その他（設定・メモなど）

「りり、りりりり。ネクテジオはめ覚めています。」

ひどく小さな羽虫のさざめきのような声を一帯に響かせるそれは、動物、昆虫、或いは植物ですらない。未知の菌類子実体の群れ、そのものである。
大停止のち、突如として玉安（ギアン）森林を埋め尽くし大繁茂した生物相は程なくしてマナの不足によりその規模を減縮したが、そのわずかの間に玉安森林のあらゆる生物は常在菌が未知の致死病原体へ変異し、死滅した。

ネクテジオの脅威を重くみた中国政府は一帯丸ごと焼き尽くしたが、ネクテジオの軍事利用を目論む研究者により一部が回収されやがて東京の研究機関に送られるも、とある神企業にその研究施設は壊滅させられた。

斯様にして各地にて滅びの憂き目にあい続けたネクテジオであったが、彼は集合意識である。胞子一つでも生き延びれば、如何なる地であっても繁茂し生存し続けることが出来る。
現在は湿り気の多い路地裏を住居にしているが、軍用のための無害化及び局地的な運用のための増殖速度低減改良もあり、東京を埋め尽くすには至っていない。

極めて欲の希薄なネクテジオだが唯一創造主のいる世界への帰還に対してだけは執着しており、そのために行動している。

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