黒髪に琥珀色の瞳を持つ青年。本名は夕凪琥珀。東にあるとされる島国、瑞穂の国の最南端にある村の出身。外敵から国を守ったり災害を鎮めるための儀式を行う一族、夕凪家が住まう土地。その使命ゆえに国内のあらゆる場所に赴いては瘴気を祓ったり魔物を駆逐したりと活動をしている。そんな一族のしきたりとして物心がつくと子供もその活動に同行させるというものがあったため、琥珀も幼き日から国内の様々な場所へ赴いていた。

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幼き頃、様々な村へ立ち寄ることになる琥珀は四季咲の村と呼ばれる場所で同年代である桜と出会った。滞在期間はひと月もなく短い間であったが、村を治める家の令嬢と国の災害を鎮める家の子息という色々としがらみの多い子供同士であったためか比較的早く仲良くなれた。彼女はとても明るく元気で、村の子供たちはみんな彼女を尊敬しているように感じられた。そのことを尊敬しつつも、自分と同じでしがらみが多いはずの彼女を支えられる存在がいるのかと心配するようになる。そんな彼女を放っておけず出来ることが少ないながらもたくさん話をし、人助けに積極的にかかわったりなどをした。村に滞在する最終日、桜とはお互いに一人前の大人になるとあいまいな約束を交わし合い(大切な約束をしている)村から離れた。
「桜ちゃん、僕は夕凪の祈祷師として、君はこの村の巫女の一族として、どういう道をたどるかはわからないけど。お互い一人前の大人になろう」

そんな生活を数年続ける琥珀は、一族の一員として活動していくと信じて疑っておらず、真面目に一族の仕事の理解に努めていた。しかし、後々に琥珀には天災を鎮める一族特有の才が全く遺伝していないことが判明し挫折することになる(大きな挫折をしたことがある)。それからは何もかもやる気が起きず怠惰な日々を送るようになる。さらに先天的に筋肉が付きにくく体が虚弱であることが成長とともに嫌でも理解させられてしまう。夕凪の祈祷師としての才はなく、身体は貧弱と色々な才能に恵まれていないことを知りやさぐれる。本人に自覚はないが虚弱体質以外にも先天的に超感覚が備わっており、魔法の初動を知覚するという珍しい才を持って生まれた。そしてもう一つ、琥珀だけが有する特殊能力があるが本人も他者も把握できていない

絶望の中引きこもり同然の生活を送っていたが、そんな中でも家族の愛は全く変わることはなかった。当主として表向き世間に対しては息子をいないもの同然に扱うようなこともあるが、外の人間が来ることのない村の中での彼らは今までとまるで変わらなかった。このままではいけないと強い焦燥感にかられる中、ふと幼い頃の約束を思い出し出来ることくらいやろうと決意。幼少期の経験から国中を見て回って様々な景色に触れもっと多くの景色を見たい(まだ見ぬ世界を見るため)とも思ったため強くなろうと考える。しかし、魔法は詠唱を噛み、剣は重く持つことができず、かと言って薙刀は女性の扱うものという考えを琥珀本人も持っていたため、拳士としての道を歩むことにした。内心では軽装だし貧弱だしで前線で戦う職業を激しく拒絶したいと思いつつ泣く泣く鍛え始める。

様々な景色を見て回った後は幸せな家庭を築きたい(未だ叶わない夢がある)と思っている。国内では夕凪の名前はあまりにも有名でそのせいもあって夕凪の落ちこぼれという評価が付きまとうため他大陸から嫁入りした母の伝手を頼って海の向こうへと渡る。一期一会が常であり、挫折したことで過去のことを意図的に忘れようとしたこともあり、桜のことは約束は覚えているが顔もどこで出会ったのかもあまりしっかりとは覚えていない。最後に挨拶を交わせないことを名残惜しくは思いつつ、どうせ向こうは忘れているだろうと深くは考えず旅立った。

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色々な理由で生きられない瑞穂の国を出て心機一転まだ見ぬ景色に割と心を躍らせていたが、所属するギルドには何故か瑞穂人が在籍しており顔面蒼白する。しかしこんなところにいる瑞穂人が自分のことを知っているはずがないと冷静さを取り戻す。その翌日に前衛4人という中々に異例なパーティーを結成しそのまま初めての依頼を受け依頼先の村へと出発する。なんだかんだ特に問題も起きることなく依頼は達成する。途中で知った魔域は気になるが、それについてはむやみに触れずに報告だけにとどめることにした。依頼を終えた夜、喜びをあらわにする村人たちの宴会に主役として呼び出された影響で日記を書いている途中で寝てしまった。起きた時には同室のサクラはおらず、床には日記帳が落ちていた。日記帳を見られたショックで動揺するがひとまずサクラと話をするために村の外へと出る。川のそばで座り込む彼女がなぜ泣いていたのか、自身の日記帳に何が書かれているのか何もわからない。蓋をした記憶に向き直るべきなのだろうか。