容姿・経歴・その他メモ

　瞼がなく、寝るときには透明な瞬膜のみが張られるため、寝ていることがバレにくい。


　孤児院【養童会(やどうかい)】の出身。院内で教師として働き、多くの子供を独立させた。

　養童会は人間の女性が一人で切り盛りしており、種族を問わず常時7～80の子供(時に卵を含む)が暮らしていた。
　先生の名前は【ソーニャ】、元冒険者にして、生涯に600人の子供を育てた偉大な母として墓石に刻まれている。

彼女が盗人であり、子供を攫っていたという事実はパインしか知らない。

　パインは子どもたちの中でも特にソーニャに懐いており、養童会を卒業しても教員として側で従い続けた。
そんな折に知ってしまった、彼女が良き母ではなく、育てるために子供を攫って来ている異常者であることに。

　違和感に気付いたパインの問いに彼女は簡単に口を開いた、まるで告白の機会を待っていたかのようでもあった。

　彼女は若くして自分の子供を失っており、それを期に冒険者の職と旦那を手放し、自暴自棄に盗賊として暮らしていた。
程なくして盗みに入った家の赤子に自分の子を重ね、攫ってきてしまったのだと。
そこからは歯止めが効かず、子供を育てることに執着し、盗みと誘拐を繰り返してきた、親の記憶に細工までして。
パインも勿論その内の一人であり、ソーニャは決して不幸な自分を救った聖母ではなく、
自分は実の両親との幸せな未来を彼女に奪われた被害者だった。

　しかしそれが何だというのか、パインは今十分に幸せであり、彼女を心から愛していた。きっと卒業していった兄弟たちも、
今養童会で暮らしている子どもたちも同じはずだ。
今自分がすべきことは、彼女を断罪することではない。彼女の秘密をここで握り潰し、他の兄弟、子供たちにとって理想の母であり続けてもらうことだ、その為の協力ならば惜しむべき理由はなにもない。それが全員の幸せのためだ。我々は幸せだ。誰一人彼女に何も奪われてなどいない。彼女は何も悪くはない。

　ソーニャに協力するということ、それは孤児院で子供の世話をすること、経営を続けるために彼女に盗みを続けてもらうこと、
彼女の技術を習得し、時に盗みの片棒を担ぐこと。彼女の精神を安定させる為ならば子攫いも許そう、ただし親に問題がある家をせめてこちらで見繕おう。

　そうして彼女は逝った享年86歳、23で心を壊し、26でパインを攫い、37からは共犯者を得、それから50年彼女は幸せだったであろうか。

葬儀は養童会の礼拝堂で行い、連日子どもたちが訪ねに来た。皆の愛する母として逝けたのだ。

彼女が没した時パインは60歳、そこから10年、新たな子は取らず、最後の卒業生を見送り養童会は解体した。

これで全ての証拠は失われた、現場に痕跡は残していない、計画の形跡は建物ごと葬った。私が口を開くことはありえない。残りの人生は冒険者として細々と各地を転々と生きよう。
最後にソーニャの墓を訪ね、彼女から得た技術を今後二度と使わないと誓いを立て、右手の人差し指を食いちぎって供えた。

2-4＝家族に異種族がいる。
1-2＝師と呼べる人物がいる。
2-5＝卵を温めた事がある。
理由,3-2＝身分を隠すため。

　

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