容姿・経歴・その他メモ

プロフィール

・186cm 78kg
・ランドール地方

生まれた環境

・騎士階級

経歴

・忘れられない恐怖を体験したことがある
・自殺を試みたことがある
・誰かを救ったことがある

冒険に出た理由

・家族を養うため

その他

・貴族としての立ち居振る舞いを心得ている。
・兵士としてハルシカの警備に携わっている。

専用装備

Ire pedibus(イール・ペディブス)

・フルールがハルシカで職人に特注したギルデッドサバトン。名は「歩み」の意。前を向いて歩んでいかなければ、という想いの顕れだろうか。

翠緑のネクタイ

・翠は一族の証。教えに忠実であろうとする意志が垣間見える。

履歴

　ランドール地方の"騎士道の聖地"シュヴァリエ王国。此処は、古代魔法文明時代に活躍した或る騎士の思想が強く根付く王国だった。そして、フルールはそんな国で騎士の家に生まれた。一族の証たる翠の瞳と、いずれ民のため戦う運命を抱いて。この国において騎士とは民を護る盾。当然、そのように育てられた。有事の際にはみなを庇護するべく率先して剣を振るい、民を守るように。
　ただ、フルールにとっての騎士道は国や家が教えるそれとは少々異なっていた。
「この手は民を庇い護るためのもの。であれば、他者を傷つけるためにそれを汚してはならないでしょう」
　その思想に基づいて、武器や拳は一切使わず、己の脚のみを用いて戦う独特の戦法を編み出した。周囲からはずいぶんと奇異なものを見る視線を向けられたが、それで並みの騎士と肩を並べていたので、そのうちに文句を言う者はいなくなった。少なくとも、表立っては。
　それから幾年か。"その日"はやってきた。
　父の用事に同行してシュヴ―ド王国へ向かった帰りの夜だった。シュヴァリエは蛮族の軍勢による襲撃を受けており、既に街の大半が戦火に呑まれていた。取り急ぎ父と共に街と民を守るべく戦うも、あまりにも多勢に無勢。騎士たちは壊滅し、蛮族たちによる蹂躙が街を支配していった。狡猾なる蛮族たちは〈守りの剣〉による結界をものともしない強力な魔道具を用意し、大規模な攻撃を仕掛けることに成功していたのだ。
　どれだけの蛮族たちを蹴散らしただろうか。街に朝陽が昇り始めたころ、敢えなく力尽きた。
　もう戦えない。指一本動かない。
　けれど幸運にも、蛮族たちにとっても魔道具の時間切れが近かったらしく、彼らは日の出とともに撤退していった。それゆえに、止めを刺されることはなかった。
　残された力を振り絞ってまず薬品を探し、辛うじて動けるようになって街に目を遣れば、そこには。見渡す限りの焼け跡と、そして数えきれないほどの骸があった。嘗て民だったものが。嘗て志を同じくしたものが。嘗て友だったものが。嘗て母だったものが。嘗て父だったものが。嘗て苦楽を共にしたすべてが、無造作に転がっていた。
　──嗚呼、私は。騎士でありながら、なにひとつ護れずただ生き残ってしまったのだ。であれば、何故それが生きることを許されようか。
　そんな感情が沸き上がった。騎士は、民を守るために存在が許されているのだと。ならば、責務を果たすことができなかった以上、自分にその資格はないのでは。そんな思いに支配され、気が付けば自死を選ぼうと転がっていたナイフを手に取っていた。
　──父上。母上。私は教えを守ることができませんでした。どうか、何もできなかった私をお許しください。
　喉を掻っ切るべく刃を首にあてがった、その時。すぐ傍の瓦礫が動いた気がした。残党狩りの蛮族だろうか。それならば、死にきれなくなる心配はしなくてよさそうだ。そんなことを考えたが、それとは裏腹に。顔を覗かせたのは幼いエルフの少女だった。彼女はひどく煤けていて、片腕がもう使い物にならないほど傷だらけで、涙を流しながら、それでもフルールを見つけると助けを求めて、もう片方の腕を伸ばした。
　ナイフが落下する音が響く。
　フルールは彼女の手を取っていた。その体温が告げている。少女は生きている、と。であれば、すべきはひとつだった。小さく鼓動するこの生命を絶やしてはならない。そのために、私も生きなくては。
　ウィータと名乗った彼女を連れて、最も近隣に位置していたハルシカへ向かった。治療を受け、職を探し、どうにか最低限の安定を得た。けれど、戦乱の噂は絶えない。フルールだけならばそれでもよいが、いまはウィータがいる。彼女は身体の傷こそ癒えたが、心に負ったものは塞がらないばかりか広がる一方で。それでは、庇護することにはならなかった。
　ほんの少しだけでも、この子の安心のために動かねば。今度こそ、護るのだ。そう決意しているが故に、フルール・フロレセールは、迷わず冒険者となることを選んだ。
　自分は民を護る盾である。であれば、その背に庇う者のために、自分は前を向かなければ。

セッション履歴

収支履歴