魔剣の迷宮で迷子になったことがある
過去に仕えた主が居た
誰かを救ったことがある

故郷に居られなくなって

　人族の領域から少し離れた蛮族領の、ある高位蛮族に仕えるダークドワーフの鍛冶師一家の元で生まれる。
　両親はアリアに鍛冶師になって欲しかったようだが、その希望は幼い頃にアリアが魔剣の迷宮に迷い込み、中でマギスフィアを拾った瞬間に潰えることになった。魔動機術に強い関心を示したアリアは、鍛冶もそこそこに魔動機術の研究に熱中するようになってしまったのだ。

　マギスフィア内のデータ等を通じて人族の文化に触れることが多くなったアリアは、蛮族社会の中では珍しく人族寄りの価値観を持つようになった。
　他者と衝突する回数も増え、人族に傾倒する軟弱者などと馬鹿にされることも多かったが、それでも蛮族社会に留まり続けていたのは、彼女の仕えていた主君が、蛮族の中では比較的公明正大で温厚な性格の持ち主だったからかもしれない。

　しかし、蛮族社会の中で「平等」や「尊重」を謳う者は目を付けられやすい。彼女の主君も例外ではなく"より蛮族らしい"者達のターゲットとなり、アリアの所属していたコミュニティはより大きな暴力によって滅ぼされてしまった。
　アリアは横暴で自分勝手な仲間たちのことが嫌いだったが、死んでほしくない程度には気に入っていた。
　自分でも馬鹿だと思いながら有事の際に用意していた金属鎧に身を包み、「こっちにリーダーが居るぞ！」と強く叫ぶと、可能な限り敵の注意を引き付けてから逃げ出した。

　一夜にして居場所を失ったアリアだったが、その胸中には一かけらの後悔や絶望もなかった。ただ深い達成感と心地よい疲労だけが全身を包んでいた。彼らが無事に逃げられたのかは分からない。しかし、自分の行いで確実に敵の注意を引き付け、逃げ出す隙を作り出すことができたのは確かだろうという確信があった。

　他人のために何かをするという行為が思ったよりも性に合ったのかもしれない。
　次に向かう街では、誰かを助けるような仕事でもしてみようか......そんなことを考えながら、より自分らしい生活を求めて一歩を踏み出した。

　方角を間違えて人族の街にたどり着いてしまい、そこから一悶着発生するのはまた別な話。

　人から舐められたり下に見られることが嫌いで、やや頑固な性格もあって相性の悪い相手と出会うと衝突することがある。
　常に鎧を着ているのは威圧感を出して面倒ごとを避けるため。中身が弱そうな外見をしているので、蛮族社会ではで舐められることが多かった。
　アリアとしても動きづらい全身鎧を着続けるのはきついので、素顔を晒しても問題ないと判断する場面であれば鎧を外して楽な格好になる。普段はやせ我慢をしているのだ

　思慮が浅いわけではないが、悩んだり落ち込むよりはくよくよせず前へ進むタイプ。脳筋、あるいは殴ってから考えるタイプともいう。

　口調は男勝りな感じ。一人称はオレ。

　容姿で舐められないために全身鎧を着ていたアリア、早速やらかして冒険する前から素顔を晒す。
　その後も何度も鎧を着ていると不便な状況に出くわし、「あれ、ずっと姿隠し続けるのは不便なのでは?」と気が付いた。
　仲間が気のいい奴らじゃなかったら即死だったぜ......