リルドラケンの中で稀に生まれる小翼種。
飛行能力がない代わり、種族内でも大きく骨太な肉体を持つ（身長280cmほど）。
全身を覆う赤い鱗が特徴的。

経歴

環境と経験

生まれた環境　「古竜転生」
鱗の色　「赤系」
幼少期の経験　「大きな体」
ハプニング1　7歳「家族に愛され、家庭は笑顔に満ちていた」
少年期の経験「無意識の特別な呼吸」
ハプニング2　16歳「異種族と恋をした」
青年期の経験「献身的精神」
ハプニング3　28歳「英雄になると予言された」

信条と矜恃

信条「正義：肯定」「暴力：否定」
矜恃／執着「弱者を見捨てない」

以上全てのまとめ

とある集落の孵化場で、夜明けと共に赤竜は孵る。
大きな身体に小さな翼――――リルドラケンでも珍しい、小翼種の誕生である。
両親を含め、大人達は大層喜んだ。

幼い頃から戦士として、将軍になるべく育てられた。
小翼種でもかなり大きい肉体を持っていたが、それでも皆、変わらず接してくれた。
リルドラケンとはそういう種族だ。

無意識下の特別な呼吸法が、彼の肉体を鋼の如き硬度へと変える。
彼が発現したのは甲虫の皮膚を得る、初歩的な練体のひとつ。
練体の世界では、誰から教わることもなく己で閃くものがいるらしい。
そのような稀に見る天才を、練体の世界では『幻獣の生まれ変わり』『竜の子』と呼ぶ。
――――それを知ったのは、冒険者になった後のことだった。

飛べなくてもいい、お前にしかできないことがある。
何事も先手を打ち、常に備え、冷静であれ。
弱きものには手を差し伸べ、何があろうと守り抜け。
そう育てられるうちに、性格は優しく温厚で、かつ冷静なものになっていった。


16の頃、同じ集落に住む同年代の少女と出逢う。
身体は小さくて可愛いが、ところどころ毛が生じている。
角はあるのに鱗がない、極端に色白で痣がある。
それでいて、周りの大人よりも知識を持っていた。
自分のように変わった見た目をしていて、自分にないものを沢山持っていた。

「イーヴ様は凄いんだよ。弱い人を、悪い魔神から守ってくれるの」

彼女が好きな神様は、どうやら“奈落の盾神”イーヴというらしい。
常に脅威に備えながら弱きものを守り、劣悪な魔神を絶対に許さない。
多感な赤竜は少女と神に強く影響を受けることとなった。

2度目の脱皮の頃にはもはや敵なしと評される。
その堅牢な肉体に、刃を通せるものは誰もいない。
戦士としては早くも一人前となり、美しい許嫁も貰い受けた。


3度目の脱皮が間近に迫ったある日のこと、1体の有毛種が集落へやってきた。
彼らは積極的に関わっては来ないはずなのだが……。
集落の皆が、珍しい客人を手厚く歓迎する。
一同が集まる中で、物静かな彼は口を開いた。

「私は使命を帯びてここへ来た。屈強なる赤き竜に用がある」

そう言って1人の戦士を指差す。
周りの誰よりも大きな身体を持った、小翼種……アズライグ・ドラゴネットである。

「どうやらお前は古竜の生まれ変わりらしい。故に、竜族を救う英雄となる運命」
「しかし今のままでは足りぬ。鍛錬を積むべく、旅に出よ」

誰もが唖然としていた。
あまりに突拍子もないが、有毛種の言うことだから、間違いではないはず。
わざわざ言いに来たということは、それほどの大事なのだから。


3度目の脱皮が終わって数日後、予言に従い、旅へ出ることとなった。
剣と盾を持ち、金属鎧を着込み、最低限の道具を揃えて。

「いつでも戻って来てね。ここがあなたの帰る場所だから」
「寂しくなるけど、ここのことは皆に任せて。あなたの仲間達が居ればきっと大丈夫」

「あ、それと、たまには手紙も欲しいな～。さもないと私、あなたを迎えに行っちゃうかも」
「え？　送ってくれないの？　意地悪……」

「ふふふ、冗談冗談。でも、迎えに行けるくらい強いのはホントだからね」

「それじゃ……行ってらっしゃい、私の英雄さま」