オレイザ(胎児形態)
- 知能
- なし
- 知覚
- 魔法
- 反応
- 敵対的
- 穢れ
- 4
- 言語
- なし
- 生息地
- 知名度/弱点値
- /
- 弱点
- 先制値
- 移動速度
| 攻撃方法(部位) | 命中力 | 打撃点 | 回避力 | 防護点 | HP | MP |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ― | ― | ― | ― | ― | ― |
特殊能力
なし
解説
オレイザは、自身の存在を巨大な繭の中へと封じ、変容の果てに至る「羽化の胎」へと姿を変えます。
白濁した半透明の繭は、人間の家屋ほどの大きさを誇り、その中心には手足を折り畳んだ巨大な胎児が浮かんでいます。
その身体は青白く透け、緑の微光を淡く放ちながら、まるで壊れた陶器のような儚さを帯びています。
繭の内壁と彼女を繋ぐのは、幾重にも螺旋を描いたヘソの緒のようなマナの管です。
閉じた瞼の奥では、蜘蛛の糸を巻いたような眼球が、音もなく、永遠に向けて回転し続けています。
繭の外殻には無数の微細な虫が群がり、内側からの呼吸に応じて外壁が静かに膨らみ、萎みます。
その皮膜から滲み出すのは、「影」とは異なる何か──時間の裂け目から零れ落ちた記憶の残滓、命令の亡骸、そして成りきれなかった「未来」たち。
この形態はオレイザが極限の危機に晒されたとき、自身を守るために発動する最終防衛状態であり、肉体ではなく精神世界を侵食する兵器です。
彼女が自ら動くことはなく、ただ眠りながら、繭の周囲に立つ者の「現実」を、まるで自身の延長であるかのように書き換えていきます。
聞いたことのない命令が頭の中に浮かび、心を刺すはずのなかった後悔が疼き出し、存在しなかったはずの記憶が「本当」のように蘇ります。
そうして傍に立ち続けた者は、やがて自らの過去も、今も、これからもわからなくなっていくのです。
繭が出現した瞬間、冒険者たちが最初に気づくのは「敵の気配の希薄さ」です。
何と戦っているのか、なぜ戦っているのか、どこから来たのか……そうした認識がひとつずつ剥がれ落ち、代わりに浮かぶのは「ここにいるはずだった別の自分の人生」です。
それは記憶でも幻でもなく「まだ選ばれていない運命」の断片です。
その感情を、記録を、命令を、オレイザは繭の中でゆっくりと紡ぎ続けます。
自分が「何に羽化するか」すら知らぬままに──ただ静かに、目覚めの時を待ちながら。