緩慢に、どこまでも緩慢に時間が過ぎていく。停滞する思考に「始まりの剣を探せ。」というたった1つの命令が鋭く響く。
レプラカーンや、ドワーフ、あるいはエルフやナイトメアのように、永い時を生きる種族は多くある。だがそれでも彼らは定命の存在であり、いつかその肉体は朽ち果て精神は輪廻へと還る。───私たちと違って。私たちの肉体はどれだけ朽ち果てようと、形を失おうと、魂は汚泥のように積もり、地の底を這いずり回る。「始まりの剣を探す」ただそれがなされる時まで私たちの永遠の旅路は続く。100年か200年か、あるいはそれ以上の膨大な時間をかけ、やっとただそれだけの思考を巡らせる。
しかし。来るはずの無い終わりは突然に訪れた。
感じる筈のない激痛に始まり、しかしそれは次第に優しい暖かさへと変わる。鳥の囀りが聴覚を、花の香りが嗅覚を刺激し、柔らかな光が目を刺す。顔を上げれば力強くも美しい光球が私たちを照らしていた。
ふと周りを見渡す。ただ地を這いずるだけだった私たちのいくつもの魂が天へと還ってゆく。

永劫に続く筈の存在が、唯この一瞬に凝縮して消えてゆく。これ程までに美しい光景があるだろうか。

この日、かつての大破局と共に現れたレブナント5000体の軍勢が壊滅した。

大破局の時にとあるノスフェラトゥが作ったレブナントの軍勢の一員にされて、命令で始まりの剣を探していた。しかし最近(長命種的に)超高位の神聖魔法を受けて魂の穢れが浄化されて解放された。肉体の損傷も軽微だったためか普通のレプラカーンとして生き返った。またこの時に見た数多の永劫に存在し続けるはずのレブナント等のアンデッドが一瞬にして消えて無くなる様を美しいと感じ、なんで生前の自分は神聖でも操霊でもなく真語魔法と森羅魔法を修得したんだとブチ切れてる。
しばらくは被災者手当て的なもので生活してたがそうもいかなくなって冒険者を始めた。