ルグ二はボルジアという国に長男として生まれた王子だった。
ボルジアの王と王妃は仲睦まじく民にも優しい愛された二人だった。
王妃がルグニを身ごもったときは皆が喜び国を挙げて祝を挙げたほどだ。
だがそんな二人から生まれた子は、その魂に生まれた時から穢れを宿す忌み子
［ナイトメア］だったのだ・・・。
王妃はナイトメア特有の角により生死の境をさまよったものの一命を取り留めたが
かなり衰弱してしまい、ほどんどの時間をベットの上で過ごさなければならなくなった。
それでも王も王妃も自分たちから生まれた命、二人は［ナイトメア］など関係なくルグニを愛してくれた。
その姿に最初は心配していた使用人たちも彼を可愛がるようになった。

だがそうは考えない人たちもいた。
［ナイトメア］はこの国に災いをもたらすと考える者たち。
民の中からもその内変な噂が広がる。
『最近天候の悪化で不作が続いたのはあの王子が災いを招いたからだ。』
『あの王子が生まれてから、大陸で病が広がっているらしい』
『そもそも穢れを持たない我々人族からあのようなものが生まれるなんて、王妃は【悪魔】に違いない。』
全て根も葉もない噂だった。
だがそんな噂は消えてなくなるどころか国中に広がった。

そんな噂が広がってからというもの
ルグニは周囲の悪意に晒され、命の危機にさらされたのも数え切れないほどだ。
それでも王と王妃そして数人のメイドや騎士はルグニの味方だった・・・。

ある日、母は殺された。誰に殺されたのかは分かっていないが
皆一様に『穢れを産んだ【悪魔】なんだ。殺されて当然だと』囁いた。
あの日からルグニの人生は更に転落していく。
王妃が殺されてからというもの父は私と話さなくなった。
今でも忘れられない父上が殺された母上を抱きながら私を見た時のあの目
生まれてから何度も何度もなんども私は見てきた。
あれは【悪魔】を見る目だった・・・。
あの日からあんなに優しかった父上も私を疎む様になった。
王はそれから新しい王女と子を作りとうとう私の居場所はどこにもなくなった。

父である王ですルグニを疎むようになり数年が経った
その時にはルグニからは王位継承権も剥奪され
彼を守るものは数人の騎士とメイドだけだった。
そんなある日事件は起きた。
今までルグニは幾度となく命の危機に曝されたものの
騎士やメイド達のおかげで大事に至らなかった。

だがその日は今までとは違っていた。
とうとうルグニの元に暗殺者が現れる。
寝床で違和感を感じたルグニは痛みで目を覚ます。
彼はルグニを死なない程度にしつこく苦しめた。
終わらない苦痛の中彼の中の何かが弾けた…。
その時彼の今まで秘めていた［ナイトメア］としての大量の魔力が暴走を起こした。多量に溢れ出すルグニの魔力の衝撃で刺客は死んだが…それでも彼の魔力は止まらなかった。その時1人の騎士が異変に気づいた。
彼女は即座に時間がないことを悟りルグニを落ち着かせる為魔力の奔流にその身が斬り裂かれるのも気にせずルグニを抱きしめたい。彼女のぬくもりに暫くしてからルグニは正気に戻ることが出来たがその時にはもう彼女は助からない状態だった。
ルグニは自分の無力に打ち拉がれた…。

その時彼の元に1人の少女が現れた。