聖印と神像

　聖印はヴェールを被った女性が首を垂れて、手を合わせて祈る様を表したものであり、その顔は長い髪によって覆われ、見ることができません。
　神像もまたヴェールを纏った女性が膝をつき、祈りを捧げているものがメジャーです。顔は制作者によって異なり、穏やかな美しい美女の顔とも皺の多い老齢の女性であったりします。しかし、多くの神殿では「祈りを捧げるラピュリス様の尊顔を覗き込むなど不敬である」とその顔を覗き込むことは禁じられており、制作者のみが神像の顔を知っているとされます。

神格と教義

　ラピュリスはアルフレイム大陸にあるオーレルム地方"始祖神"ライフォス、或いは"太陽神"ティダンによって導かれたとされる神です。大破局末期に溢れかえったアンデッドたちを駆逐した戦乙女として伝えられています。
　その逸話は口伝てにて伝わり、彼女について書かれた書籍は少ないです。その理由は彼女が自身の行いを大仰のものとされるのを嫌ったからとされています。その為、彼女がオーレルム地方出身であるのかも定かではありません。しかし、信仰の範囲からオーレルム地方で活動していたことは明らかであるとされています。導かれた神については"始祖神"ライフォスが一般的とされ、"太陽神"ティダンである説はマーティアス太陽王国がティダンの威光を拡大したかったからだといわれていますが、マーティアス太陽王国はこれを否定しています。
　彼女の素性については明らかになってはいませんが、その性格は良く伝わっており、どの逸話でも共通して「実直である」「柔軟な思考」を持つと強調して伝わっています。それは彼女の格言や教義にも反映されており、ラピュリスの教義は自身や他者に対して誠実であることを強く説きます。そう在ることで自らが正しい道を歩むことができ、他者も正しく導けると考えられています。また、自己についての探求をすることも勧められており、「最後に信じられるのは己である」という教えくるものですが、その所為かラピュリス教徒は我の強いものが多いとされています。また、誠実であれと強く勧められている為に、誠実であることを他者にも求める信者も少なくなく、ラピュリス教徒は過激であると評価されていることも間々あります。その為、司祭の中には自身の誠実さを説きながらも、他者に対しては柔軟な対応をすべきと強く説かれる場合が多いです。
　また、清濁を併せて吞むという言葉から"浄化"を示す神としては珍しく、アンデッド以外の"穢れ"については寛容です。その為迫害されたナイトメアを匿ったり、蛮族社会から駆逐された弱い蛮族などを助けたりすることも多いです。しかし格言を捻じ曲げ、悪事を働く輩には非常に攻撃的であることが良く知られており、それが上記の過激さを評価される一因となっているようです。
　アンデッドに関しては駆逐すべき対象でありながら、きちんと埋葬されなかった為に神に導かれなかった哀れな末路であると考えられており、駆逐した後、その亡骸を埋葬する習慣があります。また、その事から信仰する神官は【イクソシズム】や【ピュリファイ・ソウル】を好んで使用します。
　信仰者は少ないですが、上記の通り蛮族にも信仰は僅かにあり、広く信仰されています。オーレルム地方では村の片隅にある祠がラピュリスの祠だったりすることなども多々あります。

格言

「誠実であれ。そう在れば魂は汝を正しく導くであろう。」

「柔軟であれ。固い頭は視野を狭くする。時には清濁併せ呑むことも必要だろう。」

「己を信じよ。己こそが汝の真の理解者なのだから。」