大げんかしたことがある
飛行船に乗ったことがある
未だかなわない夢がある

王になる

自身には血の繋がった姉が一人居る。偶然にも同じウィークリングとして生まれた姉だ。
姉は女性であったためミノタウロス内部ではあまり迫害を受けていなかったが男である自分は特に惨めな扱いを受けた。
そんな中で姉が自分に話し掛ける。
自分は国を作り王となる野望を秘めている話を。
その時初めてだろう姉弟喧嘩をした。
それでも姉が自分に話してくれたのは弟である自分を思ってのことだと分かっては居た。
姉が2人の女性を連れて来る。
1人は姉と共に国を作り上げるパートナーらしくもう1人はと尋ねると今後自分と共に行動する従者として契約したらしい女性だった。
蛮族を裏切る以上はここにも何れ入れなくなる、そして自分の今後を案じ人族の中に共に入れるようにと取りはからってくれたのだ。
いつか共に強くなったとき王として共に暮らそうと告げる姉にやはり敵わないなと思いながらその計画を受け入れた。
だが俺も男であるからこそいつか俺自身も王となる。
叶わない夢だろうとみすみす諦めるつもりは無い。

グラドは焔竜亭に所属する冒険者であると同時に帝国ルーデンベルクのエージェントでもある。
彼は姉とその仲間の計画を受け入れ出来上がった国を発展させるために力を蓄えていた。

彼は仕事を熟す傍らで鍛錬を欠かさない。

修行をする最中とある噂話を耳にする。

内容は至って単純で修行に適した道場があるのだがその道場がとある老師がその技を誰にも伝承せずに滅びを迎えようとしているという。

技を受け継げるかは兎も角自身の腕は殆どが我流によるもの、それが正しいとも間違っているとも思わなかったが自身の腕が何処まで通用するかは気になっていたからこそ、歴史ある技を見ておく必要があると理由付けて道場へと向かうことにする。

それが自身を振り返る事になる事を知らずに...