身長175cm　体重

辺境の小集落出身、アルヴへの差別がない場所。
環境に恵まれず作物などもあまり育たない土地で集落は豊かではなかったが、旅の途中で休息を求めて訪れる冒険者や、辺境の土地の文化に興味を待った旅人を様々な形でもてなす事で日々の糧を得て成り立たせている場所だった。

幼いアルテイアも迫害を受けることなく健やかに明るく伸び伸びと育った。

集落の娼館で産まれて、母のことはわからない。
娼婦、男娼に囲まれて育ち、幼い頃から客もとっていた。(初めては高く売るために、そこそこ育ってから)
娼館の商品である娼婦、男娼たちがアルテイアの母であり、父であり、家族だった。
家族はアルテイアを強く美しく仕立て上げてくれた。

もしかしたら、自分を育ててくれた娼館の人間の中に産みの母がいたのかもしれないが…何も覚えていない。

ある時、珍しく豪奢な馬車にのった客が旅の途中の宿を求めて集落を訪れた。
その男の傍には美しい黒髪のエルフが寄り添っていた。
後から知る事だが、彼女は高級娼婦で貴族との旅行の道中だったらしい。
その女性は今までアルテイアがみてきた娼館の娼婦たちとは違う気高さを持っていた。

その夜、集落は夜盗に襲われた。
貴族を狙ってのことだったのかもしれない。
貴族の宿泊した宿だけでなく、集落全体に火の手がかけられ娼館も襲われた。

娼館の中、家族はアルテイアを庇い命を奪われていった。
自分を抱きしめて庇ってくれた娼婦がアルテイアを腕に包んだまま切り捨てられた。
命の終わりを覚悟したとき、黒髪のエルフが両手に刀を持って娼館へ乗り込んできた。
アルテイアの命を奪うはずだった野党達は、瞬く間に切り捨てられていった。
から金目もものもしっかり盗んでいっていたかもしれない。
血に濡れた彼女の姿を月が照らした、その姿はため息がでるほどの美しさだった。

偶然、命救われた。

愛した村はなくなった。

心には喪失感と、月夜に照らされた黒髪のエルフ。
彼女の姿はアルテイアの心に焼き付き、憧れになった。


焼け落ちた村に一人。
形だけになったとしても、この場所に自分の記憶の村を作ろうと心に決めた。
月夜に舞うエルフのように、気高く美しく、強くしたたかに、そう生きると心に決めた。


そのためにも、彼女は春を売る。


街を渡り歩きながら、様々なことを学び、その体もしっかりと使ってコネを作り、美しさに磨きをかけた。
客の懐に潜り込み、言葉と身体を使って、たくさんのお金を巻き上げた。


ある時、港町で『ユリウス･バスガルト』に出会った。
彼から声をかけられ、彼の宿に迎え入れられた。
いつもの通りに『仕事』をしようとしたアルテイアを彼はだた優しく抱きしめ｢話がしたい｣と言った。

彼はアルテイアに心を捧げ、アルテイアも彼に心を許した。
『ユリウス･バスガルト』の後ろ盾を得、教養と美貌と強さに磨きをかけ、いつしかたくさんのご贔屓を抱える高級娼婦となった。

『ユリウス･バスガルト』が宝物のように囲う愛妾にして、誰よりも魅力的な高級娼婦。
ユリウスは彼と初めてあった港町にアルテイアの館を建て、その館で二人の時間を重ねた

いつものように、館に帰ってきたユリウスとの時間を過ごしていた。
いつのもように、彼の仕事の話をねだり、新しく開拓したという航路についての話に耳を傾けた。
二人で過ごす時間はあっという間で、彼の仕事の忙しさを少しだけ恨みがましく思いながらも、出掛ける彼を見送った。
彼を見送ったばかりの館はいつもよりも少し寂しく思えて、用があるわけでもなく街に出掛けた。
街の酒場で声をかけた二人の男に酒を奢らせながら聞いた話は、【ゾア】という国の噂話。
よくあるお家騒動、よくある商会の噂話……なぜか胸騒ぎがした。
ユリウスの船は酒場からそう遠くない港からの出港、酒場の二人を早々に酔い潰すと急ぎ港へと向かった。

港にはたくさんの船が停泊していたが、ユリウスの船は見当たらなかった。
また港の書類にはこの日『バスガルト商会』の船の出向の記録はもちろん、到着した記録の記載もなかった。
ユリウスの身を案じ、街で心当たりのある場所を探してもその姿は見つからなかった。

一人、不安を抱えながら館に戻ると…館の扉の前に中へと続く血痕を見つけた。
矢も楯もたまらず、血痕を追いかけ走った。
考えたくない想像を振り切り、階段を駆け上がる…二人の部屋のその前に、血に濡れ苦しそうに喘ぐユリウスの姿を見つけた。

彼は傷つきながらも、ほっとしたような笑顔を浮かべアルテイアを見上げた。
彼を部屋へと運び、その身体へ癒やしの銃弾を撃ち込むが、回復したのは傷のみで、彼の呼吸は落ち着かなかった。

｢毒をもられた｣…彼の言葉は残酷に耳へと届く。
解毒の方法がない…彼は命の終わりに、アルテイアに愛と心を捧げてくれた。
彼の財産の全ての鍵である、指輪。
彼の心を受け取りながら、アルテイアも縋るように、愛を誓った。

ユリウスはアルテイアの精一杯の笑顔を見つめながら…腕の中で眠っていった。


頬を伝う涙もそのままに、ユリウスの亡骸をその腕にかき抱いた…。

どれくらい時間がたったのか…ほんの数秒の事だったのかもしれない。
階下から無遠慮な足音が聞こえてきた…。

『ユリウスは毒を盛られて殺された。』

そして、普段は二人以外にほぼ人がいないこの館への来訪者…これはそういう筋書きなのだろうと悟った。

抱き締めた身体を優しく床に下ろし、奪われないよう指輪に髪の毛を結び、奥の歯にくくりつけて飲み込んだ。



現れたのは『アルメンドラ・バスガルト』
ユリウスの妻にして、この筋書きを書いた殺人者。
ユリウスへの愛など皆無の…自らの欲の為だけに、愛する彼と結婚した女。

『アルメンドラ・バスガルト』の思うまま。
彼女の飼い犬｢ジュリオ・ピオッジャ｣にエスコートされ、アルテイアは拘束された。


【罪状】『ユリウス･バスガルト』殺害の疑い、他、詐欺等の余罪多数。


愛はユリウスと共に逝った。
これからの人生…一片の後悔もないよう、必ず、、、

暗闇に踏み出すアルテイアの口元は赤く、赤く……

→ここに記入！

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ある日、アルテイアの元は一通の手紙が届く。
娼婦の間では高級、下級に関わらずまことしやかに囁かれている噂…

心を決めた美しい戦乙女には艶やかな二つ名が届くのだという。
アルテイアの牢獄に届いた美しい蝶の絵が描かれた手形、花と共に贈られた一枚の便箋には美しい文字でこう綴られていた……



『アルテイア・カリギュラ』様
　
　夢姫の一鱗としてのご誕生、心よりの祝福を申し上げます。

愛見えることが出来ますこと…夢姫一同心待ちにしております。


愛寵の一鱗

『孤寵ノ夢〜銃姫〜　アルテイア』

おやすみなさいませ…
どうか、幸せな、孤寵ノ夢を……