魔術師の家に生まれたリエーヴル。
　元々はわんぱくで臆病な性格。　冒険者になる事を夢を見て魔術の腕を磨いていた。
　両親も自由に生きて欲しい、という意味合いから"野兎"という名前を付けており彼の夢を応援していた。

　しかし、3歳の某日に悪い冒険者に出会った事から運命が変わる。
　あまりの衝撃的なお話を聞いたリエーヴルは自室に引きこもるようになったのだ。
　冒険者になる事の困難さ、非力なタビットの身体、諦めない夢の心…。
　様々な葛藤を抱え、塞ぎ込んだ生活をしている彼を両親は暖かく見守り続けたのであった。

　それから5年の歳月が経った、ある日…リエーヴルはついに決心する。
「自分には目指すべき場所がある」　「その為には冒険者にならないといけない。」
　夢の話を聞いた両親は驚いて口が閉じる。
　理解できない夢…。　しかし、どんな形でも前を向いた我が子の背を止める事はできなかった。
　こうしてリエーヴルは自分の夢を叶える為に冒険の旅へと出たのであった。

　リエーヴルが冒険者になった理由は「食べられる事」である。
　自らの血肉を食される事で、より強い個体と一つになり、新たな進化に至る事が目的となっている。
　この為に彼が自分の生活管理を気にしているのは「より美味しいお肉になる」為に努力をしている。

　どうして、こうなった事に関しては悪い冒険者が言った冗談が始まりだった。
「冒険者にとってタビットは非常食だ。」　よくある悪ふざけの冗談であった。
　しかし、冗談を真に受けたリエーヴルはこの事実を一人で抱え続けて完全に事実だと勘違いしてしまった。
「強い相手の血肉になる事が自分の運命だ」と悟った事から冒険者となった。
　なお、あくまで食べられる事が目的で、死ぬ事が目的ではないので要注意。

　この為に彼の前で「タビットは非常食」というのは絶対に禁句である。
　リエーヴル自身は食べられる為の礼儀として美味しいお肉になるように日々努力をして生きている。
　毎朝規則良く起きて、健康的な運動をし、栄養豊富な食事を取り、清い生き方を心がけ、しっかり休息を取っている。
　強い相手に「美味い！」と唸らせて、相手の魂と一体化して共に生きる事を目指す為に励んでいる。
　なので妥協的な「非常食」を否定し、撤回しない場合は捕食対象と認識する事から要注意。