容姿・経歴・その他メモ

【経歴表】
■物心ついた時には独りだった
■飛行船に乗ったことがある
■家族に異種族がいる
【冒険に出た理由】
■友達に勧められて

アルクの生まれは、奈落の魔域だった。
長くある魔域のようで、魔神が闊歩し外から迷い込んだ人族は例外なく殺される。
ただ魔域で生まれたアルクだけは、魔域にいて干渉されることはなかった。
ただ唯一、自らの側にいた扉の小魔を除いては。

魔域での生活は悪くなかった。人族の食事を知らないので、魔神の醜悪な食事が苦にならない。
当たり前の幸せを知らないので、当たり前の不幸が苦にならない。
周りに魔神しかいないので、1人でいることが苦にならない。
小魔の声も、環境音の一種でしかなかった。最初のうちは。

しかし小魔の言葉が分かるようになるにつれて、アルクにとってそれは唯一の存在になった。
小魔は自らを母と名乗った。アルクも小魔を母さんと呼んだ。
いつか父も作れるようになると、小魔は操霊術を覚えるようアルクに促した。
アルクは父を作るために言われたとおりに学んだ。

やがて魔域は冒険者に討伐され、アルクは保護された。
周りの言っていることは分からなかったが、アルクはその時から人族としての生活を知り始めた。
普遍の幸福を知り始めた。

それでもアルクは、母さんと話していることが多い。周囲から見ればその間は、ぼーっとしているように見えるかも知れない。
アルクにとっては、大事な時間だからそれをやめたりはしない。

母さんが言った。アルクを守ってあげるから、戦いなさい。戦って生きる道を選びなさいと。
導かれるように、アルクは月狼亭の扉を開いた。

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