▼名前
管弦楽組曲第3番二長調BWV1068の第2曲。エール（Air）をもとに。読み方を少し変えてエアー。空の意味になる。

▼戦闘スタイル
筆圧をなぞって読み取り覚えた大陸地図。自分の今いる場所、敵や仲間の位置を脳内の地図と音や息遣いで感じる感覚を元に座標を割り出し、数的計算をもって魔法をコントロールする。ファンブルしなければ誤射しない。


▼過去経歴
┃生まれ：溺愛
エアーは奈落の魔域に囚われた両親の元で生まれた蛮族の劣等種。人族に近く、強い力を持たないエアーだったが、両親は自身の種の存続という意味で喜び、必要以上に溺愛して育てた。何をするにも決められてことを、決められたとおりに、決められたことだけど。この法則の狂った世界で生き残るには少しの間違いも許されないのだと、私たちは子であるお前を愛しているからと、呪いのように囁かれながら

┃幼少期：回復魔法の練習台
奈落を破壊しに来た冒険者がいた。その際両親が殺されてしまう。ウィークリングを知っていた彼らは自分を奈落から連れ出してくれたが、知識もなく、能動的な行動を1つもとれない、欲もないエアーは、変わらず言われたことしかできなかった。通常の人族よりもはるかに頑丈な体は魔法の練習台として使われる。特に抵抗もなければ何かの役に立てている現状に満足できていた。
このころから石化の瞳を危険なものとして封じている。

┃事故や悲劇：自分のせいで誰かを傷つけた
初めて能動的な欲をもった。空が見て見たい。自分の生まれた奈落には空がなかった。奈落から出る際も目を隠してしまったため、空がどんなものなのかわからない。冒険者たちが話している空。青くて澄んでいてどこまでも続いている、そんな大きな世界を自分で見て見たいと思った。
ある日の夜、思い切って自分の目隠しをとってみた。空には小さくてきれいな星がいくつもきらめき、その夜空の中心に、まるで微笑むように暖かな三日月が。
心臓が高鳴って、高揚して、何とも言えない感覚。初めての経験だった。

ふと後ろから名前を呼ばれて、喜びに満ちた表情のまま、昂った感情のまま振り返った。その視線を浴びた冒険者は石化した。
瞳の力を操る力が無かったのか、それとも昂った感情が起こした事故だったのかはわからない。
ただ化け物魔物として、パーティーを追われ。訳も分からず逃げ出した。生きるための生物的本能。


┃少年期：純粋なマナの輝きを見た
逃げ出してからの記憶はあまりない。魔物に襲われて死にかけたり、人の棲む村で保護されては瞳の存在がばれて殺されそうになったり。運のいいことにどの局面でもうまく逃げだすことができたが。胸を刺されるような、頭を殴られるような痛みを毎日のように感じていた。それでもなお生きようと逃げ続ける自分に気づいた時、自分がどれほど生というものに執着しているのかを知った。

いつかの夜、走り疲れて倒れ込んだ時。ずれ落ちた目隠しの先で、淡く光る輝きを見た。それは世界をめぐる命の源。マナと呼ばれるものだとこの時は知らなかった。それに触れようとしたとき、それは人の形を成して、自分に語り掛けてきた。
『こんばんは。素敵な夜ですね』
耳の奥に響く官能的な声音、光を纏った神々しい姿、慈愛に溢れた穏やかな瞳。自分の視線を受けても石にならないその人は神様だと思った。ひとめぼれだった。
両親以外で初めて石にならず、瞳を見つめてお話ができる人。

その人はなんでも知っていて、色々なところに自分を連れていろいろなものを見せてくれた。勉強の仕方も、世界でうまく生きていくために大切なことも教えてくれた。目が視えなくても生きられるようにしてくれた。魔法の使い方を教えてくれた。
迷子にならないように、なっても自分を呼べるようにと、<恋人の呼び笛>を互いに持った。特殊な音を発するこの道具なら、目をふさいで生活するエアーも困らない。エアーは笛を、その人は受音器を。
布っきれでは心もとないと木製の目隠しをくれたのもこの人だった。
その人がなぜ自分に優しいのか、ここまでしてくれるのか、何が目的なのか、疑問に思うことも聞くこともなくそのまま日々は過ぎて。エアーの生涯で一番幸福な時間となった。


┃恋愛：恋人と悲しい別れをした（正体が蛮族や魔神だった）
幸福な時間はそれなりに長く続いたが、終わってみれば一瞬だった。
その人は魔神だった。エアーが生まれた奈落の魔神で、一度冒険者に倒されたがとどめには至らず、世界にあるマナを吸収して、その身を回復させていたらしい。
彼の正体は高レベルのイーヴ神官が見抜いた。場所は街中。時間は夜。仮面の奥の暗がりの中、緊迫した空気だけが肌を焼いて。
数年で人に甘えることを知った体は逃げだすことも戦うこともできなくて。ただその人の服の裾を掴むことしかできなかった。
その人はゆっくりとエアーの仮面を取り上げて、その瞳に映り込む。いつも見ていた大好きな顔。大好きなお月様はまるで微笑むように暖かな三日月が孤を描いて。
『わたしは魔神だから、わたしと契約をしませんか。』
この状況でそのようなことを言いだす理由も、意図も、目的も、疑問に思うことも聞くこともなく。
「わたしを愛してほしい」
と告げた。その人は代償に
『神を愛してほしい』
と求めた。
理由も、意図も、目的も問う間はなく、その人は神官と向き合って、自分が大人しく消されることを条件に、エアーの保身を約束してくれて。そのまま。後は。仮面で覆われた瞳には何も映ることはなく。真っ暗な世界の中、その人の気配が消えた感覚だけを感じていた。

┃青年期：魔法の筋道が見える
教えられていたこともあれば、もともと魔域にいた影響あってか、それとも種族的なモノか、マナの扱いはそれなりにできていて、神官の下で神の声も聞くことになった。エアーはそのまま神官となって、その人との契約を果たすためだけに努力した。
きっと契約が満ちれば愛に来てくれる。きっと自分が迷子になれば笛の音を聞いて助けに来てくれる。いや、今度は自分がその人を探しに行こう。
神を愛して、世界を巡れる力をつけて、もう一度出会うために。
このころから、地図の座標と数的計算をもって、魔法の撃つべき筋道が、真っ暗な視界の奥に視えるようになった。


┃幸運/幸福：あちこち旅をし、知見を広げた
力をそれなりに付けたエアーは、あちこちを旅することにした。もっと知見を広げて、次にその人に会った時は自分が色々なことを教えてあげられるように。
初めて望んだ空を見たいという望みも、自分の足で自分で決めて叶えるのだ。
自分の足でちゃんと立ち、自分の頭で考えて、自分の瞳で世界を見つめ、人生の答えを出したい。
綺麗なものはその人を思い出すから大好き。
あまり見れないものが見れると嬉しくてはしゃいでしまうが、必ず周りに人がいないか気を配っている。
そうやって1人で冒険をしていた。


◆秘密の過去：奈落の魔域で生まれた/魔神と契約を結んでいる
◆4レベルになるまでの活躍：奈落の魔域の討伐/魔神/活躍した/かなり怪我をした/NPCに惚れられた（魔法生物）。

初めて魔剣の迷宮