素直で健気な…もといちょっとアホな女の子。
碧眼で茶髪。容姿端麗。

昔、ある街の盗賊に騙され、高く売れそうだからと目玉を抉られそうになったことがある。
それがきっかけで、自分の目を仮面で隠すようになった。

・8歳
幼馴染のアドニスに恋をする。
何でもそつなくこなしちゃうスマートな彼のことが大好き！
おまけに、すっごい優しいし！
こんな人のお嫁さんになりたいなぁ…！

・13歳
アドニスが隣町に出かけたきり失踪。
彼の家族もひどい容態だったけど、何とか一命は取り留めた。
でも、どれだけ探しても彼は見つからない。
…死んじゃったのかな。

いや、ありえない！
もし死んじゃったんならどこかに痕跡があるはず！
それも見つからないなんて、やっぱりおかしいわよ！

周りのみんなは、もうお墓を作ってるけれど…
私は、絶対に認めない！
いつか、いつの日か、もっとも～っと強くなって、彼の事を探しに行くの！

・16歳
あれから数年間、父さんの稽古もあって、私はかなり強くなった。
ゴブリンの群れぐらいなら一人で掃討できるし、村の用心棒とも互角に戦える。

機は熟した。今が、旅立ちの時だ。
家族からなけなしの餞別を受け取り、私はアドニスを探す旅に出た。

・18歳
初恋の彼を探して早2年。
行く先々の街でちまちまと日銭を稼ぐ毎日。
彼の手掛かりも見つからずじまい。

…ほんとに、もう、いないのかな。
村のみんなから、たまに手紙が届く。
ちゃんとご飯を食べているか、悪い人に騙されていないか、今何をしているのか。
みんな、心の底から私の事を案じてくれている。

街の人々から、大人として扱われることが増えてきた。
身長も伸びたし、色々な出会いと別れがあった。
もう、私は子供じゃないんだ。
だから、こんな我儘、辞めにしないと。

…次の街で彼を見つけられなかったら、みんなが待ってる村に帰ろう。
これが正真正銘、最後の我儘。

御者さんに聞いたところ、次の街は"ヘンテコな形の街"として有名みたい。
どうしよう。ますます居る気がしなくなってきた。
一先ず、もう馬車に乗っちゃった訳だし、明日に備えて今日は早く寝よう。

初恋の男の子…エール・アドニスを探し、旅をしている少女。
仮面は少しでも自身の容姿を不明瞭にするために装着している。
あと金欠。