容姿・経歴・その他メモ

本名　マーラ・カーラ・クータスタ＝アドリシュタ　Māra kāla kūṭastha adṛṣṭa

好き：破壊、研究、実験、甘いもの
苦手：自分に敬意を向けない存在

ー経歴ー

マーラは実の両親を知らない。
まだ赤子だった彼を拾ったのは、とある遺跡の調査に来ていた学者の男だった。

学者の男には医者の妻がいた。
夫婦は子宝に恵まれず、この出会いを運命と捉え赤子を自らの養子と迎え入れることにした。

裕福な家庭に引き取られた彼には、何不自由のない生活が待っていた。
両親は幼いマーラを甚く可愛がり、人形や玩具、書物から宝石に至るまであらゆるものを買い与えた。
中でもマーラが強く興味を示したのは書物だった。

驚くべきことにマーラが5つの歳を迎える頃には学者の父の文献を読み解き、汎用蛮族語、魔導機文明語を解すようになっていた。
更には医者である母の仕事を見て、医学に関してもその才覚を表した。

二人は、自らの仕事に興味関心を抱き天賦の才を以って吸収する優秀な我が子に感激し、愛情をもってその成長を暖かく見守っていた。
だがある時、マーラには一つ通常とは異なる問題を抱えていることがわかった。
それは、強すぎる破壊衝動を抱えていること。

マーラが6つになる頃、彼に与えた人形や玩具がことごとく破壊されていたのだ。
幼い子供は無邪気で乱暴。衝動のままに物を壊してしまうのはよくあること。
初めは両親も大して気に留めるほどではなかった。

だが月日が経つにつれ、彼の破壊衝動は更に強まっていった。
家畜を買って欲しい、と申し出た彼に両親は馬を買い与えた。
初めは生態の観察、乗馬の体験など微笑ましい時間を過ごしていたが、突如としてその馬を解体し始めたのだ。
慌てて問いただす両親にマーラは目もくれず、その行為を及んでいた。

獣医を目指しているのか？明らかに、何かがおかしいのではないか……その夜、両親達はマーラに道徳や社会規範を深く説いた。
厳しく諭す父に、泣きながら訴えかける母。その姿を見て、マーラは学んだ。
「なるほど。〝こう〟ではなかったか」と。

その日からマーラの破壊衝動は鳴りを潜めた。
今までは書庫で文献を読み漁ったり、何かしらの実験をしたりと日の当たるところに出たがらなかった彼が、近所の子供達と年相応に遊んでいるのだ。
マーラは頭脳明晰かつ明朗快活、誰から見ても理想の「自慢の我が子」へと変わった。
出来た両親の教育の賜物により、彼は社会性を〝持ってしまった〟。

ある時、父の仕事に着いて行ったマーラは旅の最中に蛮族達に襲われてしまう。
学者や商人、吟遊詩人など大勢を率いたキャラバンのうち、護衛として腕利きの冒険者が何名か雇われていた。
冒険者達は瞬く間に蛮族達を返り討ちにし、周りの者からは惜しみない称賛の声を浴びていた。
そしてそれは、かつて自らに道徳を説いた父とて例外ではなかった。
「なるほど。〝これ〟なら壊してもいいのだな」
それが、その光景を見たマーラの感想だった。

暫くしてマーラは、冒険者になりたいと両親に伝えた。
不安がる父と母。それに対しマーラは、父のように自らの目と足で世界を学びたい。母のように自らの手で困っている人を救いたい。という旨で説得した。
それが真意かはわからない。だが両親は大粒の涙を溢すほどに感動し、冒険者として旅立つことをよしとした。

戦闘訓練を積み、冒険者として必要な基礎を備えた彼はこうして旅に出た。
自らの知的好奇心と、破壊衝動を満たすために。

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