「ボクここに行こうと思うんだけどどうかな！」
また始まった……どうしてこうなった。
ランドール地方の新規冒険者ギルドへの所属、危ないに決まってる。でもこういう時絶対聞かないんだよなあエルミラは。確かにそれなりに実力はついたのは確かだけれども。ああもうしょうがない付き合ってやるよ！なんせあたしの使命はお前を守ることだから。
なんでこんなことになってるのか？しゃーねえな、説明してやるよ

あたしは3人の兄妹の末で生まれた
2人の兄はそれぞれ家業の鍛冶屋を継いだり騎士団に入った。私も騎士団に入る予定だ。これでも力には自信があって特にウォーハンマーを振るのはかなり得意だ。
ある時母に頼まれ事をされたのだが、どうやら母の友人の子供の世話をしてほしいとのことだ。
その子は大司教の娘らしいんだが、なにぶん隠し子扱いだったのでこうして私がたまに世話を焼いたり物を教えたりすることになったのだ。だがこれまたかなりのお転婆少女だったもので随分と手を焼かされた。まあ、あたしとしては歳の離れた妹ができたようで嬉しかったんだけどね、こういう子を守るために騎士団に入るんだって思ってた。
いつのまにか背を抜かれていた。確かに種族として違いはあるものだが、自分より小さかった人を世話してたら見上げるようになってしまうというのはなかなか不思議な気分ではある。お転婆なのに変わりはないけど。
はあ？あいつが1人で出て行った？冒険者になるために？
あいつ……お転婆だとは思ってたけどそこまでだったとは、冒険者がどのくらい危険か散々教えられてきただろうにあのバカ神官は！
あーもう！行けばいいんだろ！あたしも行けば！騎士団に入るのはやめだ！あたしはあいつを追う、あたしの使命はあいつを守ることだ。
全く……ドワーフの足で追いつくの大変なんだからな……
そして追いついたあたしは言ったんだ
「しょうがなくだよ、大司教様に頼まれてしょうがなくお前を守るために追わされたんだよ」

かくして、2人の冒険が始まったのであった