容姿・経歴・その他メモ

　性別は女性。血液型はA型で、エリンソン家の次女として20年前にこの世に生を受け、幼少期は剣とは全く無縁の生活を送っていた。兄と姉、父と母の5人家族で、質素だが穏やかで幸福な日々を過ごしていた。
　ミシェルが8歳になった頃、国で大規模な内戦が勃発した。辺境に座していたエリンソン家の領もまたその戦禍に巻き込まれることとなった。街は悉く焼け落ち、その時住んでいた家屋も例外ではなかった。心優しかったミシェルの母はミシェルを庇い、倒壊した建物の下敷きとなって命を断った。勇敢だったミシェルの父は暴徒を鎮圧する為に自ら出兵した。そして帰ってくることはなかった。
　成す術もなく逃げ惑ったミシェルとミシェルの姉は身を隠すことに成功したが、その途中で兄と逸れた。現在に至るまで、未だに兄の生死は判然としていない。
　何日も歩き続けたミシェルとミシェルの姉はいつしか故郷から遠く離れた地に辿り着き、身寄りのない子共としてその街の孤児院で暮らすこととなった。ミシェルの心は深く傷付いていたが、孤児院で暮らす他の子供や孤児院の運営をしていた大人達はみな優しかった。ミシェルは姉やその子供達と身を寄り添わせあって日々を過ごした。
　何年もの月日が過ぎた。軈てミシェルの姉は外に出なくなった。元々体が弱かったミシェルの姉は重い病気を患い、殆どの時間を自室のベッドの上で過ごすようになった。彼女らにろくな蓄えは無く、孤児院の大人も出来る限りの手は尽くしていたが、それでも姉は少しづつ弱っていった。
　ミシェルは姉の側でずっと祈っていた。涙を流しながら、自分を置いて行かないでと縋るように祈った。それからミシェルは、自分が姉の為に何が出来るだろうかと毎日考えた。そして1つの結論へと至った。
　ミシェルは姉とは違い、体が人一倍丈夫だった。昔から一日中野原を駆け回っても平気で、力も強く、怪我をしても通常の人間の数倍の速度で跡も残さずに治っていた。両親もミシェルの体力の具合には驚いていた。
　姉の病気を癒し病魔を退ける為には多額の金銭が必要になることをミシェルは理解していた。ミシェルは自分が姉の分の健康も奪ってしまったのだと、姉の病気は自分のせいなのだと考えていた。ミシェルにはあまり学もなかった。自分に出来るのは父のように戦うことなのだといつしかミシェルは悟った。
　孤児院の屋根裏にある物置に古びて使い捨てられた剣や甲冑などが保管されていることをミシェルは知っていた。ある日、ひっそりとは屋根裏に忍び込んだミシェルは、己が生の中で初めて鋼で造られた剣を握った。それを一振して、ああこんなものかとミシェルは思った。ミシェルが想像してした程剣は重くはなかった。彼女が14歳のときの出来事だった。
　大人達の目を避けながらミシェルは剣を振るった。時には剣を外に持ち出して、人目の無い場所で一人鍛錬を重ねた。辛いと思うこともあったが、姉のことを想えば少しも苦しくはなかった。
　ミシェルが剣を振り始めてから1年程が経った。15歳になったミシェルは傭兵団へ志願した。周りの者は彼女のことをまだ子供だと嘲笑っていたが、ミシェルは入団試験に合格し、その小さな体躯で次々と功績を挙げていった。憧憬を通り越し、畏怖の念をその周囲はミシェルに抱いていた。
　ミシェルは残忍になることができた。命乞いをする者に何度もとどめを刺した。任務の為ならどんなことでも成し遂げた。父に、母に、姉に、兄に報いようと彼女は剣を振り続けた。
　収入が安定してきた頃にミシェルは姉と共に孤児院を後にした。小さな貸し家に移り住み、昼は兵としての仕事を全うし、夜は姉の看病に勤しんだ。姉は私のために手を汚さなくていいと何度をミシェルを制止したが、ミシェルは剣を振るうことは辞めなかった。実際に資金は十分に集まりつつあった。姉の病状はある一定のところでまだ留まっていた。姉を救い、両親や兄へ贖うことができるのなら自分はこれでいいのだとミシェルは思っていた。そうしてミシェルは剣を振るい続けた。
　ミシェルは20歳になった。姉の病気を治すのに十分な資金はまだ集まっておらず、ミシェルは未だ傭兵団に兵士として留まり続けている。生きていればまた再会できるのではないかと兄に関する情報を収集しているが、足取りは全く掴めていない。ミシェルは傭兵団とは別に金で雇われて仕事をする冒険者としての一面も持ち合わせるようになり、そうして彼女は現在に至る。昔と変わらず毅然とし大人びた雰囲気を纏っており、本人はさほど気にしてはいないが容貌は人並み以上に整っている。課せられた使命を果たすことを第一としており、時には感情や私情を切り捨て、非と見做したものに対しては冷酷に対処する。誓いを重んじ、守るべきものを守れるようにと祈り、そのようにしてミシェル・エリンソンは一振りの剣となった。
　

セッション履歴