容姿・経歴・その他メモ

冒険に出た理由　3-5
家族を養うため

経歴表B 5-1
異種族を怖がっている(いた)
経歴表B 1-2
師と呼べる人物がいる
経歴表A 3-1
大怪我をしたことがある


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とある商家の私設娼館で語り継がれる寝物語

なぁに、寝れんの？
朝が来ーのがやぁ？ちぃとでも寝らんとこたえるよ。
そうね……じゃああのお話しよぉね。
そう。黒鼻。
その娘は醜く、表情も見えぬほどの黒い鼻をしていました。それでも、誰よりも高く跳んで、誰よりもたくさん回ることができました。
寒い雪の日、バグラヴァを一匹の餓えた魔獣が襲いました。とても鋭い爪と恐ろしい牙を持った魔獣でした。
バグラヴァの娘たち誰もが怯えるなか、勇敢にも黒鼻は魔獣に立ち向かいました。黒鼻は大怪我をしたものの、魔獣を無事倒すことができました。
その強さを黒鼻はご主人様に認められ、冒険者として旅立つことになりました。お金を稼いできたら、バグラヴァの娘たちを解放すると約束してくだすったのです。
明日あかんことがあっても、明後日には黒鼻がみんなのこと迎えに来てくれるさかい、今日はもう寝んさい。
大丈夫。きっと、きっとよ……。


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黒鼻が冒険者として外に出されたのは、器量が悪い上に体に目立つ傷ができてしまったため口減らしである。娼館の奴隷を法外な金額で解放すると口約束で契約されている。
耳票には共通語でもリカント語でもない主人の母語で「所持者、管理番号」「この者の報酬は全額所持者へと送金ください」と書かれている。
黒鼻は報酬を受けとる際必ず耳票の読める者に確認してもらうことと言いつけられている。解放のための費用が蓄積されていると信じている。
耳票を外したとしても、耳たぶと角を切り落とされているため奴隷であったことは容易に判断できる。

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魔物の凶弾が左胸と眉間を貫いた。
恐怖や痛みが襲う前に解放されるのだという安堵が全身をつつむ。体が砂を散らす音を他人事のように聞いていた。
暗闇のなか、光が。美しい月の光が見える。

「■■■■」

あぁ、お母さんが名前を呼んでる。
きっと、つぎは、しあわせなかぞくに、


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彼女の訃報は無感情に処理された。
積み荷の損失の方がよっぽど男の感情を揺らしたことだろう。連絡相手への礼儀がすめば記憶にすら残らなかった。
彼の所有する私設娼館では今もなお救世主の夢物語が紡がれている。
彼女が帰ってくることはない。

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