ネリィ・アンディア　『輪廻の萌芽(りんねのほうが)』　始まりのネリィ
ネリィ一族の起源にあたる。
古すぎるために彼女の情報は非常に少なく、わからないことが多い。
現在に情報として残っているのは、「アヴァルフ妖精諸王国連邦の森のはずれで子供を作れないメリアとして生まれた」ことと、
「妖精神アステリアの声を聞き、村の礎を作った」事である。
彼女の残した『琥珀文字』は2代目の名前である『ボーディア』のみである。

ネリィ・ボーディア　『琥珀文字の草創花(こはくもじのそうそうか)』　伝承のネリィ
陽気で好奇心が強いメリアだったようだ。
彼女は琥珀文字を見て感動し、人間に文字を教わる。
これにより、一族の多くが執筆している伝記を初めて書くことになる。
初期の琥珀文字は、文字が読みづらく図や絵のようなものも多いため、解りづらい。

ネリィ・ソレニア　『誘いの花蕾(いざないのはなつぼみ)』　発展のネリィ
人に好かれやすい魅力を持っていたと伝わっている。
村に新たな人間を呼び込み、村を安定させた。
彼女によって村としての基板が成り立つ｡
村が安定してきたことにより、後の代から冒険に出ることが多くなる。

ネリィ・サリア　『不遠千里の根無し草(ふえんせんりのねなしぐさ)』　冒険のネリィ
外に興味を持ち、始めて村を出て冒険を始めたネリィ。
誇張表現も多いような気がするが、彼女が外で体験した出来事がいまでも琥珀文字として伝記に残されている。
彼女の伝記は後の多くのネリィに冒険を目指すきっかけになる。
以後、基本的には「村で育つ→冒険に出る→代替わりする｣　のサイクルを繰り返す。

ネリィ・コルキニア　『練達の枝の雪(れんたつのえだのゆき)』　学識のネリィ
優しく真面目な性格だったようだ。
ここで一族で初めて学問の勉強が始まった。
彼女は多くの学問を習得し、後の代のために伝記で残す。
特に言語学においては秀でており、交易共通語の扱いについての伝記を残している。
このため後代は言葉の上達が加速していく。

ネリィ・シルビア　『思弁の開花(しべんのかいか)』　研究のネリィ
思慮深くて切れ者、面倒見は良いがものぐさで研究一筋な性格。
その生涯の多くの時間を研究に使ったネリィ。伝記もレポートの形で多く残っている。
6歳の頃、いつものように研究をしていた時にエルフのリティアル・エヴァンス(PLアイネさん)が村に現れる。
リティアルは焦燥した様子で転生についていろいろ聞いてきたのでとりあえずたしなめ、自分の一族について話す代わりに助手として研究を手伝うと言う提案をする。
晴れて助手となったリティアルを実質雑用として扱いつつも、精神的な面で不安の残る彼の世話は焼いていた。
8歳の時、研究が煮詰まってきた頃にリティアルと共に旅に出る。
「自分の研究だけでなく世界の研究を見るためだ。」という目的ではあったが、リティアルのため、転生について調べるためでもあった。
9歳で村に戻り、リティアルに娘の面倒を託す。

ネリィ・マゼリア　『談笑の華娘(だんしょうのはなむすめ)』　対話のネリィ
穏やかでやさしいがのんびり屋なネリィ。
妖精と話す事に長けていた上に、生まれたときから寿命の長いエルフ族であるリティアルに世話をされながら育っていたので短命種で有りながらのんびりやな性格になった。
ただし妖精使いとしての素質は歴代でも非常に高かった。
その素質を生かして、3歳からリティアルと冒険者として活躍する。
彼女の伝記は後代の中で比較的少なく文章に抽象的な物も多い。
しかし、妖精魔法の技術や妖精との関わり方等、妖精使いとしてより発展的な内容の文章も残っている。

ネリィ・フィーリア　『花束の枝折(はなたばのしおり)』　書物のネリィ
真面目で要領は良いが、無愛想なジト目っ子。
これまでの一族の歴史を取りまとめ、読みやすくしっかりとまとめたネリィ。先代それぞれに二つ名を付けたのもこの人。
若いときから伝記に興味を持ったことで、いつしか一族の歴史を紐解く事を目指して自身の手でまとめようと思うようになる。
文章がわかりづらいだけなら良かったのだが、そもそも言語としておかしかったり、もはや絵や記号でしか無かったりと非常にまとめるのに苦労していた。
また、伝記に書いてあることだけでは情報が足りないので、先代の足跡をたどるように時々冒険しては村に戻ってまとめると言うことを繰り返していた。
彼女の努力があったからこそ、現代までネリィの歴史がしっかりと残っている。

きょうは　どらごん　たおした！
とってもおっきい！こわかった！
ドワーフ　ほのおから　まもってくれた！
にんげん　つめ　うけとめた！
だからサリアも　がんばった！
どらごん　つよかったけど　たおした！
いっしょのにんげん　ドワーフ　みんなつよい！
なまえ　サリアなのに　えいゆう　いわれる。
でもいやじゃない　うれしい！
いっぱいほめられる　うれしいから。
あしたも　いっぱいがんばる！
ぼうけん　すごい　キラキラ！！
きっと　みんな　すきになる！
　　―――4代目　ネリィ・サリアの伝記(タイトルなし)より抜粋

交易共通語(こうえききょうつうご)は世界(せかい)で一番(いちばん)使(つか)われている言語(げんご)です。
いつか伝記(でんき)を残(のこ)す皆(みな)さんのために、交易共通語(こうえききょうつうご)について記(しる)します。
交易共通語(こうえききょうつうご)は簡単(かんたん)な言語(げんご)と言(い)われています。
直接的(ちょくせつてき)な表現(ひょうげん)が多(おお)いので、まずはこの表現(ひょうげん)のやり方(かた)から覚(おぼ)えていきましょう。
はっきりとした表現(ひょうげん)を使(つか)うことで、簡単(かんたん)に伝(つた)えることが出来(でき)ます。
難(むずか)しい言葉(ことば)から使(つか)う必要(ひつよう)はありません。少(すこ)しずつ覚(おぼ)えていきましょう。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　著(ちょ)　ネリィ・コルキニア
　　―――9代目　ネリィ・コルキニアの伝記　ネリィ向けの学問書『ネリィのための交易共通語　～言語構造について～』より抜粋

やあ、子孫たち。今回の定期レポートは助手君の話をしようか。
どうやらボクは意外と人を見捨てられないらしくてね。
思えば村に来たエルフ君を助手に迎え入れてずいぶんと経ったものだ。
今でこそ落ち着いてきてはいるが、出会ったときは随分と焦燥していたよ。
短命種の私よりよっぽど生き急いでいたねぇ。
転生について教えてくれって何度も懇願されちゃ落ち着いて研究もできやしないさ。
仕方なく、一族についてわかっていることを教える代わりに助手になってもらったよ。
助手と言っても、単純作業しながら頭冷やしてもらうためにも最初はもっぱら雑用をしてもらったのさ。
目を離すと何をしでかすかわからないのに、考える時間を作らないと落ち着きやしないし。
おかげで部屋はそれなりに片づけられていたんだけども。
彼も今じゃすっかり落ち着いて好青年って感じさ、笑えるだろう？
おっと、これは助手君には言わないでくれたまえよ。
最期に、ボクの子孫たち。どうしようもなくなったら、エルフ族の「リティアル・エヴァンス」を頼るといい。
ボクの子孫だと言えば力になってくれるだろうからね。
長くなってしまったがこれで今回の定期レポートは終了だ。
　以上
　　―――26代目　ネリィ・シルビアの伝記『定期レポート459』より抜粋

マゼリアが妖精さんと仲良くなる方法をおしえるね～。
妖精さんとお友達になるのは意外とカンタン。
楽しくお話をして、ルンルン気分で過ごすの。
やる気の妖精さんは頑張ってくれるし、しょんぼりな妖精さんは力が出ないのよ～。
仲良しさんの妖精さんが出来たら、お友達の輪を広げてくれるからね～。
妖精さんにもいろんな子がいるの。
優しい子も、面白い子も、おしゃまな子も。みんなとお友達になるといっぱいいろんなことが出来るの。
みんなもやってみてね。
　　―――27代目　ネリィ・マゼリアの伝記『妖精さんとのお友達のなりかた』から抜粋

私たちネリィの一族は、メリアの中でも珍しい『代替わり』を行うことによって存続している。
そのため、伝記により知識を紡ぐことによって発展を続けてきた。私は先代の知識をより深く後代に残すために、新たな知見も踏まえて歴代の伝記を本書に記していく。
本書が私の子孫たちの知識の助けとなる事を願って。
　　　　　　　　　　著者　第28代　ネリィ・フィーリア
―――28代目　ネリィ・フィーリアの伝記『ネリィの歴史　I 序論』より抜粋

あるところに　かぞくをつくることが　できない　めりあがいました。
かわいそうにおもった　かみさまは　いいました。
『もりのはずれで　にんげんたちを　たすけてあげなさい。　そうすれば　あなたも　かぞくを　つくれるでしょう。』
めりあは　すぐに　もりのはずれへ　むかいました。
とちゅうでであった　にんげんたちを　いわれたとおり　たすけてあげました。
『ありがとう　めりあさん。　おれいに　すむばしょを　つくりましょう。』
にんげんたちは　めりあのために　いえをたてました。
めりあは　とてもよろこび、　にんげんが　だいすきになりました。
にんげんがだいすきな　めりあは　さみしくならないように　いいました。
『ありがとう　にんげんさん。　よかったら　いっしょに　くらしましょう。』
それから　めりあは　にんげんたちと　なかよく　くらしました。
しゅぞくが　ちがくても　かぞくになれることを　しりました。
にんげんたちと　くらして　めりあは　じゅっさいに　なりました。
めりあは　じぶんのいのちの　おわりが　ちかいと　わかったので　にんげんたちに　いいました。
『わたしは　いなくなってしまうけど　わたしのむすめにも　かぞくの　やさしさを　おしえてあげてね。』
それいらい　そのめりあのことを　みたにんげんは　いませんでした。
しばらくして　ちいさなめりあが　みつかりました。
にんげんたちは　にんげんがだいすきな　めりあのむすめだと　わかりました。
にんげんは　ちいさなめりあを　かぞくとして　むらにむかえました。
それから　たくさんの　じかんがすぎて　そのむらには　あたらしいめりあが　おとずれました。むらの　にんげんたちは　いつだって　やさしく　むかえました。
あたらしいめりあが　おとずれると　むらの　にんげんは　こういいます。
『ちいさな　めりあの　おじょうさん。　わたしたちは　あなたの　かぞくです。』
そうして　そのむらでは　めりあと　いつまでも　なかよく　くらしていくのでした。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おわり
―――著者不明の伝記　絵本『かぞくができない　めりあのおはなし』全文