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何度も壊され、組み立てられた人形
「物」であるがゆえに心なんてない…そういった先入観により人間に好き勝手に弄られた。

自意識が芽生えたのは、玩具売り場に飾られていた頃。
他の子が買われていくのを眺めていた毎日に、ふと、自分も買われてみたいという気持ちが生まれた。
長い時間をかけ、会話する能力を手に入れた彼女は店の人に「私も売られてみたい」と告げた。
店員は"買われた先では普通の人形として過ごすこと"を条件に快く承知し、程なくして裕福な家庭に引き取られた。

裕福な家庭に引き取られた後、ただの人形として子供たちの遊び相手になった。
しかし日に日に乱暴になる扱いに、ある時思わず「痛い！」と声を上げてしまった。
バレてしまってはしょうがない、覚悟した人形は全てを打ち明けた。

自発的に動き、話す人形を見た人間たちは口々に「呪の人形だ」と告げ、なんとかして"元の"人形に戻そうとした。
"パーツを入れ替えればただの人形に戻るはずだ。"
そう信じた人間たちは彼女の叫びに耳を貸さず、何度も何度も彼女を傷付けた。

度重なるパーツの入れ替えにより、自意識が崩れ始めた頃。
とうとう人間は"塩水に浸けてから焼く"という手段を取ってしまう。

自己認識も現実の認識も曖昧になる中、彼女は本能的な恐怖から燃える身体を引き摺り川に飛び込んだ。
あの時、買われたいと我儘を言わなければ。
あの時、条件を守っていれば。
朧気ながらそう考えていたことを覚えている……そして気が付けば東京にいた。

未だ彼女の心は完全には回復していない。
しかし、ツギハギの身体であっても、自分の体を自分のものだと認識できない時があったとしても、フラッシュバックに苦しめられることはもうない。

今は仕事中以外、ほとんど林道家で過ごしているらしい。
「私も売られてみたい」という願いを持った時に思い描いていた夢は、ようやく叶うこととなった。

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職業について
ツギハギの体を隠すためフードを被り、人形やぬいぐるみの修理とメンテナンスを請け負っている。
彼女の仕事はとても丁寧で、決して傷をつけることはないそうだ。
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根源・自罰について
玩具売り場から出てしまったこと、パーツを取り替えられる時に多くの人形が犠牲になったことをひどく悔やんでいる。
そのため、少しでも多くの人形・ぬいぐるみ達を助けられるような職業を選んだ。

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