一人称

私

二人称

あんた、お前、てめえ

三人称

あいつ

呼称

〇〇

趣味

作曲（ロック）

クセ

事あるごとに中指を突き立てる

好物

紅茶

苦手

ぎゃーぎゃーうるせえ奴

悩み

どうにかしてロックを流行らせたいが方法がない

彼女は捨て子だった。まだ赤ん坊だった彼女を拾ったのは、異国の侯爵、コラール=フォン=ハルデンベルクとその婦人、ロマンス=フォン=ハルデンベルクだった。彼らハルデンベルク夫妻は子宝に恵まれておらず、跡継ぎに困っていた…のと、ロマンスが相当楽観的な性格をしていたために、後のクラヴィアを拾ったのだ。
クラヴィアは貴族として育てられ、幼き彼女は物静かで従順な子だった。というよりは、常に周りを伺い、人の目を避けたがる子だったのだ。というのも、養子であるという立場と、グラスランナーの貴族というあまりにも奇特な存在であったため、周囲の目はあまり良いものではなかったのだ。養子云々の話は両親から直接話されたことはなかったが、漏れた話し声（わざと聞こえるよう話していたかもしれないが）から自身の境遇は理解していた。
また、彼女の父親であるコラールは、子宝に恵まれないことから何に関しても無気力な状態が続いていた。母であるロマンスは彼のためにもクラヴィアを引き取ったのだが、コラールの様子は改善されることもなく、クラヴィアともどこか心の壁を作っているようだった。
この状況を打破するため、ロマンスはクラヴィアに音楽を教えた。それは貴族間の形式にとらわれたものではなく、もっと自由な、クラヴィアの意思を尊重するような、そんな音楽を。
初めこそクラヴィアは困惑していた様子だったが、ロマンスの熱心な指導の結果、クラヴィアはどんどん、音楽に自身を出せるようになっていった。（同時にどんどん口も悪くなっていった。）
とある日、クラヴィアがコラールに意見したことがあった。彼はこれに反論し、どんどんヒートアップしていった両親は口喧嘩を始めてしまう。
それを横から眺めていたロマンスは、堪らなく嬉しかった。クラヴィアが自身の意見を以てコラールにぶつけたこと、そしてそのコラールもいつものように話に流されるのではなく、クラヴィアの意見に向き合ってくれたこと。少しずつではあったが、二人は変わっていたのだ。
クラヴィアは13歳のとある日に家を出た。貴族という拘束から抜け出すため…だけでなく、自身の夢を叶えるために。
そんな彼女を、ロマンスは笑顔で、コラールは少し不機嫌そうに送り出した。

コラール=フォン=ハルデンベルク
異国の侯爵にしてクラヴィアの父。クラヴィアを迎え入れる以前、妻であるロマンスとの子宝に恵まれず、跡継ぎ問題のゴタゴタに巻き込まれ無気力状態になってしまう。迎え入れた後も血の繋がりがないことやクラヴィア自身の主体性の無さが原因で、彼女との心の壁を築いていた。引き取った責任として貴族的な教育は施してはいたが、その関係は「侯爵と跡継ぎ」であり「親子」ではなかった。
クラヴィアが音楽に目覚めて壁をいきなりぶち破ってきて、彼は初めてクラヴィアの素顔を見た。と同時に、彼女から自身への、そして自身から彼女への愛に気付くことができた。そこからは目が合ったそばから言い合いを始めるような関係になっていったが、娘との喧嘩は彼の一番の幸福の時である。
「少なくとも公では貴族らしく振舞ってくれよ。」
「どうした？少しは家の跡を継ぐ気になったか？バカ娘が。」
「あいつはいずれその名を馳せるだろう。演奏家クラヴィアとして。もしくは、ラクシア一の馬鹿者として。」

ロマンス=フォン=ハルデンベルク
コラールの妻にしてクラヴィアの母。捨て子であったクラヴィアを放ってはおけず、また無気力状態のコラールを元気づけるため、彼女を引き取った。ところがコラールは変わらないしクラヴィアは主体性ゼロだしで頭を悩ませていたところ、昔自身の大好きだった音楽の存在を思い出す。最初こそクラヴィアは困惑していたが根気強く指導し、彼女の本当の姿を引きずり出すことに成功する。
家族二人が自分の振りまいた愛情を返してくれるようになってからはますます大好きになり、実の娘から親バカ呼ばわりされている。夫と娘の喧嘩を横で見守っている時が、彼女の一番の幸福の時である。
「私の娘はラクシア一かわいいし、私の夫はラクシア一かっこいいのよ！」
「音楽は自由よ。あなたの好きなものを、好きなだけ盛り込んじゃっていいの。」
「クラヴィアなら、きっと夢をかなえられるわ。だってあの子は、私たちの自慢の娘ですもの。」