容姿・経歴・その他メモ

エレナはある商会の一人娘として生まれた。

　エレナは15まで順風満帆に生きてきた。親が運営する商会は客が絶えず、また稼ぎも多く、周囲の人間に愛され、何一つ不自由なく生きてきた。

　転機が起こったのは16のある日。その日は父に言われて、父の執務室に来ていた。
　『おまえもそろそろいい年。婚約者の一人も見つけないとな』そう父に言われ、父が用意したお見合いに参加させられることになってしまった。
　婚約する相手は最近この村に来たばかりの１８程度の年齢の青年商人。商売がてら、父と同じガメル神官同士として気が合い見合いまで加速的に話が進んだとのことだった。
　父からは『あくまで彼と私が気が合っただけでしかない。お前は気に入らなければこの見合いを無視して構わない』そういわれていたため、彼女は気軽に見合いをする気になった。

　それから少しして見合いへと場は移る。彼女は青年と出会い、すこしばかりとも惹かれ、それから何度か会う約束をする程度まで話をするようになっていった。

　次の日、親が仕事にいそしむ頃。急にその青年は商会にやってきた。彼に『もっと互いのことをよく知りたいから、すこし散歩でもしないか？』と言われ、少しおどろいた彼女ではあったが、彼に少し惹かれていたこともあって彼女はそれに了承し、彼についていくことになった。
　彼についていき、街の外周部……守りの剣の効果範囲外まで来た時、急に一体の蛮族が襲ってきたのだった。
　青年は彼女をかばうように蛮族の前に立つ。彼女はその蛮族にこれまで感じたことのない恐怖を感じながらも、彼がその蛮族と戦う姿に目を引かれる。最後には彼女も青年を支援しつつ、青年とともにその魔物を倒し、商会に戻る。
　商会に戻った彼女はさらに青年に惹かれることとなる。……青年の思惑通りに

　それから1年の歳月が過ぎ、彼女と青年は結ばれることになる。
　あれから何度も会い、半年が過ぎたころ青年から彼女へプロポーズがあったのだ。
　大恋愛の末、彼らは結ばれた……はずだった。

　始まりは青年から彼女の父である父に一つの商売を持ちかける。
　それはリスクが少なく、そしてリターンが大きいように見えた商売だった。
　父はすこし不安な気持ちもあったが、青年や彼女の熱い一押しもあり、その商売をすることになり……
　そしてその商売がご破算になり、商会に莫大な借金が残ることとなってしまった。

　それをしたのは青年だった。
　安全なはずの、危険な情報を故意に隠匿し。
　価値が出る物を、よそに流し。
　情報を広め、そのリターンをなしとした。
　さらには蛮族の力さえ借りて、商会を完膚なきまでに叩き潰したのだった。
　
　青年はそのことに気づいた彼女たちを前にして笑った。
　ガメル神官だと嘘をついて彼女たちに見せていた、メッキがはがれ本来の形を現した聖印……
　メイガルの聖印を見せびらかして、種明かしを彼はする。
　父と出会って気が合ったのも、彼女と道を歩いていた時に蛮族が襲ってきたのも、すべて自分の仕業だと。
　青年はひとしきり笑った後、呆然と立ち尽くす彼女たちを置き去りにして、その場を去る。
　気づいた後、追いかけようとした彼女だったが時すでに遅くすでに影も形もなくなっていた……

　その後は荒れることとなる。
　商会はつぶれ、膨大な借金が残った父は、身の安全を守るためと国の経済を混乱された罪をもって、牢に入れられることとなる。
　国の役人に言われたのは、『１００万ガメルを持って、罪を無効とする』という判決。
　心労で倒れかけた母を信頼できる人に預けて、彼女は旅をすることとなる。
　
　１００万という大金を集め、そして青年……メイガル神官をとらえるために。
　どこにいるかもわからない青年を見つけるため、一か所にとどまる冒険者ではなく、世界各地に彷徨するヴァグランツとして。

セッション履歴

収支履歴