4-6:高レベルの魔法(リィン・カーネーション)を掛けられた事がある。
BA2-6:大破局は誤りだったと考えている。
BA5-3:人族と蛮族の共存を目指している。
旅立ちの目的3-2:身分を隠すため。

今から３００余年昔、コルガナ地方南部の森に暮らしていた。
元々魔法に対して研究熱心で、独りで生きる事を気楽に考えていた彼女だが、
ふと戯れにと人族の読む、それも一般庶民が読む書物に目を通す。
そこには彼女には理解し得ない様な・・・何とも低俗な物が書かれていた様だ。
愛がなんだの、夢がなんだの・・・やれ会いたいだの、やっぱり会いたくないだの、会えないだの・・・。
自身は常に独りだった、それで良かったからだ。
彼等人族の様に誰かに依存しなければ、共存しなければという事が、理解できなかったのだ。
・・・故に、興味を抱く。
自分に理解できない事をそのまま放置できなかった。
彼女の元々の名前は「ラメ・エジール」という。
彼女はほどなくして人の魅力にとりつかれていった。
誰かと分け合う事を知り、誰かと共に行動する事を知り、誰かと取り組む事を知った。
そんな生活の中で、彼女が最も大きく変わった事・・・。
それは、自分だけよければ良いという「独り」の生き方から、今ある物を守る「共存」という価値観だった。
程なくして彼女は1人の男性と結ばれる。
自身と同じく、人に憧れるものの、肩身の狭い想いをしている仲間の集まる場所を作り、
人と蛮族が共に楽しめる場所を提供した。
束の間の充実した毎日だったが、それも長くは続かなかった。
【大破局】
愛する夫は徴兵され、戻る事はなく・・・
常連の男達も日に日に足が途切れていく中で彼女は無力さをかみしめる。
いつか、戻ってくるかもしれない。
もしかしたら、生存報告の便りが届くかもしれない。
そんな時に私が残っていなければ、男達はどう思うだろう。死地より生還した先にあるものが
帰りを待つ者がいない廃墟では、そこに彼等が築いてきた「共存」はあり得ないのではないか。
そう考え、彼女は最後までそこを守ろうとした。
・・・・・・。
結論として、戦争に敗れその街は滅びた。
彼女はその後も生涯その場所へと通い続ける。
３００年近い生涯の中で、偶然巡り合えた高位の神官に死後、転生の術を依頼し
彼女は最後まで待ち続けていた。

ケルディオン地方の南部の森に生まれ変わり、20歳の頃に前世の記憶が覚醒する。
娘の様子と言を聞いた両親は、尚更彼女を前世の繰り返しを起こさせぬ様に危惧した。
最初は抵抗こそしていたが、かつて自分が誰かにしていた「護る」事を自身が受けているの事に感謝し、
今しばらく甘んじる事とした。
その後、父が他界した頃に再び娘は旅立つ意思を露わにする。
「まだ墓守を続けるつもりか？」という母の言葉に対して、
「いいや、待つだけではなく、共に寄り添い支え、未来へと繋げる場所となる為です」と答える。
母は旅立ちの支度を手伝ってくれた。
「貴方はラメ・エジールであると同時に私達の誇り高き娘でもある。前世の名を使うのはここぞという時まで取っておきなさい」
「メモリア、その名をどうか忘れないで・・・」
こうしてメモリアの旅が始まった。
戻ってこない者達を探し、暗がりを彷徨っていた賢者はいま、
自分に何が出来るのかを見定める、朧な何かを求め帝都へと旅立ったのだ。