解説

　ダンカンは魔法文明が崩壊した頃にエルフの集落に生まれました。
　大きな怪我や病気になることなく成人したダンカンは、妻にも恵まれましたが、妻には他に想い人がいたらしく、夫婦仲は良好とは言えませんでした。
　そんな中、妻と2人で森の採取に出かけていた時、幻獣に襲われ、妻は命を落としてしまいました。失意に暮れるダンカンでしたが、ダメで元々と妻の蘇生を操霊術士に依頼しました。
　意外なことに妻はその蘇生を受け入れダンカンの元に帰ってきました。そして、これまでの冷たい態度を謝罪し、自らの蘇生のために身を粉にして働いてくれたダンカンに感謝の言葉を述べました。
　しかし、ダンカンは妻の殊勝すぎるその態度に、ある疑問を持ち始めました。

「妻の蘇生は失敗していて、本当はアンデッドなのではないか？」

ーーー妻を自らの手で殺めてしまったダンカンは完全に気が触れてしまい、妻を蘇らせるためにあらゆる非道な手段に手を出しました。その所業が神となる前のクライエの耳に届き、ダンカンはクライエに殺されてしまいますが、自身の蘇生を配下のアンデッドに命令していたため、何度も復活を繰り返しました。
　蘇生のたびに記憶は混濁し、肉体は腐り落ちてゆきました。それを補うようにクライエへの憎しみは膨れ上がり、身体は健常者のパーツを奪い繋ぎ合わせた歪なものへ変わり果ててしまいました。
　もはやダンカンにはクライエに対する復讐心しか残っておらず、生きる屍と呼ぶべき存在です。