容姿・経歴・その他メモ

【経歴表】
■恥ずかしいあだ名を持っている(いた)→チブル
■異性の家族がいない
■許嫁がいる(いた)
【冒険に出た理由】
■人々を守るため

名も無きコボルド。有象無象のコボルド。掃いて捨てるほどいるコボルド。その内の一体。

当たり前のように、蛮族社会で道具のように扱われた。まだ幸運な方だったのだろう、仕える相手は人族を喰らうオーガやトロール族だったのだから。
呼ばれる時はチブル。同じコボルドの中でも一際弱虫だったから、蔑称としてそう呼ばれ続けた。

仕えながらも、家族もそれから許嫁と言えるような大事な相手もいた。でもそんなものは、何も尊重されない。
無理な労働や理不尽な制裁などで、みんな突然いなくなっていった。
ただただ生存本能だけで、強者に付き従い、惨めに生き続けてきた。

そんな当たり前のように最低最悪な日々は、ある日突然終わりを告げる。
捕らえたドワーフの少年冒険者の様子を見てこいとダークドワーフに命じられ、必死に走って牢屋に向かった。
その途中で、人族の冒険者たちに捕えられた。

人族は蛮族を殺す。恐ろしかった。でも人族に捕まったから、どちらにせよ役立たずと殺される。
ただただ生きたいとだけ願ったら、叫べと命じられ。考える余地もなく、叫んだ。
それが何をもたらすかはよく分かってなかった。でも許されるとは思えなかった。生きるために正しい道かは分からないけど、人族に縋った。
そうしたらもう、後戻りはできなくなった。

外に連れて行ってくれる人族の女性が、いばりんぼのドーンたちに敗れた。咄嗟に他の人族に助けを求めに言った。それをドーンたちにも悟られた。
もう、蛮族として生きていくことは出来なくなった。

ドーンたちは倒されて、これで逃げ出せると思ったら。
人族の女性を運ぶ手伝いを命じられた。
それはつまり人族の集落に向かうことに等しくて、結局殺されるんだと絶望したけど。
自分に背を向けてドーンたちに立ち向かい、護ってくれた人族を放ってはおけなかったから。
どうせ死ぬならと、従った。


帰ったら、顔が見えない人族が迎えてくれて。見たことすらないような、美味しいものを振舞ってくれて。
必死になって食べていたら、小さな体躯の人族…グラスランナーっていうらしい。その人が、ぼくを「買い取った」と聞いた。
値段は0Gだったらしい、だって持ち主がいないから。だからぼくの価値は、今後その人が決めるらしい。


何も出来なければ価値が付けられないから、持ち主が技術を教えてくれた。錬金術というらしい。
それから、斥候や学問、野伏としての知識や技術。
困った時に使うといいよと、顔の見えない人族がぼくに聖印を授けてくれた。人族が信仰する神、ライフォス神の聖印。
いいの？と尋ねたら。君の前にも授けられた蛮族がいるんだよとだけ教えてもらった。

そうして生きる術を覚えてから、お店で働き始めた。
帰ってすぐはドタバタしていたようだけど、落ち着いたら給仕の仕事を覚えることになって。
角が生えててテキパキ動くお兄さんと。
おっきい身体なのにぼくみたいに弱虫そうなお兄さんと。
小さい身体なのに力持ちで優しいお兄さんと。
黒いけどのんびりしてて穏やかなマスターと。
それからぼく…シエルという名前を貰えたぼく。
生きるために、働くことになった。

何がどうしてこうなったのか、未だにわかってないけれど。
命を脅かされて、ただただ恐ろしくて怯えていただけの生活から救ってくれたのは、人族だったのは間違いないから。
だから人族のために生きていこうと、それだけ決めたんだ。

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