割と大柄、引き締まっているが出るところは出ている肉体。身長は180cm前後、体重は一般女性と比較すればかなり重い方。

　肌はナイトメアの特徴として真っ白。瞳は朱色、髪の毛はくすんで茶色っぽいブロンド。腹部に派手な傷がある。

　角は、頭頂部に上向きに並んで2本が生えている。

　普段は「起きているのか眠っているのかわからない」と評される振舞い。目はほとんど閉じたような状態で、ほとんど覇気がなくうすぼんやりした雰囲気。しかし周囲の状況をきちんと把握してはいる他、「良くも悪くも、母親のような」と評される、世話焼き・過保護・自罰的な言動が唐突に出ることが多い。

　母性的で包容力のある性格が基本となっているが、その裏には時折狂気が見え隠れする。「母親のような」態度もそうだが、蛮族や魔神に向ける凄まじい憎しみは語り草になるほど。

　アライメントで言うなら混沌・善。その慈悲深さと聡明さにより基本的には合理的な行動を選べるものの、本質的には悲嘆・憎悪・怨念に心を支配された復讐鬼。最優先は子供を守ることで、その次は蛮族と魔神を狩ることである（ただし、真に人族に友好的な蛮族であれば相応の対応はする）。なお、依頼を受けているのならそれを考慮はする。しかしその優先度は割と低い方。

　戦法は、二つのメイスで敵を滅茶苦茶に叩き潰す残虐なもの。憎むべきものたちをその手で叩き潰す、そのためだけに鍛えられた技術である。そのためであれば、己ごときいくら傷ついても構わない。鍛錬にも熱心だが、その光景は実戦ですらないにも拘わらずあまりに鬼気迫るものである。

　なお、鍛錬も実戦もしていない「普段の」時間はあまり多くないものの、意外と普通の女性的な面も見せる。学識を深めることを兼ねて本を読みふけったり、ほとんど贅沢はしないとはいえ多少のおしゃれをしてみたりもしているようだ。その他、力仕事や家事手伝いなどのアルバイトをしていることもある。だが、子守りが絡むような仕事は絶対に請けない。
　おそらくは、彼女自身それらを最後の人間性としているのだろう。己が復讐鬼であることを肯定しているとはいえ、修羅に堕ちれば蛮族たちと何も変わらぬのである。

　ちなみに、意外なことに信仰しているのはミリッツァではなくキルヒア。これは彼女の故郷で信仰されていた神であるためで、今でも信仰心は本物。この力を手放す気はないらしい。

　普段「眠っているような」態度を見せている間は、常に子供たちのことを思い起こしているらしい。

　ブルライト地方の農村出身。そこでは男尊女卑の風習が根強く残っており、しかもナイトメアであった彼女は男性の担当である力仕事をやらされながら、女性の役割である家事をやらされていた。当然、「跡継ぎを作る」という役割も彼女のものであった。キルヒアを信仰している村ではあったが、因習に囚われ誰も真の教えなど理解せず迷信と思い込みだけで行動し、もちろん誰も神官になどなっていなかった。彼女自身、そんな境遇に何ら疑問を持つことなく育つ。「そういうもの」なのだと。あまつさえ、過労を癒すために「半分寝続ける」技術を身に着けさえした。

　しかしある時、転機が訪れる。ありがちな話ではあるが、村が蛮族に襲われたのだ。ありがちでなかったのは、それが「魔神の生贄にするため」だった、ということだが。そして、蛮族――その中には魔神も混ざっていた、恐らくは扇動していたのだろう――たちの目的は「子供」だけ。……村の防衛を突破した彼らは、彼女の子供たちすべてをその手にかけた。未だ胎の中にいた一人も含めて。彼女自身は、死んだと思われたかはたまた気まぐれか、とどめを刺さずに見逃された。実際、死ななかったのが不思議である。腹を貫かれていたのだから。

　だが、彼女は生き残った。産まれて初めて抱いた、奪われることへの怒り、悲しみ、恨み。その感情が、彼女を奇跡的に生存させたのだ。そして、彼女は復讐鬼と化した。幸いなことに、村人の生き残りはほとんどが彼女に同情し、協力した。実際のところ、彼女の家の者はこの村の基準でも古臭く、そして横暴だったのだ。その優しさ（偽善かもしれないが、しかし行動自体は裏表のないものであった）はある程度彼女に人間性を取り戻させ、また彼女もそれに応えて正しいキルヒア信仰を「発見」し村に広めこそしたが、しかし狂気が消えることはないまま村を出た。

　その後はしばらく放浪者として蛮族や魔神を狩り続け、いつの間にか（放浪者にはありがちだが）「野に埋もれている実力者」となっていた。そして、ある時偶々利害の一致で組んだ冒険者にギルドに誘われ、それを承諾。今に至る。

　なお、この経緯故、依頼をきちんと受け（内容は蛮族退治や魔神退治に偏ってはいるが）それをこなしてはいるが、特定の依頼を受けず放浪者的な行動に出ることも多い。またギルドそのものも特定の一か所に定めず、複数を渡り歩いているようだ。

　割と健啖家、好き嫌いもあまりない。ただし、周囲の者が腹を減らしていれば積極的に分け与えるほか、相手が子供でなくともやたらと世話を焼こうとしてしまう悪癖もある。マナーは丁寧、周囲の者も気に掛ける。
　ちなみに酒は飲まない。

　性自認はセックス・ジェンダー共に女性。一応異性愛者。
　彼女にとって性交とは「強姦同然の子作り」であり、そこに快楽はなかった。そのため、そういった行為への興味や関心はほとんどない。ただし認識はしており、セクハラへの拒絶はする。