聖印と神像

　アイリーンの聖印は、青いリボンを用います。手首や首に結ぶ、服の装飾の一部とするなど装飾の仕方は自由です。
　神像は、薄手の衣を纏い、リボンを胸に巻き付けた豊満な女性の姿を取ります。優しい微笑みを浮かべている事が多いですが、一部の歪んだ信仰によってゴミを見るような目つきになっていたりもします。

神格と教義

　アイリーンは約400年前、魔動機文明末期にエイギア地方・ハーゼ地下のミノタウロスの群れに囚われた奴隷の少女が神となったものです。当時の蛮族は魔動機文明絶頂期であった人族に連戦連敗、特に人族がいないと繁殖できないミノタウロスは絶滅寸前でした。そんな状況で様々な運と巡り合わせによって蛮族社会にうまく適応できた奴隷の少女が蛮族達に崇められるまでに成長し、遂には放浪神ル・ロウドに止揚されたのでした。

　アイリーンは慈愛と融和を司る、蛮族の神としては極めて平和的な教えを持った神です。男は女を崇め奉り、女は平等に愛を授けるべき、と説きます。性に関して極めて開放的であり、特定の男女を縛る「結婚」というものを忌避します。結果、教団は乱婚社会となり、極めて自由な男女関係なります。同性愛や近親婚に対しても寛容です。蛮族の教団では略奪婚も認められています。但し売春については、愛はお金で買うものでは無いとし、否定的です。が、所謂「本番行為」が無ければ良し、とする雑な面もあります。
　これらの教えは人族社会において、他の第二の剣の神々のように「邪悪」とされる程ではないものの、やはり大手を振って布教できる教義ではありません。しかし妾を囲うような良い身分の者にとっては都合の良い教えであり、彼等の密かな後押しによって人族社会に少しずつ浸透しています。人族の信者には女性上位と言う教義がどこかで歪んだのか、「変わった」趣味を持つ者が多く、その影響で神格の歪みが一部に出ているようです。

格言

「愛は分かち合うもの。等しく愛し愛されよ」

「女性は世界を結ぶ存在。心を結べ、体を結べ」

「ふぁっきんあいりーん！(教団の神官戦士が戦闘開始時に叫ぶ定型句。信者同士の挨拶でも使われる)」

備考

　発祥であるミノタウロスの集団がレーゼルドーン大陸にいたこともあり、現在の信者もレーゼルドーン大陸に偏っています。種族的な傾向としてはやはり蛮族ですが、人族の女性と関係の深いミノタウロスやアダンタラ、サテュロスやライカンスロープが大半を占めます。人族社会では人間の他、ソレイユやエルフの信者も確認されています。逆にドワーフやグラスランナーなど、美意識がアイリーンの教義と合わない(貧乳の婉曲的表現)種族に信者は全くと言っていいほどいません。
　公式に布教を認めているのは、エイギア地方に近年生まれた人蛮融和国家、エイギア帝国のみです。しかしこの国においてさえ、批判的な者が大勢います。厳格なザイア神官はアイリーン神官の性的無秩序さを毛嫌いしますし、売春を肯定するシーンやサカロスの教義もアイリーンの教えとは相いれません。何よりジーズドルフの有力者の一人、ライフォス神殿長・リアーネ大神官は貧乳なので個人的に嫌っています。
　教義の性格的に、神官はほぼ例外無く人族の女性です。蛮族社会においては、人族の奴隷を神官に祭り上げる事が多いようです。