むかしむかし、とある貴族家門の当主を務める男がおりました
彼は妻を迎えていたのですが、家同士の繋がりのために交わされた婚姻だからか、妻を愛していませんでした
側室を迎えることが忌避される国風と言うこともあり、男はただただ疲れるだけでした

ある日、そんな男のもとに一人の吸血鬼が姿を見せ、こんな“賭け”を提案してきます

「どうやらお前は自分の伴侶を愛してないようだな。そんなお前にひとつ賭けを持ちかけよう」
「これから私とお前は一夜ごと交代でお前の伴侶である女とまぐわい、彼女の胎に子を宿させる。……最初に生まれた子供が私の血を引いていたら、この家に永遠の繁栄を約束させよう。その代わり時が来たらその子は私の下へ迎え入れるのだ」
「また、最初にお前の血を引く子が生まれた場合は……その時はこの家が終末を迎えることだろう」
「おっと、その賭けのために伴侶とまぐわらないのはダメだぞ？　必ず、彼女とまぐわうのだ」

その日の夜から男は吸血鬼と交代で妻と一夜を共にするようになりました。全ては家の発展のためです

やがて妻は子供を身籠り、出産に至りました
生まれたのは双子の兄弟……そして、最初に生まれたのはアマディス――吸血鬼との間の子供――でした
こうして男は“賭け”に勝ち、家の発展は続くのでした。めでたしめでたし


そんな話を聞かされたのはごく最近のこと
15の時に子宝に恵まれなかったからと軍門の名家の当主は自分を養子に迎えたいと家に願い出たのが走馬灯のようによぎり、この時からすべてが決まっていたと理解した
ふざけるな、と心の底から思った
たったひとつの“賭け”のために母親は利用され、自分達を生むに至ったと？
ふざけるな、と。怒りだけがこみ上げられた

そして決意する。目の前の男をいつか打倒すると
そのためには力がいる。それを得るためには鍛える必要がある
そのためには――

関連人物

ケシラテフ・アングラード　Kecilotef・Anglird　「ケシラテフ、ケシ」

双子の弟。実際の血縁では“異父兄弟”となるのだが、れっきとした双子である
彼がウィスタリアに対して恋慕の情を抱いていることを知っているが、彼女の素性を知ってる分素直に応援できない自分がいる
頼む、お前はもうちょっとイイ女と結ばれて幸せになってくれ。頼む、いやマジで切実に

ウィスタリア　Whistarhea　「ウィスタリア、ウィスト」

軍部の任務で“奈落の魔域”の踏破を実行する時に保護した女性
現在は自分の家で保護観察に至っているが、自身の吸血衝動発散を目撃されてからは彼女の欲求処理に付き合うことで発散……という歪な約定を交わしている
首筋に噛みついて吸血するけど別に彼女に恋慕の情は抱いてないし、むしろ相容れないと思っている

サンドロップ　Sun-Drop　「クソ親父、クソジジィ」

“落陽”の二つ名を有した吸血鬼にして自分の実の父親
「カナハガネ・ヴァイトリング」という軍部の老将軍として平時は君臨しており、表の姿で彼を養子に迎え入れた経歴を持つ
全てを知らされたアマディス的には一発ぶん殴りたい相手の筆頭

１ラウンド目
①【怒涛の攻陣Ⅰ】で味方の物理ダメージを+1、陣気+1
②【鉄壁の防陣Ⅰ】で味方の防護+1、陣気+1
③【強靭なる丈陣Ⅰ】で味方の生命抵抗または精神抵抗を+1、陣気+1


陣気が3溜まってたら
①【陣率：慮外なる烈撃Ⅰ】で一度だけ自身の命中力・物理ダメージを+2（適用されたら消滅）
②【陣率：抗拒の推断Ⅰ】で自身の生命抵抗・精神抵抗に+3