年は、親切な女性と出会い、彼女から鍛冶を教わります。
鍛冶で身を立てた少年ですが、すぐに次の戦争がはじまり、戦場に駆り出されてしまいます。
そこで彼は武勲を立て続け、英雄になりました。
晩年の彼は華やかな都を去り、故郷の村を復興して再度鍛冶師として働き始めました。
どんなに褒め称えられようと、彼は戦争が嫌いでしたし、窮屈な宮廷暮らしよりも、田舎で鍛冶師として鉄を叩く方が性に合っていたのです。●流れ星
流れ星は誰かの命が終わるときに流れます。
貧しいマッチ売りの少女は寒い冬の夜、寂れた広場の片隅で、自分とは縁の無い煌びやかな王宮を羨ましく思いながら見上げます。
寒さに震える少女は、王宮の上を流れ星が通過するのを見つつ、ふと優しかったおばあさんの言葉を思い出します。その日以来、彼女を見たものはいませんでした。●冬の森へ
冬の森に行ってはいけない。
少女はそう言い聞かせられて育ちました。しかしその日、彼女は言いつけを破ってしまいます。
彼女は広場で面白おかしく話す楽師が、森の向こうには幸せの国があると吹聴するのを真に受けてしまったのです。
少女は森に消え、二度と戻ってくることはありませんでした。●聖女の友達
これは、暴虐の女王によって国民が苦しめられていた、とある国のお話です。
乙女は祖国の惨状を変えるために立ち上がります。例えその道の果てに栄光が無くとも、彼女が歩みを止めることはありえません。いずれその身に流れる咎人の血が裁かれるその日まで……。そう、乙女の正体は暴君の娘、民衆を苦しめる女王に連なる者だったのです。
長き戦いの末、ついに乙女は女王を……己の母を討ち取ります。
暴虐の女王を斃した乙女はその血筋を民に打ち明け、怒れる民の手により火刑に処されることとなりました。寂れてひび割れた広場で磔にされた乙女は、在りし日の思い出を懐かしみます。それは、酷い別れ方をしてしまった一人の友人のこと。彼女が売っていたのと同じマッチの火が乙女を包み、広場は歓声に包まれました。
炎はすぐさま乙女を包み込み、その身体を焼いていきます。
しかしそのときです、乙女を苛む炎の中に小さな手が差し伸べられます。すると、もはや炎が乙女の身を苛むことはありませんでした。乙女を縛り付ける全てが燃え尽きた時、在りし日の友が彼女の目の前で微笑んでいました。