ゆとシートⅡ for SW2.5 - ゆと工公式鯖

エレーミア砂漠の秘宝:〈砂竜姫と英雄王の千年葡萄酒〉 - ゆとシートⅡ for SW2.5 - ゆと工公式鯖

エレーミア砂漠の秘宝:〈砂竜姫と英雄王の千年葡萄酒〉

基本取引価格:560000(非売品)
知名度
42
形状
美しい黄金色に蒼空色のグラデーションがかかった、麗しく強いオーロラ色をした《エレーミアワイン》。
カテゴリ
食事・ポーション
製作時期
不明
概要
アズデザードの地下深くにあった大部屋にいくつも積んである樽に入ったワイン。飲めばあらゆる悪疫が消え、HPが超回復する。
効果

 エレーミア砂漠の奥地にある、『砂竜姫と英雄王の都アズデザード』。その地下深くに存在する遺跡にある隠し部屋に大量に積んであった樽の中に入っているのが、このワインです。原材料は〈エレーミアワイン〉と同じ葡萄で、これはエレーミアワインを”1000年以上”寝かせたものになっています。
 世間ではエレーミアワインのピークは20年とされていますが、実は100年以上寝かせることで初めて変化が訪れます。長い年月をかけて寝かせたエレーミアワインは、実際20年で熟成されきるため一度変化を止めます。しかし、そこから80年寝かせ続けると、別の変化が起きるのです。20年で味がまろやかで深いコクが出され切った後、熟成され切ってしまったため発酵、熟成過程で現れていた微生物は一度死滅します。ですが長い年月をかけた結果、それらはなんと蘇るのです。これはエレーミアワインの高い薬効と良質さが生んだ結果です。エレーミアワインは材質上、高い治療効果を持っています。それを微生物が吸い続け、その生態に変化を及ぼしたのです。そうして現れた新たな微生物は、エレーミアワインをさらにおいしく、より薬効の高い別の酒に生まれ変わらせてしまいました。
 このワインを1杯飲むことで、HPを「威力100+寝かせた年数/50」点回復させることができます。この効果による回復量はクリティカルが発生します。戦闘中にも小瓶に詰めておけば、ポーションとして主動作で使用することができます。回復量には「レンジャー技能レベル+知力ボーナス」点が追加されます。また、達成値「32+寝かせた年数/1000」で、毒・病気属性、精神効果属性、呪い属性のあらゆる状態異常をどんな条件下にあろうとも問答無用で消し去ります。これらの「寝かせた年数」は、”1000年単位”として扱います。
 基本取引価格は1瓶の値段で、1杯飲む場合は56000G必要です。現在この酒は9000年寝かされており、10000年たった時にどうなるかは、誰も知りません。

由来・逸話

 このワインはもともと、かつてこの砂漠を支配していた”炎砂の魔王”と呼ばれたドレイクが、かつて自分の蛮族領を救った英雄へ贈ったものでした。現在は誰一人として知りませんが、エレーミアワインの製造法を編み出したのは、他でもない彼女だったのです。人族が広めている「もともと人族領であった頃のエレーミア砂漠の部族が作り上げた極上の酒」というのは、人族が蛮族領を奪うための真っ赤なウソです。確かに、人族の砂漠の部族はエレーミア砂漠に滞在していました。しかしそれは神話の時代、「エレーミア」と呼ばれる蛮族と人族の間に結ばれた平和の証の名残だったのです。砂漠の部族は、水を確保できる植物として原料である果物を、蛮族と人族で分けつつ食べていましたが、ワインとして確立させたのは、数千年後に生まれたドレイクの彼女です。
 彼女は、エレーミア砂漠で手に入りにくい薬を手に入れるため、様々な方法を模索しました。その結果行きついたのが、「エレーミアワイン」だったのです。寝かせれば寝かせるほど薬効が高まることを知った彼女は、それをさらに薬効を高めることができないものかと何度も模索しましたが、結局それは数年たっても確立せず、エレーミアワインだけでは大勢の命を救うことができませんでした。その努力の成果が表れたのは、100年たったあとです。彼女が試作品をいくらか作り、放置した中で、ユグドラシルの若木から確保した木で作った樽の中のワインが、異様な変化を現していることに気づいたのです。これが、〈千年葡萄酒〉の元となる酒でした。エレーミアワインよりもより美味しく、高い薬効を持っていたことから、悲劇を繰り返さないために量産しようとしましたが、ユグドラシルの若木はそこまで数が多いわけでもなく、素材となる木を譲ってくれるわけもありません。そのため、彼女はこの酒を特別なものとして、生涯自分の前に現れた英雄に振舞おうと決めたのです。
 そんな時に現れたのが、自らを倒しに来た”勇者一行”です。彼らは魔王と呼ばれる自分を倒すためにやってきて、最終的に彼女は敗北しました。命の灯もここまでか。そう思った彼女を救ったのが、彼らの後ろに控えていた”後の英雄王となる人物”です。彼は彼女との戦いで息も絶え絶えな勇者一行を、一人で全員打ち負かし、「この国を俺のものにする」と言ったのです。最初はそんな横暴な態度から、「こんな男に」と心の底から悔いていました。しかし実のところ、彼はこの国を救ってくれたのです。
 この国…旧名『デゼール』は、貧困や食糧難、人族による略奪だけでなく、隣の魔王の侵略による対応に追われていました。そんな中勇者一行が現れ、彼女は打倒されたわけですが、そのまま滅ぶことをその男は快く思わなかったのです。彼は口言葉だけは横暴でしたが、その頭脳や政治の手腕は目を見張るものでした。貧困はしばらくの間は解決しませんでしたが、食糧難、人族による略奪、隣の魔王による侵略は、彼がすべて解決したのです。その後は緩やかに貧困問題も解決していき、問題がすべて解決した時にはすでに、彼女はその男に気を許していました。彼は自由にやりたいことをやっていただけだと述べ、それが事実であることも、彼女は把握していました。しかし、横暴さの中にある自由さと、時折見え隠れするその優しさに、彼女はすっかり惚れ込んでいたのです。彼女は落ち着いたある時、彼にこの100年寝かせたエレーミアワインを渡しました。それを受け取った彼はすぐさまそれを口にし、痛く気に入りました。しかし彼は、「この酒は寝かせるともっとうまくなるだろう。なぜ今飲ませたんだ」と聞きます。彼の言う通り、それはさらに寝かせれば美味しく、より薬効があるものになるということも彼女は把握していました。しかしそれでも、「あなたに飲んでほしかった。いつかいなくなってしまうあなたに。」と、彼女は言いました。それを聞いた男は、「材料を教えろ」と、彼女に言います。彼女は彼に「その酒を造るには100年以上月日をかける必要がある。新しく作っても飲めることはない」と伝えました。彼女は、いつかは彼は自分より先に逝ってしまう。そう思うと、悲しくてやみませんでした。
 しかし次に彼から出た言葉は、彼女が思いもよらないものでした。

 「この極上の酒よりもさらに美味いものが飲めるのなら、俺は何百、何千、何万年だって生きて見せよう。酒が完成したその時は、お前も一緒にグラスを揺らしてくれ」

 彼女はそれを聞いて、年甲斐もなく思わず涙を流しました。彼に惚れ込んでいた彼女は、その時点で一生彼を愛すると決めたのです。
 男は、この時まで形式上のみデザードの王で、国民の一部からは認められず、彼女とも半ば政略結婚のような形でした。しかし改めて、”本当の伴侶としての夫婦”という形に変わり、民意も得て、その名前を彼の名を含めた『アズデザード』に変わりました。横暴な男は本物の英雄として、本物の王として。これまで国を一人で背負ってきた彼女は、彼を支える王妃となったそうです。
 そうしてまず始めたことは、「ユグドラシルの協力を経て大量のワインを製造すること」でした。国を総出でその作業に取り掛かり、約1万樽のワインを作り上げたそうです。ユグドラシルの協力を得るのは難航するかのように思われましたが、かの王はそのユグドラシルとのコネクションも持っていたのです。



 数年もすれば、それは完成し、城の地下深くにある場所に保管されました。その秘宝こそが。〈砂竜姫と英雄王の千年葡萄酒〉なのです。











 もともとは〈英雄王の千年葡萄酒〉だったそうですが、ドレイクである彼女がどうしても自分も一緒にいたいと強く要望を上げたことで最終的にこの名前に決まったそうです。

製作者:りゅーせーさん