聖印と神像

ケテルマルクトの聖印は、花に包まれた少女を意匠化しており花の茎が剣になっているのが特徴です
神像は人形か花を抱えた女性が一般的で、足元には人形か花のいずれかが敷き詰められています。これは花が好きで人形に花を持たせていた事に由来しているとされています

神格と教義

　ケテルマルクトは、かつてオアシスの魔女と呼ばれた女性が"賢神"キルヒアによって導かれた神です。大破局末期に生まれ、蛮族から身を守る為に危険な森に1人で隠れ住んでいたと言われています。孤独な彼女は、人形を作り友達と接するかのように話しかける事で心の平穏を保ち、孤独に苛まれることなく生きてこれたらしいです。ですが彼女について調べてもわかるのは、蛮族の支配領域であるレーゼルドーン大陸エイギア地方に広がる砂漠で"オアシスの魔女"と呼ばれていた事だけです。キルヒアに導かれた理由は後世に伝わっておりませんが、この"オアシスの魔女"と深く関係があることは明白です。この異名は、彼女の体質とオアシスの特性が合わさり無数のゴーレムや人形を使役していたからだと言われています。その証拠に、今でも砂漠には彼女が生み出したゴーレムや幻影が数多く存在し、侵入者には容赦なくその力を振るいます。そして砂漠の中心にあるオアシスを今でも守っているのだと現地の住民は語ります。彼らオアシスの民が蛮族領の中でも人族領域を維持して生きて行けるのは、その為でしょう。一説によると、ユリスカロアという自称"神"の少女がケテルマルクトを北の地に送りキルヒアの目に留まるように仕向けたとされていますが、そのような神は存在しません。テケルマルクトが見た幻か自身が作り出した人形だったのかもしれません。
　広大な砂漠の中でオアシスの魔女と言われていただけあって、その教義は困難に立ち向かうことを示唆しています。また、孤独でいる事を推奨しており1人でいる時間を大切にするように説いています。これは人形を通して自分を知るという事だと解釈されることが多いです。ですが人形遊びを好む一部の者からは、孤独でいる事こそが楽園への近道であると解釈されています。
　テケルマルクトの神官にとって、他者に花や人形を送る行為は最上級の親愛の意味を表します。自らの分身である人形を渡すことで、"私は永遠にあなたの物になる"という意思表示になります。しかし相手に裏切られた場合は、この人形が相手を呪い殺すでしょう
　テケルマルクとは、古いユーレリア地方の言葉で叡智の光という意味があります。ユーレリア地方出身だと言われていますが、それ故に彼女が何故レーゼルドーン大陸で信託を受けたのかは不明です。しかしそれを裏付けるかのように、神殿には彼女の好物であったユーレリア地方の特産品である温泉饅頭がよく奉納されます。
　一部の信者には他者を操り人形扱いする者もおり、その影響から"傀儡神"と呼ばれ邪教扱いを受けています。発祥の地がレーゼルドーン大陸であることや、信仰者が不死者(アンデッド)や魔神を使役していることが多い事、神官の中に蛮族(バルバロス)が多い事、神官であるのにもかかわらず禁忌を犯している事がそれに拍車をかけています。

格言

「酷薄な選択を選び、荒野を進め。その先にこそ楽園がある」

「人形とは己の生き写しである。自らと向き合い魂を込めよ」

「孤独とは新しい出会いへの布石だ。魂を愛し、華を咲かせろ」

備考

ケテルマルクトは第三の剣の神ですが、信仰のブレにより信仰者が人族であれば【セイグリッド】系を、蛮族であれば【ヴァイス】系の基本神聖魔法を行使する事になります