キャラモチーフCP『空の極夜は、地の白昼夢を見る』
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ログ類
卓終了後の雑談があるのは許してね!
幕 タイトル リンク 1 電撃作戦:遺跡の奪還 https://ccfolia.com/rooms/B4U8m4Ch1 2 極夜 https://ccfolia.com/rooms/JiAzkSPfF 3 局所解放戦線:テレストリス https://ccfolia.com/rooms/sVFh7yi6L 4 黄昏 https://ccfolia.com/rooms/addcm_aoJ 5 その月は何を照らすか https://ccfolia.com/rooms/j-eaO-lg_ 6 電撃作戦:補給線破壊 https://ccfolia.com/rooms/7xPNQ7WFj 7 その地は何を語るか https://ccfolia.com/rooms/or1H7c-4s 8 身を滅ぼす強欲 https://ccfolia.com/rooms/h1ICpx3Z8 9 Liberator https://ccfolia.com/rooms/LOl5hTNaU 10 Terrestrial resistance https://ccfolia.com/rooms/vg35sV8On 11 テレスティアはこう語った https://ccfolia.com/rooms/diT0JVaf_ 概要まとめ
幕 タイトル 概要 1 電撃作戦:遺跡の奪還 18年前に占領されたっきりだった、アリスの故郷である遺跡を奪還した。 2 極夜 極夜剣の存在、そして狂化能力が初登場。しかし、この時点では情報の殆どが未判明。 3 局所解放戦線:テレストリス アリスの育った地も、また蛮族の侵攻を受けた。無事奪還したが、アリスと魔剣との関わりが深い可能性が認知され始める。また、死に際に色々語ろうとしたディアボロメジャーが魔力35によるギアスで死亡。圧倒的な魔力を持つ者の関与が明らかになった。 3.5 迷宮攻略依頼#3『運命の交錯』 偽装された迷宮の奥で、白昼剣『シエスタ』を発見した。ヴァンパイアノワールとの死闘を繰り広げ、なんとか奪還。極夜剣と対を為そうとする魔剣。そして、この魔剣はアリスの故郷にあった。 4 黄昏 白昼剣の殆どの情報が、研究によって解禁。また、ドレイクマーキスであるクレプスの持つ指令書から、より正確な極夜剣の情報を得た。 5 その月は何を照らすか 支配階級であるバジリスクがグレンツェに侵攻してきた。これにより、全ての支配階級の蛮族にとって魔剣が重要なものであると言うことになる。 6 電撃作戦:補給線破壊 Lv26〜27という異次元の強さを持つディアボロカーネルを相手しながらの補給線破壊。ヴァンパイアであれば、オリジン級に匹敵する相手。そんな存在ですらこの魔剣を目指してきている。 7 その地は何を語るか アリスの母親であるミリス・テレスティアがヴァンパイアヴァイオレットオリジンに操られて登場。しかし、魔力35によるものと思われる、達成値42の呪いを解呪して救出に成功した。ヴァンパイアヴァイオレットオリジンは、その様子を見て満足したのか、極夜剣の殆どの情報と、シエスタの持つ最後の能力について語り、去っていった。 8 身を滅ぼす強欲 無謀な侵攻を行い滅んだ小国に変わり、強欲の名を持つドレイクマーキスのヴァンパイアを撃退した。 9 Liberator 【リベレイション】を封じられたミリスに変わり、彼女の記憶を解放するために蛮族の拠点へ向かった。無事に蛮族を撃退し、ミリスは力を取り戻した。くだらない極夜を終わらせる為の準備は整った。 10 Terrestrial resistance 氏族が不明な吸血鬼、その一族の始祖にあたるノスフェラトゥと交戦し、殺害した。何故彼女は死を願ったのか。 11 テレスティアはこう語った テレスティアの咎、ロギア氏族の開祖、ヴァンパイアパトリアークテールとの決戦。運命の符号で死の運命を凌駕し勝利。極夜剣を回収し白昼剣と統合、儀式を行い消滅させた。世界に明け方が訪れた。そして、テレスティアの背負っていた2つの原罪は消失した。 A.D. 3XX/4/25 00:02
0時を越え、6時頃の起床に備えた者などは寝静まり出した頃にアリスは目を覚ました。
記憶の奔流に苛まれ、頭が割れるように痛む。自身の直感と流れ込む記憶が、これが【リンカーネイション】の効果であると、そう告げてくる。
痛みと混乱が治まり余裕ができたので、自問自答をしつつ現状を整理する。
Q.私は誰だ?
A.アリス・テレスティアであり、シリウス・テレスティア。
Q.テレスティア、私にとって誰にあたる?
A.ミリスの姉であるため、伯母に当たるだろう。
Q.仮に自身をどちらかに定義するならどうなる?
A.アリス・テレスティアだな。
【リンカーネイション】は、どうやら自分が塗り潰されるように記憶が戻る訳では無いらしい。できることは…今の私からしてみれば、殆ど変わっていないようだ。
…! どうやら悠長に自己分析をしている余裕はないらしい。決戦前のこの時に、いくつもの無視できない情報を知ることになった。
今回相対する敵、そして前回討伐した敵の知られる由もなかった情報…まとめねばだな。決戦の刻は近い。それと、ここでも運命の符号の名を聞くことになるとはな…。依頼書に添えられた手記
ロギア氏族、私達の先祖がヴァンパイアに堕ちたことで産まれた氏族。つまり、開祖が私達の先祖と言うことになる。
結局、すべては因縁の連鎖だったという訳だ。一つ惜しむべくは…研鑽の末だと思っていたこの技能が、得るべくして得た物だったと言うことくらいか…。
そして、私はこれから運命の符号が記された『ミスティカル・リーフ』を回収に向かう。安心してくれ、依頼までには戻る。
それと、完全な情報ではないが、敵について知りうる情報は記しておく。
ヴァンパイアパトリアークテール(事前公開用)オリジナル要素の設定類
極夜剣
黒を貼り付けたような、そんな暗雲に包まれた空がモチーフになっている魔剣である。作成時期は間違いなく魔法文明時代、もしくはそれ以前。作成者については不明だが、蛮族を適当に殲滅しようとした愚かな魔法王か、蛮族を使い捨ての駒のように扱う上位蛮族に関連する者だろう。…後者については、そこそこあり得る可能性でもある。
対抗として作成される魔剣についても想定して作成されていたらしく、白昼剣に対して明確な強みは持たないが、悪意ある者に白昼剣と共に持たせてしまえば、それが最後だろう。白昼剣
極夜剣に対抗するため、魔動機文明に作られたとされる剣。あらゆる防護を貫き、倒れたとしても立ち上がる力を与え、一閃を叩き込む…勇者の剣のような物だろう。
ムーンピラーを模っている理由として、『極夜の向こうの月まで届け。明け方の先の白昼となれ』という言い伝えが一説とされている。
3色のすべては優しい色をしており、それぞれ月の色、空色、それを隔てるように、雲を思わせる白の刀身を持つ。
投擲武器として扱った時は、この月の色と空色の部分が淡く発光し、そこから2つの斬撃を飛ばす。ロギア氏族
モチーフは『大地』『空』『生物』の3つ
氏族傾向として、高器用 高知力 が挙げられる(他はかなり低い)。
そして、再生が強化されており(本来のヴァンパイアの再生は√[HPの最大値])、大地と生物の生命力に由来している。
一族名は惑星に由来しており、復活能力は自然への回帰という共通性を持つ(その惑星において、支配的な物質などから1つ選ばれている)。
また、自身と異なる要素を否定する領域を持ち、自身の手番終了時ごとにダメージを与える。
近接攻撃における選択式能力は、大地との連携攻撃をイメージしたものとなっている。刺さる相手には理不尽な相性を発揮することもある。SS類(進捗ダメです)
1.電撃作戦:遺跡奪還
その地の最期
私も住むとある遺跡に、とある蛮族の大隊が攻め込んできた。目的は明白、白昼剣の名を持つ魔剣でしょうね。
正確な情報は不明みたいだけれど、ムルシエラゴやリャナンシー、その上位種が確認されたことから、吸血鬼の襲撃であることは間違いない。相手がヴァンパイア級の中では屈指の実力を持つ黒き吸血鬼である可能性も考慮して、奈落の壁の守り手になれる者のみで対応することにしたわ。
あとは、なんとかエスケープが使える神官を1人、避難のために回した。聖戦を始めるには、2つほど階位が足りなかったためね。この場で【ディバイン・ウォー】を行使できたのは私だけ。自身にかからないのが苦しいけど、なんとかするしかないわ。
避難まで食い止めつつ、可能であれば撃退するために、私たちは対応へ向かい…間もなくして交戦が始まった。
目の前のヴァンパイアと…違う、ノスフェラトゥと相対して、私は一瞬言葉を失ったわ。目の前にいたのは菫の吸血鬼の起源種。
それでも機先を制したのはこちら。大半のリャナンシーを掃討し、一度相手の反撃をしのぐことにしたわ。
回避行動のために体勢を立て直すと戦場にスミレが舞い、リャナンシーが再び呼び出され、後衛に殺到する。生半可なゴーレムは魔法により一瞬で解体され、そのまま後衛が蹂躙されていったわ。
目の前のノスフェラトゥの能力が危険だと判断し、その後の反撃で封印したけど、横の重戦士は数で蹂躙され、30秒ほど経った頃には私だけだったわ。リャナンシーは歯牙にもかける必要がなかったけれど、手数が足りず、持ちこたえることしかできなかった。
そこから3分ほど経過して、避難が終わった頃かしら。2つの衝撃、3本の剣閃、死の光条が私を貫いて、急速に意識が遠のいて…。避難完了した合図を受けても、撤退する余裕の無かった私は、アポートの行使をしてもらうための合図だけ返して、そのまま倒れたわ。奪還後の追想
ナージェという犠牲を出しながら、遺跡の奪還に成功した。アオイライトによる励ましもあり気持ちは持ち直していたが、完璧に克服したわけではなかった。
自分が何もできない無力な者であるという悲観的な感情は、未だ姿を潜め、私を喰らおうとする。
そんな折神殿に向かうと、同じように気持ちに整理をつけに来たであろうユーディアを見つけた。暗い雰囲気を感じた私は、反射的に気丈に振る舞ってしまった。私もまだ克服できていないと言うのに。
周りにいた他の皆が、ユーディアを励ます様子に、私もまた少し救われる気持ちになる。
そうして自らの神に宣誓を始めるユーディアの姿を見て、すっかり元気づけられた。私も、あまりくよくよして要られないな。2.極夜
黒き深淵の空
『そこには月も星もない。』
『それは、黒く、ただ黒い深淵の空。』
『明けない夜への恐怖、その概念そのもの。』
極夜剣を創った者はそう語る。
その者はレプラカーンだったとされている。故に、極夜剣は軽く…そして刀身がとても長い。例えそれが無為だとして、自らの背からその剣を極夜に近づけるためのすべての手段を尽くそうとした。
極夜剣について残っている情報はそう多くない。蛮族により作られたとされる一説が存在する程度には、情報が錯綜している(第四世代魔剣などおおよそ、そのような物だろうが…)。そして、一番の謎は『この剣は人族のために作られたのか、それとも蛮族に与するために作られたのか。』そして、『自らが世界を混沌に陥れるために作られた』可能性すら残っている。
そして、こうした疑念は人族の心に影を落とす。錯綜したこの情報こそ、極夜剣に望まれた物なのかもしれない。3.
4.黄昏
偽りの昼夜が成した黄昏
黄昏剣『クレプスライト』
それが、この剣が本来与えられるはずだった名前。しかし、これは贋作だ。シエスタとノワーレンシエルの2本を再現した贋作に儀式を行うことで作られた物だ。
高位蛮族からすれば剣の出力は低い。純粋な攻撃力はドレイクマーキスの魔剣程度だろう。
しかし、この剣は生命に働きかけ、黄昏に導く。簡単に言えば、相手の生命そのものを損壊させられるのだ。7つの傷をつけた相手の生命活動を停止させる能力だった。
これが黄昏の剣の原初の試作とされている。だがしかし、これが他のどこで使用されているかさえ、私程度に知る由などないのだ。
とあるドレイクマーキスの手記5.
6.
7.その地は何を語るか
菫の起源種
ヴァンパイアヴァイオレットオリジン、それはヴァンパイアより上に位置する支配階級、ノスフェラトゥの1人。そして、彼女もその1人だ。名前は『イスパル・シェレスタ』、始祖、長老種、そして開祖といるノスフェラトゥの中では、最も奔放なヴァンパイアと言える。これもまた、不死者の傲慢な態度なのかもしれないが。
そんな彼女と対等の存在、あるいはそれ以上の存在は極めて少ないが、居ない訳ではない。それ故、命令やお願いで動くこともある。
今回は、人族をそのままに支配する技法の譲渡に対する対価としてだ。18年前に殺した後、気に入ったからと防腐処理を施してそのままの死体があった。
その人族を殺した当時も、同じく対価として動いていたが…当時はなにを提供して貰ったのだったか…魔法文明時代やそれ以前から存在し、悠久を生きるノスフェラトゥにとって、些細な事はどうでもいい様子だ。
その技法を持つ者は、10分かけてその死体を無理矢理蘇生すると同時に支配処理を施し、その視線も注ぐ…?
イスパルは違和感を覚えた。
こいつ…ついでに石化の視線を施そうとしてない?と
とりあえず人形を取り出し、1発(2発)魔法で殴る。眼の前の者は多少痛そうにしながら「冗談じゃないか」、言わんばかりの反応を示す。
(人族が聞けば)気の狂いそうな悪ふざけがあったが、無事に支配に成功したようだ。
自分が支払う対価…お願いを実行するにあたり、イスパルはふと疑問を投げかける。
「魔剣を追ってるって話だけど…どういう目的でどんな魔剣を追っているのかしら?」
眼の前のバジリスクは、目を見開き…呆れた目をした。
こいつ言う事には、18年前も私に同じ質問をされたと言う。
それで白昼剣とやらと極夜剣の話を思い出す。
極夜剣は人族を圧殺すると同時に、増えすぎた蛮族処理しつつ力を蓄えると言うものらしい。いつ作られたのは不明で、第三世代以前の魔剣である可能性すらある代物らしい。
あるいは、神を除いた蛮族が自らの手で作った原初の魔剣(=第四世代魔剣)と言う説もある。
対して、白昼剣。明確に『極夜剣』に対抗するために作られた、魔動機文明時代の魔剣。
極夜剣は、この白昼剣が誕生した日、一瞬共鳴するような動きを示したと言う。
極夜剣は、対抗するため作られる魔剣の存在を先んじて予想し作られたとされ、2つの魔剣を集めて儀式をする事で、「対消滅させる」か「極夜のような黒をもたらす」か、どちらかを選んで行えるらしい。
不死者のような傲慢さを持つ魔剣に、イスパルは興味を覚えた。そうして始まる、無限に終わらぬ質問攻め。バジリスクは目眩を覚えた…。極夜のような黒をもたらす、とは
そう言われても、不死者にとってはともかくとして、バジリスクやドレイク、ディアボロにとってどこまでのメリットがあるのか。
イスパルは無論不死者だが、他の上位蛮族の実態などそこまで知らない。興味がないからだ。
まとめると、以下のような事が起こるらしい
『ドレイク』
研鑽したドレイク(=ドレイクマーキス以上)に限られるようだが、夜に限り、魔剣が斬魔の剣と同様の性質を持つようになるという。
そして、限定的に蛮族を強化(デメリットがない代わりに効果も弱い「▶蛮族狂化」)する事もできるようになるという。
『バジリスク』
これもまた、研鑽したバジリスク(ラインは不明)に限られるようだが、魔物化後でも通常通りの知能で振る舞える上、ついでに日光の元でなければ魔物化後の見た目の醜悪さが改善されるらしい。
『ディアボロ』
一定階級以上のディアボロが持つ強化能力。それが夜に限り効果を倍に発揮するようになるとのことだ。
そして、儀式が行われてから100年間、世界は極夜に包まれる(ただし、太陽による熱は届けられる)。起こるのは、第二の大破局だろう。
バジリスクと…そしてこれを見ている者は疑問に思っただろう。…自分のこと…ヴァンパイアのことを聞いていないと。
オリジンがこの有り様と聞いたら頭を抱える者が複数いそうだが、実のところイスパルは少し抜けているところがあるのだ。これは親子ではなく姉妹では?
ミリスは、アリスを含む5人のパーティーにより救出されてからしばらくの療養の後、娘であるアリスに【イレイス・ブランデッド】をかけて貰っていた。アリス本人の申し出だったのは言うまでもない。
死んでしまってから18年経過していた事実。そして、恐らく18年間死体で放置されていた自分のことを考えると…肉体的には親子と呼べる年齢差はしていない。22年離れていた年齢は、4年に縮まっていた。
それでも、アリスにとってはミリスは母親であることには変わりない。一度も話すことがなく、これからもそうだろうと思っていた母親が目の前にいるのだ。そして、【イレイス・ブランデッド】の関係で1日の間つきっきり。色々話し込むチャンスだった。そうしてこれまでの事を沢山話した。そして、魔剣の事についても。
その話に、ミリスの表情が少し曇る。そして、謝りながら、細々と話し始める。
自分が現在における白昼剣の正式な所有者である事。そして、次代は…前代以前の記憶を受け継いだ者であり、アリスは本来これに巻き込まれる運びでは無かったこと。
最後にアリスに対してごめんねと返し、気まずそうに口を噤む。
気まずい時間が流れ…数分程度経過した頃に、アリスは気付いた。自分が思ったより余所余所しく話していた事に。普段の調子を取り戻したアリスは、にこやかに言い放つ。
「ともかく、お帰りだな。母さん。」
「それにしても…随分と若く見えるじゃないか。実は同い年とかなんじゃないか?」
それを聞いたミリスはおかしくなって笑ってしまった。気の抜ける感覚もする。もちろん、お互いの会話で、ミリスに空白の18年間が存在する事は分かっていた。それでも、臆せずに雰囲気を和ませに来る我が子に嬉しくなってしまい、一筋の涙を流しながら
「このぉ、はっ倒すわよ?」
死に別れた親子は白昼の元で再会し、姉妹のように笑い合う。アリスは母親を手伝う覚悟を決め、ミリスは因縁に決着を付ける覚悟を決めた。こうして動き出した、もう1つの歯車。極夜のような深い絶望に抗う物語は既に幕を開けた。8.身を滅ぼす強欲
とある側近の日記
国王は侵攻に打って出る2週間ほど前に体調を崩し、1週間ほど寝込んでいた。
体調を取り戻した後は何事もない様子で国務をこなされていたが、方針に多少の違和感を覚えた。
ヴァンパイアの勢力が近くにいることは私も知っていたが、ムルシエラゴは1週間ではここまでのことはできない。そのために、私はヴァンパイアが絡んでいる線は殆ど考えていなかった。
だが、国王と思わしき者は数日後に様子が一変した。どう根回しを済ませたのかは不明だが、通っていいはずのない無理な案が通り、準備も周到だった。周到だったとはいえ、装備は不十分。侵攻を行うには明らかに不足している。
結果は最初から想定されていたよりも酷いものだった。前衛の騎士団は一撃で容易に壊滅し、そのまま魔法師隊も呪いの雲で即殺された。
相手は『強欲』を司るアンピュルシオン氏族のヴァンパイアだったため、これによる悪影響ではないか。そういう声も挙がっていた。しかし、私が地下牢の巡回に行った折、1つの事実が発覚した。
死人のようになった国王が地下室に遺棄されていた。殆どの記憶を奪われており、意識がある以外の確認ができなかった。リャナンシーアサシンの「○変化の吸血」によるものらしい。
私は知らなかったのだが、別の大陸にはリャナンシーという種族がおり、7日…つまり1週間で対象に成り代わる術を持っているという。異常な根回しの良さは、リャナンシーが複数忍び込んでいた事によるものだった。
今回の件、国王や私達のような側近には情状酌量の余地はあるようだ。しかし、民を多く死なせた罪を考えれば、良くて即殺による死刑だろう。苦しまずに死ぬか、そうでないかの2択だ。
…せめてもの償いは、これからの取り調べに対して一切の嘘を混ぜないことだろう。9.Liberator
10.Terrestrial resistance
11.テレスティアはこう語った
堕ちる明星(敗北ifにつき閲覧注意?)
託宣を得たとて、パトリアーク級のヴァンパイアには叶わなかったのか、最後の1人が倒れ伏す。無慈悲にも、1人を除いて確実にトドメを刺した後、せめてもの温情か、あるいは気まぐれか。死体には【プリサーベイション】をかけて場を離れた。
トドメを刺されなかったのは、アリス・テレスティア。彼女は白昼剣と共に持ち帰られ、血の接吻を受けさせられていた。氏族のうち空席であった金星の一族を埋めるために。
本来はレッサーヴァンパイアを経てヴァンパイア級になるのだが、彼女は運命の符号を発芽しながらに、…あるいはそれ故か、吸血鬼としての才能も発芽していた。即時とは行かずとも、いとも容易くオリジン級に至るだろう。
そうして2週間後、金色の目は虚ろな目になっていた。どこかで歪まされてしまった感情を裏に秘め…。
"堕ちた明星"アリス・テレスティア(ヴァンパイアヴィーナスオリジン)
由来・逸話
――――少女はこう語った。
「私は、決して『白昼』足り得なかった。」
「———それでも夜空を飾る、何よりも明るい星だったのだ。」