容姿・経歴・その他メモ

自分にそっくりな人物を知っている
決して叶わない願いがある
忘れられない恐怖を体験したことがある(経歴表より)

｢今日から君はうちの子だよ。｣

そう言われて連れてこられたお屋敷はとても立派で、とても寒かった。
私がやるべきここでの仕事は、『〇〇〇〇様』に成りきること。旦那様にお伺いしたところ、〇〇〇〇様は病死した奥様と旦那様の娘様らしい。奥様は、娘様をとても可愛がっていて、だからお亡くなりになられた時に狂ってしまったそうだ。奥様は、娘様がまだ生きていると思い込んでいらっしゃる。だから、一日中娘様を探して屋敷中を、街中を探し回られるそうだ。そんな奥様の状況を憂いた旦那様が娘様そっくりである私を連れてきたのだと聞いた。
元来、ルーンフォークは誰かに仕えるものなのに。私はご主人様の為に、お屋敷の掃除も、食事の用意も、庭の剪定も、蛮族の排除も許されていない。許されているのは庇護されるべき子供のように、主人にわがままを言い、能天気に遊び、文句を言いながら勉強するだけ。だけれど、私は確かに仕えている。ご主人様が下した命令を忠実に護っている。私のここでの役割は、娘様に成りきること。

ある日、奥様が正気に戻られた。そして私を壊そうとした。

｢紛い物！私の娘を冒涜した悪魔！！機械人形の分際で、私の娘に成り代わるだなんて！！！ルーンフォークの癖に娘に成り代わって甘い環境を享受してきたなんて！！ルーンフォークのなり損ない！！！｣

そう罵りながら近くにあったランプシェードで何度も何度も私の事を殴った。
旦那様が騒ぎを聞きつけ、部屋にいらっしゃった時奥様の猛攻が止まった一瞬をついて私はお屋敷から逃げ出した。呼び止める声を振り切ってお屋敷を出て、近くの森に逃げ込んで、ようやく足を止めて。そんな状態で一番最初に思ったことは、｢あぁ、主人の命令に背いてしまった｣という思いと、底知れぬ罪悪感だった。それを自覚した時、私は初めて吐いた。


あれ以降、お屋敷には戻っていない。私はギルドで働き始めた。あんな目にあっても誰かに使えたいという欲求は消えない。私はそれが気持ち悪くて仕方ない。｢紛い物｣｢機械人形の分際で｣。奥様に言われた言葉が私の胸に刺さったまま抜けない。私がルーンフォークだから、そんな事を言われなきゃいけないのだろうか。私がルーンフォークだから、この欲求が消えてくれないのだろうか。そうであるなら、私は人になりたい。…人間になりたい。本能的な欲求に突き動かされることなく、誰かの３歩後ろを歩き頭を垂れる存在でありたくない。ただひたすらに、自由でありたい。その術を、私は知りたい。

セッション履歴

収支履歴