命を助けられたことがある
かつて信頼できる友人がいた
「負けず嫌い」と評されたことがある

理由：探しているものがある

生まれ：一般的な町人(母死亡)

奴隷として過ごした
注目を集めてしまう
特別な師に出会えた

信条
闘争(勇気、強さ)
財力(賭博、貧しさ)
矜持/執着：敵に背を向けない

母親を死に至らしめた忌み子。それはカチェスの運命を重く暗いものと暗示するようだった。
カチェスの存在を強く恨んだ父親によって捨てられたカチェスは奴隷としてとある貴族の家でこき使われた。後ろでもなく、庇護する存在もいないカチェスはストレス発散として貴族にとっても使用人にとっても都合の良い存在だった。
見目の良いカチェスはそういった意味でも甚振られ、日々どうして自分はこうも虐げられるのだろうと夜を涙で過ごした。

ある日、アステリアの教えを知り、その自由さに焦がれて以降アステリアに祈りをあげる日が続く。
いつかこの地獄から逃げ出したいと思いながら祈りをあげていると、アステリアの声を聴く。そのことがまるで逃げ出すことを応援してもらったような気がし、カチェスはすぐさま屋敷から逃げ出した。

逃げ出した先は広大な自然の中だった。
屋敷から抜け出し、街から抜け出し、付いた先は広大な森の中。
行く当てのないカチェスは森の中で生きることを決める。
会話する相手はいないが、そんなことは屋敷にいた時と変わらない。あそこでカチェスの言葉に耳を傾ける者などいなかった。ならばこれまでと変わりないではないか。
知識のない状態で自然の中で過ごすのは過酷であったが、自然は厳しくも確かにカチェスを歓迎していた。
森の中にある川は飲み水として活用でき、カチェスもわかる果物が多く実り、運良く大きな樹洞がカチェスの住処となった。

自然の中で一人過ごし、自然の中でのびのびと生きている中でこの幸運をアステリア様のおかげであると祈りを捧げる日々を送っていれば、次第に穢れを嫌うはずの妖精たちの声を聴けるようになっていった。
妖精たちの助力もあり、森の中での生活も活気づき始めた中、とある出会いがカチェスの未来を変えた。

ある時、とある美しいミリッツァ神官と出会う。
ミリッツァ神官――ミレイはカチェスの種族を把握して、何故カチェスがこのような場所にいるのかなんとなくだが察したようだった。同族であることを明かし、カチェスのこれまでを優しく聞いてくれたミレイにカチェスは懐く。初めてだったのだ。自分に対してこの様に優しく寄り添ってくれる存在は。
ミレイはこの先どうしたいかと問いかけた。カチェスは考え、考え、そしてふと思いついた。

見返したい。
自分を捨てた親を。虐げてきた者たちを。
認めさせたい。
多くの者に、自分という存在を認めさせ、肯定させたい。

この思いをミレイは肯定し、背中を押してくれた。
ミレイは多くのことを教えてくれた。
人によく見られる振舞い方。
人に寄り添う言葉選び。
一般的な善行、悪行。
多くのことを教えたミレイはそのあとカチェスにもう大丈夫だと言って、街まで案内してくれた。

それからカチェスはミレイの教えに従い、自身がナイトメアでも構わないと言ってくれる人を見つけ、どんどん交流を広めていった。
彼の目立つ色彩と整った容姿は時として人を惑わすこともあったが、それすらも利用して生きてきた。
幼少の経験はカチェスに影を差し、人々を見る目はどこかで嘲りを含んでいた。