ターニャは魔動死骸区の市街地にある孤児院で物心つく前から暮らしていた女性エルフである。
彼女は魔力が多く信仰心も強かったため、10代の頃から院長に神聖魔法の手解きを受けていた。決して要領は良くなかったが、長く使っているうちに魔法の使い方も人並みにはなった。そして成人するとなし崩し的に副院長に就任することに。特に嫌でもなかった、どころか孤児院の家族とこれからも共に暮らせることを喜んだ彼女はそのまま孤児院のまとめ役として長く過ごすこととなる。
そんな彼女の転機は60歳を少し過ぎたある夏に訪れた。不定期的に死骸区の中心部から飛来する魔動機兵の攻撃が、その日は不幸にも孤児院を直撃してしまったのだ。生存者は彼女の他に2人の幼い子供だけ。一夜にして院長を含む家族の大部分と家を失った彼女らは職を求めてハーヴェスへ向かうことにした。
しかし不幸はそれだけでは終わらない。ハーヴェスへと向かう道中、蛮族に率いられたウルフの群れに襲われて子供達が亡くなってしまった。冒険者に助けられターニャだけは一命を取り留めたが、この事件が深い慈愛の心を持った彼女の内に復讐心を生ませたことは疑いようがない。
その後ターニャは仄暗い心のままに冒険者ギルドの門を叩いた。ただ彼女はあまりにも筋力がなく、彼女の望む前衛戦闘職には向かなかった。だから彼女は、今日もプリーストとしてパーティーメンバーを支援することで、自分の心を慰めているのだろう。

経歴表C 3-3 苦手な動物がいる(いた)
経歴表A 5-3 故郷の場所を知らない
冒険に出た理由表 1-1 蛮族を倒すため