一人称：ミルヒ、ミー
　二人称：ユー、〜サン
　三人称：アレ

　趣味：ノにサくオハナをカミにカザるのデス。
　クセ：カミのケをラウンドアラウンドしちゃいマスねー。
　好物：おにくデス！！！！！！！！！！
　悩み：キュートな服が着れないのデスよ……

☆魔法☆
・肉体復活
：射程接触1体全へ生命抵抗を求める効果によるすべての悪影響を達成値の比べ合いをせずに解除する。消費MP1d6

・グラビティ
：術者を除く半径50mすべての対象へ3Rの間、飛行、浮遊系の無効化を抵抗必中で与える。消費MP2d6

★アイテム★

・〈うみうし丸〉（〈メイス〉SSランク）

正式名称

〈イグニタイト製の海竜のスカルスラッジャー・カスタム〉

知名度

不明

形状

大量の突起が生えた鮮やかな色合いのメイス

概要

海竜の素材で強化された〈スカルスラッジャー〉

製作時期

現代

効果

水属性与ダメージ+1・スレイヤー+3（人族、蛮族、動物、幻獣）

説明

異様な鎚頭によって「頭蓋を汚泥に変える」と称される〈スカルスラッジャー〉を元に、”大海の王者“とも呼ばれる「海竜」の素材で強化した異形のメイスです。晴れ渡る空のような色(アジュールブルー)の鱗皮が張られたことにより、とぐろを巻いた竜にも見えるようになった渦巻いた形状の鎚頭からは、赤い珊瑚色(コーラルレッド)の先端が丸みを帯びた突起が乱杭歯のように生えています。「海竜」がもっていた放電能力は有してはいませんが、鎚頭の突起にその牙や角や爪が使用されており、一度振るわれれば《海掠神エイリャーク》が引き起こす大渦潮(メイルストロム)に巻き込まれたかの如く、価値となる部位と命を奪われた屍を生み出す、蛮族らしい武器ともいえます。本来は古代に存在したとされる回転鋸の顎をもつ異形の鮫から〈ヘリコプリオン〉という銘が与えられていましたが、ミルヒの「かわいくないデス」の一言により、〈うみうし丸〉という銘に変更されたという逸話があります。

・ミルヒは、自分が何処で生まれたのかを知らない。
・気付いた時には、やや狭いが豪華な部屋の中にいた。長い間、部屋に置かれていた本を読んで過ごすだけの日々を送っていて、実験のためにやって来る人族の魔動機師(マギテック)以外の誰とも会う機会はなかった。
・そんなある日、建物全体が何度か振動し、見知らぬもの達が部屋に入ってきた。彼らはミルヒを見て一瞬たじろいた（何故か一人は部屋の外で嘔吐した）ものの、彼女の置かれている現状と、自分たちの仕事についてやさしく教えてくれたのだった。
・ここは魔動機文明アル・メナスの食糧生産工場跡であり、そこで怪しい集団が謎の実験を行っていると聞き駆け付けたのが、冒険者達である彼らだった。ミルヒがいたのは、工場で一番えらいひとの部屋で、彼女が見た魔動機師(マギテック)は『わるいこと』をしていたので、その場で冒険者達が『やっつけて』しまったらしかった。
・話の後、ミルヒは冒険者達と共に外へと足を踏み出した。彼らから勧められ、その巨体を活かし冒険者として働くようになる。そしてつい最近、珍しく同盟を組んでいたドレイクとバジリスク討伐した事で、晴れて「名誉人族」となったのだった。

　ミルヒ・ラッテは、ミノタウロスのウィークリングです。

　ミルヒ・ラッテは、ミノタウロスのウィークリングです。

　それ以上のことを、彼女は知りません。
　記憶喪失なのです。

　気が付いたらちょっぴり狭い豪華な部屋にいて、ずっとそこで本を読んでいました。
　もっぱら読んでいたのは絵本です。道徳を学ぶためとして優秀な絵本から、こどもが自らすすんで読みたくなるような知的好奇心を満たす絵本、読み手を完全に舐めているようなものまで多種多様でした。どんな絵本でも、真剣に読み続けていました。
　たまに魔動機師(マギテック)と名乗った男がご飯を運んできたり、実験の名目で採血したり何かを注入したりしてきましたが、なぜかミルヒは抵抗する事も問いただす事もせず、絵本に夢中になっていました。

　そんな日々は、冒険者によって終わりました。
　いつもより慌ただしく部屋の中に入ってきた魔動機師(マギテック)は、それでもいつものように丁寧に採血と薬品の注入を終え、最後にヘンな表情をして部屋を出ていきました。
　ミルヒが彼と会うのは、それが最後となりました。
　
　次にやってきたのが冒険者たちです。彼らは絵本を読み漁る巨躯を見て一瞬ギョッとしたようでしたが、ひとつひとつ起きたことを丁寧に教えてくれました。
　ここは魔動機文明時代の食糧生産工場跡で、ミルヒは実験体として彼の知的好奇心のために使われてきたとか、彼は悪いひとだったのでその場で倒したとか、いろいろです。

　でもミルヒはそんな話なんかより絵本の続きが気になっていたので、冒険者達の話が一区切りついたところで、絵本の続きを読んでもいいかと訊ねました。
　説明を終え水を飲んでいた冒険者は、先ほどの彼と同じような顔をして、ゆっくり頷きました。

　髪をめくる音と、部屋の外で嘔吐していた冒険者の苦しそうな呻き声だけが、静かな空間に響いていました。

　落ち着いた頃、ミルヒは彼らに連れられて初めて外へと踏み出しました。絵本でしか見たことないような光景が広がっていても、彼女はどこかボーッとした表情で眺めるだけです。
　冒険者達の視線に気付いたミルヒは、読んでいなかった絵本を持っていく事を許可してくれた彼らに感謝の言葉を述べました。
　そうして遺跡を後にしたのです。


　
　でもなんだか、おかしな気がするのです。
　彼女には記憶はないのですが、その、記憶が始まった頃のミルヒと、働き始めた頃のミルヒは、なんというか、違う人物のような気がします。
　どこかで入れ替わってしまったかのような、地続きでないような、ふわふわした記憶が最初の方にあるのです。もしかしたら、薬品のせいかもしれないのですが……

　ミルヒ・ラッテにとってはそんなことより、今の方が大事なのでした。