聖印と神像

　ヴルヴィジンの信者は、聖印の代わりに獣の毛皮を身につけます。中でも、狼か熊の毛皮を好みます。
　神像は、狼か熊の毛皮の被り、大弓と両手剣を携えた野性的な女性の姿で作られます。あるいは、月を背にした巨大な両手剣を咥える巨大な白狼の姿をしています。

神格と教義

　ヴルヴィジンは、月と獣を司る狩猟の女神であり、ライカンスロープの始祖とされる小神です。
　どのようにして神格を得たのかはっきりとしていませんが、神々の戦争の最中に、戦神ダルクレムの虜囚になった月神シーンが宿した獣の姿をした忌み子とされ、太陽神ティダンに殺されそうになりますが、生まれた子に咎はないとシーンが信頼のおける侍女に赤子を逃がすよう嘆願し、第二の剣陣営に属する戦神の巫女に託されて、神格を得たという俗説が伝えられています。この神話の根拠となるものは残っておらず、真偽は定かではありません。信者たちは不都合な事実として歴史から消されたと考えています。　信者たちは父がダルクレムだと主張していますが、ティダンとシーンの娘に、ダルクレムが穢れを植え付けたとする説もあります。
　記録としては、神記文明の終焉から魔法文明時代中期頃にライカンスロープを生み出した秘密教団が崇める神として伝承がいくつか残されています。
　ヴルヴィジンは、親愛と暴力の対立する性質を併せ持つ神であり、鬼神の如く戦う獰猛な荒神として伝わっていますが、子孫繁栄と同胞を守護する地母神としても信仰され、ダルクレムのように武の研鑽と魂に“穢れ”を取り込むことを教義を掲げながら、血の契りを結んだ同胞には情け深く寄り添うに説いています。そのため、多くの信者は排他的で仲間意識が強い傾向にあります。
　　魔法文明時代に太陽神ティダンの使徒の襲撃に遭い、多産と生殖を司る地母神としての神格を落としました。それが原因でライカンスロープは子を成せなくなったと伝えられています。
　秘密教団に信仰されていたので世に広まらず、一部のライカンスロープから細々と信仰されています。

格言

「同胞は汝である。親愛の心で接せよ」

「同胞に害をなすものには暴力で戒めよ」

「怒り狂う獣となれ。その先に安寧が待つ」

備考

　母が月神シーンで、父が太陽神ティダンあるいは戦神ダルクレム。風と雨の女神フルシルとは（異父）姉妹の関係です。
　忌み子を逃がした月神の侍女は、第二の剣陣営に通じた裏切り者と見なされています。
　戦神の巫女は、ダルクレムの虜囚になっていたシーンの身の回りの世話をしていたと言われています。
　秘密教団の創設者は、ヴルヴィジンを育てた月神の侍女と戦神の巫女の二人だとされています。