聖印と神像

天秤と木槌が描かれた聖印。神像は木槌と天秤を持った女が睥睨している。

神格と教義

テーミスは法を司る大神であり、何よりも法の尊守を是としています。信徒には司法官が多く、厳正で公平な裁判を行うことで有名です。同じく司法官を務めるティダン神官を人族贔屓や穢れ差別といった点から公平性に欠けるとして忌み嫌っており、たとえ相手が人族であっても蛮族であっても、穢れを持っていたとしても、法の下に生きると決めたのであれば法の下に公平性が担保されるべきという考えを持っています。その観点から、穢れや蛮族であっても、法に背いたか否かで判断するように求め、公平な裁判を行うように信徒に厳命しています。
また、司法神を信仰する者は、裁判により決定された処罰を行う執行官としての役目もあり、武力に長けていなければならないとしています。これは法は従えるべき力がなければ法足り得ないと説いているためです。

格言

「心せよ。法とは、最も理性的で、最も原始的な、暴力の一つである。」

「罰せよ。法とは守らればならぬ価値を見せねばならない。」

「普遍なる人よ。野蛮なる人よ。従うならば法の下平等である」

備考

法の下の平等を願っているため穢れに関する差別を許さず、そのため特にティダン神とは相容れません。次点でライフォス神ですが穢れを許せない理由がある為致し方ないものであると考えています。
キルヒア神、シーン神は尊敬すべき先達としており、前者は法を生み出した知恵の形として、後者は法が届かない闇への後悔を抱えています。
盗賊神でもあるミルタバル神とは相容れず、見つける度に木槌でボコボコにしていたと眉唾話で語られているほどです。しかし、ミルタバル神もテーミスの木槌や天秤を盗んではおちょくっていたという話もある為、自業自得かもしれません。
ミリッツァ神には、復讐は行われるべきでないというスタンスですが復讐の心が芽生えることこそが司法の敗北であるとしているため、容認もしていないが否認もしていないという形に落ち着いています。
実は第二の剣であるダルクレム神とはそんなに仲が悪いわけではありません。これは、法を敷くのならば強くあらねばならないという考えが、ダルクレム神の実力主義と嚙み合っているためです。テーミスはノブレスオブリージュ（強者の義務として法支配）があると説き、ダルクレムは強者に従うことこそが法であるとするため、考え方の違いによりぶつかることもありますが、基本どこまでいっても実力は必要だよねという点で共鳴します。

法に真っ向から反抗するラーリスは怨敵であり、ラーリスもまた完全なる自由の邪魔たる法は怨敵であるため、神話譚では血みどろの争いをしたと言われています。

神々との戦いでは、法がどちらかに加担することはあってはならないとして不戦の契りを結び、自身の力不足により起きた（と考えている）と嘆き、姿を隠しました。それから長い時をかけ、主にキルヒア神とダルクレム神の掛け合いにより再び姿を現したとされています。どのような説得があったかはわかりませんが、残された言葉として「法は、知恵と力なくしては成り立たない」とあり、非常に助けられたであろうことがうかがえます。